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第58話 王都商店街でのミニコミ誌

みんなが大好きな「どうしてこうなった」です。

 聖マリー・ジェーン・ラスバン公堂は王都の一角の可愛らしい商店街のひときわ可愛らしいお店のような姿で佇んでいる。


 そしてボブみたいなイケメン店長が売店にいるのだから、本来ならばシャレオツなカフェとして若い女性が入り浸ってないとおかしいのだけど、実際の客層は異世界からの転生者のドレッドばかりだ。

 

 ベアトリーチェの趣味みたいなメルヘンチックな建物、それはもともとわたくしマリージェーンの聖堂として寄進したものだったようだけど、メルヘンチックな建造物にお姫様としてのわたくしが佇むイメージだったのだろう。どうしてこうなった?


 水源地の案件も一段落してマリーが訪問してると、手に雑誌を持った女の子たちが入ってきたら、ガンジャの煙に咽てすぐ出ていった。何あれ?


 「なんか女の子たちが来てすぐ引き返してるわね?」


 「あぁ、王都商店街のミニコミ誌に店舗紹介載ったらああいうのが増えた。」


 そう言うと、ボブは付箋のついた冊子を出してきた。季刊の王都商店街ミニコミ誌で、付箋のページを開くとコーヒーコーナー(聖マリー・ジェーン・ラスバン公堂内)の案内で、半ページの枠内に店舗外観とボブの爽やかなイケメン写真に、店長からの一言紹介

が載っていた。


 ふんふんと中身を読むが、メニューもどんな方でも歓迎、午後のひとときのアフタヌーンティーをなどと特に間違ったことは何も書いてないのだけど……。やはりイケメンはそれ自体が罪なのよ。


「内容に間違いはないけれど、この顔写真と甘い紹介文は有罪ギルティ!」


 有罪ギルティの言葉にボブは恐怖している。しまった。ボブは私が聖女だったことと、この国の女王がいまだに私を聖女としてみなしてるってこと知ってたわね。個人としての感想のつもりが司法の判決みたいな重さを伴う相手になってるってこと意識してなかったわ。


 「あのねぇ。ボブ、自分がイケメンで写真見るだけで女の子がおめめハートマークになること自覚しなさい。それがこんな、『お友達や家族で連れ添ってアフタヌーンティーにおいでください』って甘い台詞書いたら夢見る乙女が惑わされるでしょう?」


 「あっ、いえ……。夢見る乙女だろうがなんだろうが全然来ていただいて良いんですけど、ドア開けたとたん勝手に帰っていくんですよ。」


 それはだいたい想像つく。私もドア開けたときガンジャの煙がたちこめドレッドたちがたむろしてる異様な光景に少し引いたからね。外と中のギャップがすごい。


 「店内禁煙にしましょうか?」


 「いいえ、この建物はわたくしたちのものでなくて守備範囲は売店だけよ。あそこにネスタたちが居るのはたまたまであって私たちが彼らに何か行動を規制することは出来ないわ」


 「だから、聖堂として受け取っとけば良いものを……。」とボブが不平そうにぼやく。


 「ベアトリーチェが新教国の中で頭一つ飛び出した形になるので他の全部の新教国にも聖堂がポコポコ建つことになるわよ、面倒くさいわ。」


 要は自分の管理しないといけないものを増やしたくないという事だ。しかしせっかくの新しいお客さんができる前に帰ってしまうというのはもったいない。何とかできないものかしらね。

 いや、本当にどうしてこうなったんでしょうねぇ。

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