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第68話 デニスの闘病

四肢欠損をも治癒する聖女の規格外の治癒魔術です。痛そうですねぇ〜恐ろしいですねぇ〜

 デニスが、絶叫と気絶による静寂を繰り返し、屋根裏から漏れ聞こえるにしても森の家はもはや怪奇スポットと呼ばれるのも時間の問題だと思いながらも、客は相変わらず事情を知ってる常連夫妻しかいないので何も問題ない。


 ひと月が経ち絶叫と気絶の頻度が上がってる。二十年コースなら成長期に相当するかしら。日々支給するハーブの花穂と栄養ドリンクの量を増やす。


 生理現象の処理のために外に静かに屋根裏部屋から出てくるためにもハーブは必需品だけども、これからの成長期には治療にも重要な役割を果たす。血をサラサラにしつつ血管を拡張して老廃物の排出と栄養の補給をスムーズにするため。


 それ故に血が真っ黒になってて、白目の部分が赤目じゃなくて目全体が黒目のようになるんだけどね。これは私の目から見ても「悪魔の術」と言われても仕方ないわ。鏡見せないようにしないと。


 これを見て悪魔憑きだと騒がれても、本人はブリブリにキマってて事情を説明する事は出来ないし、疑惑の中心人物たる私が説明しても説得力ゼロ。王宮で私の味方をする人は居なかった。今は関係者全員が知っているから落ち着いて治療に専念できる。王宮の施術院と比べてなんと素晴らしい労働環境なことよ。


「この痛みのピークが過ぎたらあとは楽になるからね、頑張ってね」


 ブリブリにキマってるデニスに励ましの言葉を掛けてみるけど、今の彼にはわたしの声なんて頭に入っていかないわね。でも意識の何処かに希望の灯を灯せればと思って、この治癒魔術を使う相手には必ず声を掛けている。


 向こう3日が峠だ。峠の期間は栄養補給とそれを支える体調管理で付きっきりになる。正確なタイミング、正確な血流で育てていかないと歪な形になっちゃうから。脱炭酸済花穂は手もとに山盛り。本来なら食べる用だけど刻一刻を急ぐ時には私が吸って口伝いで呼気から補給することもある。


 ホントに四肢欠損をも治癒する聖女の治癒魔術だなんて軽く言って欲しくないわ。まるで魔法かけました、あとは勝手に治りますとか光に包まれてすぐに治るみたいに噂されるの勘弁してほしいわ。


 でも、気持ちはわかる。患者さんにとってこの治療期間のことは完全に忘れたい黒歴史だろうし、だからといって失った手足が取り戻せるという希望の価値は絶大だから。あの国は、若者たちの血気盛んな若き日の過ちを取り戻せると吹聴して私のこの治療をエサに一生涯安くこき使う訳だから、この術も別の意味で悪魔の術だわ。私がじゃなくてこれを餌にする王国のシステムがね。

いゃあ、怖かったですねぇ〜。それではサイナラ、サイナラ、サイナラ

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