第56話 水源地から1つめの滝での儀式
マリー名物の怪しい儀式ですw
冒頭のボブ送迎会で出てきたやつを基調にちょっとだけ違います
神奈備山の巨大パフェを分かち合い、夕食を済ませ、熱気もだいぶ冷めた頃には日は落ちていた。ここまではわたくしたち人間の取り決めに関する合意。それが水神さまに受け入れられるかはまた別の話。松明行列を率いて第一の滝の岩場での夜通し儀式での水神さまに報告して、うけいれられれば正式に認められた人間側の代表となる。
わたくしは聖女のドレスに身を包み、クロノスの大鎌を握り、静寂を切り裂く滝へと向かう。 山麓から続く松明の炎が暗闇をまるで蛇のように九十九折に沿って流れている。
みなさんが全員ここに集まるには少し時間が掛かるので、その間に周囲に自生する雑穀に鎌を振り下ろし静かに刈り取り、お供えのお初穂を用意する。参列者がそろったところで荷物からキュケオンを取り出し、滝の近くの女神像が鎮座している小さな洞窟へと向かう。
恭しく拝礼し祭壇にキュケオンと初穂を供えて水神を讃えその加護を祈る聖句を詠唱する。
♪〜ॐ जलबिंबाय विद्महे नीलपुरुषाय धीमहि तन्नो वरुणः प्रचोदयात् 〜
呻くようにしぼりだされた詠唱が、松明の爆ぜる音にも滝の轟にもかき消されることなく、はっきりと場のモードをリードしているように響く。わからないけどたぶん水神さまに受け入れていただけたみたい。
続いて、大地に祈りを捧げ、御初穂から籾をひとつひとつ取ってゆく。
♪〜ॐ बीजसंनादाय विद्महे धरायै धीमहि तन्नो पृथिवी प्रचोदयात्
籾を集め、雑穀が繁茂してる湿地にサッと散らばす。川に落ちて流れ行くものも湿地に着地するものも岩に着地するものもあるがそれが自然の裁定。人間界もそれでやってみなとの大地からの黙認。
先に捧げたキュケオンをお下げして、参列者に振る舞う。わたくしもご相伴しても耐性ができてしまってて飛ばないので、皆さんの夜明けまでの小旅行の安全確保が私のつとめ。
キュケオンを飲んだ参列者たちは星空のもと意識は宇宙の彼方へと旅立ち、おのおの意味不明な言葉を紡いでい、そして唐突な大笑い。ばっちりキマってるわね。楽しそう。
あとは、以前にお供えした穀物をキュケオンの材料にするべくおさげしておく。この環境で寝かせることで有効成分を生成する菌が支配的になって安全なキュケオンが醸造出来るのよね。
積まれた昨年の初穂から抜穂していき状態の良いものを回収し、状態の悪いのはこの祭祀場の外縁に配置し鳥とか蜂の餌とする。状態良すぎて発酵してない発芽出来そうなものは再度群生地に投げておく。籾を取り除いた藁は焚き火に焚べて参列者たちが風邪を引かないように暖を取る。
しれっと、この世界でのキュケオンの製造方法が書いてありますが、フィクションです。危険ですので絶対に真似しないでください(死亡リスクあり)。




