第67話 施術開始
聖女の規格外な治癒魔術です。痛そうですねぇ……。治癒魔術なの!!
長い治療期間を安全に過ごしてもらうために、屋根裏の集中休養室に案内し、3カ月はここから出られないであろうことを説明する。
「本当に良いのね?3カ月は何も他のこと出来ないわよ?やる前に身辺整理しといたほうがいいわ?」
「もう済ませてあります。よろしくお願いします。」
この処方はまず治った姿を明確に想像させながら意識拡張系薬物をキメて、患者は幻覚の中で無い部位からの感触を感じる。
「じゃあ始めるわ。まず、足があったときのことを思い出して、その時期、人に会うとき、買い物に行くとき、散歩に行くときいつも足が働いていたはず。その時のことを、特に下半身について詳細に思い出して。」
リラックス出来るように軽くハーブを焚き静かにダブ・ポエトリーが流れているチル空間にしてある。そこでデニスは目を瞑りながら足があった頃の記憶を呼び起こしているようだ。
そろそろ良いかなというタイミングで、第一の薬を使用する。飲むのでも吸うのでもなく粉を鼻で嗅ぐタイプの薬で、見たい幻覚が見れるものだ。これでまるで足があったときのようにそこの感覚の幻覚を感じる。視覚ではないので幻覚を「見る」のではなく感じる。
「足がある。確かに地に足をつけて歩ける気がする。」デニスのうわ言を否定してはいけない。ここで完全に治ったときのビジョンを持ってもらうのが目的だから。
鼻で嗅ぐ薬を終えて、明確なビジョンを感じてもらったあと、薬の効果が薄れてフラッシュバックする時、欠損部位の中から表面の皮をぶち破って中からニョキッと生えてくる幻覚を見る。
「足が・・・勝手に・・・うわあああああっ!膝を突き破って足が生えてきた〜痛い痛い痛い」
デニスは冷や汗だらだら顔面蒼白になり恐ろしい幻覚と向き合っている。
ごめんね。これでこの処方の極めて正常なプロセスなの。感触を感じてそこに無い身体に違和感を覚えて全身が明確にその部位の修復を決断することが重要なの。
落ち着いた様子をみて第二のクスリを患部、すなわち既に先がない状態で縫い合わされて丸くなっているかつて脚があった切断面に処方する。これは三カ月コース固有のクスリで成長を96倍速に超加速する。
このクスリをキメてからプロテインやカルシウムを強化した食事を取ると数日後から、成長痛の数百倍痛い激痛の成長痛がとどまることなく続きつつ短期間で無い部位がゼロから「成長」することで回復するが、この痛みに耐えることは困難であり意識が戻れば絶叫して気絶するの繰り返しとなる。あとはこの部屋で孤独な自分との闘いをしてもらうことになる。
あまりの成長痛に挫折する者多数。それを抑えるために、脱炭酸したハーブの花穂を渡す。
「これを渡しておこう。苦痛に耐えられない時食べるとしばらく痛みは引く。トイレや着替えなどどうしてもここから出ないといけないとき使うといいわ。」
自分でキメられるならまだ元気な方なのよね。
まだ、患者の評判が極めて悪いだろうな〜って部分です。次の話が、人心を惑わす悪魔の術の部分です……。あっ、えっと聖女の規格外の治癒魔術です。




