第61話 ポプリ小瓶つきビーズネックレス
ボブ、シリアスもやればできる子だったみたいですね(棒読み)
マリーにポプリのレシピを教えてもらってサンプルと突き合わせながら、手順確認にいくつか作っておく。なんか心地良いけど、強烈な匂いで気分がハイになってる感じもするし、大丈夫なのか?コレ。
蓬莱酒はアルコール濃度が高く、そのままでも香り高いから精油を抽出するのに最適とかなりの本数もらってきたけど、その原料たるキュケオンは作り方は教えてくれたが失敗すると猛毒になるからと絶対に素人にやらすなと釘刺された。
というか決まった日に静かに刈り取った雑穀を滝の側の不動明王さまに捧げてサンスクリットの詠唱をして決まった日にお下げしてというのが必須になってるレシピって何の怪しいカルト儀式だよ、素人云々以前にそんなの誰もやらねぇよ!
とりあえずこの試作品の小瓶のポプリは、次回以降コレも作るから来てねと明日のビーズネックレスのワークショップで参加者にプレゼントすることにした。
相変わらずボブのワークショップは大盛況だが、ひとり気になる娘が居た。大マジでひとつひとつ丁寧にビーズをつけていき、デイジーの花も造花でない本物の花を付けて作っている。
このワークショップは別に真面目に勉強する集まりじゃなくて、かわいいグッズ制作の過程を楽しんでもらう対話型のエンターテインメントなのだが、この娘には何とも言えない何か祈るかのように本気度が伝わってきて、ほっとけないので声をかけた。
「なんか、えらく思い詰めているようだけど、どうかしたのかい?」
「大司教さま!私の大事なあの人が生きて帰って来れますよう、祈祷をお願いします!」
いやいや、大司教ってなんやねん。いや知ってるけど、聖女マリーならともかくオレはマリーの付き人ではあるけどそっち方面全然なんだって。
「お嬢ちゃん?その大事な人ってのは今まだ生きてるんだろ?だったらこんなところで油売ってないで向き合ってあげろよ。いや不吉な未来を言ってるわけじゃない。今出来ることをやるんだ。その危険な行動を止めてあげるとか、行かないで済むようにしてあげるとか、万事休してもなおまだ、最後まで寄り添うことが出来るだろ?」
ついに、その娘は泣き出してしまった。
「ほら、このポプリつけて、その大事な人とやらの首に下げてやれ。今日のポプリは聖女さまがお作りになった聖なるポプリで加護が期待できるぞ。大事な人にお守りと言い含めておけ。頑張って生きているうちに寄り添っておくんだぞ。」
泣きじゃくる少女の背中をぽんぽんと叩き、ほれ、逢いにいけ!と送り出した。
少女は「うん。」とだけ返事をし王都商店街を駆けて行った。
ボブをシリアスやらしたらマリーの異常さが際立ちますね……。




