第62話 聖女のお守り
カクヨム版はもっと露骨な引用なんですが、言葉遣いをマイルドにしてパクりと言われないように改稿しました。言葉の響きがガラッと変わってますが内容の登場する順番は同じなので脳内で復元してもらえばと。
少女シルビアはギルドに戻ってきたぼろぼろの冒険者の一団の中に想い人タイスの姿を見つけると感情がとどまるところを知らず溢れ出し、駆けつけ抱擁する。
「良かった!良かった!生きて帰ってきてくれて!本当に良かった!」
タイスに抱きつき泣きじゃくる少女とは対照的にタイスはボーッとして心ここに在らずで困惑している。
シルビアは感極まって会話どころでない様子だが、タイスもまた不思議体験によりどこから言葉を紡いでいいのか分からず、無言で抱擁されるがままにされてる。しかしいつまでも黙ってるわけにも行かずついに語ることにした。
「シルビア。ダンジョンで起こったことなんだが、俺は高位魔族に一撃でぶっ飛ばされて死にかけて、意識を取り戻したら魔族たちが虚ろな目になって、ターンオン、チューンイン……などとわけのわからないことを言い出してオレの魔導銃にデイジーの花を挿しはじめるわ、魔族のミサイルがデイジーデイジーと歌い出して宙を舞ってたんだ!何を言ってるのかわからないと思うけど、俺も自分で何を見たのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった。意識拡張だとか次元昇華だとか、そんなチャチなもんじゃなくてもっと…もっと恐ろしいサイケデリックスに俺は触れてしまったんだ!」
確かに何を言ってるか分からない。言葉を書き起こせばラリってると言われても仕方ない言葉を発してるが、シルビアはとめどなく涙を流しながら、うんうんとすべてを受け入れている。シルビアもいい根性してるよな。
「もう、危ない仕事はやめて、二人で平和に暮らしましょう」
「オレもそうしようと思う。あれはきっと何かの悪い夢だったんだよ。せっかくもらったお守りも粉々になってしまって、本当に申し訳ない。ダンジョンの中で起きたことはもう一刻も早く忘れようと思う。」
「聖女さまのお守りが、タイスを守ってくれたんだ!タイスが生きて帰ってきてくれたらそれだけで良いの。」
「よし、ギルドに廃業届け出して、田舎に帰るぞ!シルビアも付いてきてくれるよな!」
「うんっ!もちろん!」
二人がいい感じになっていると、二人を巨大な影が覆った。
振り返るとダンジョンでラリパッパになってた高位魔族が、今回は花冠を被り、丸くて青いサングラスをかけて、絞り染めの極彩色の下着の上にビーズのフリンジベストを着て、ジョイントをふかしながら語りかけてきた。
「ブラザータイス!俺もダンジョンからドロップアウトして一緒に田舎に行って大地を耕すんだぜ!」
タイスもシルビアもどうやら面倒ごとからは逃れられなそうだ。
ホントにシルビアもいい根性してるよな……。




