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第46話 ろくでもない神酒part2

ろくでもない神酒を「神様と同じ杯」と言われて断れないの大変ですね。

 参列者席からざわっざわっと騒がしくなりだした。そうね。私が懐かしいくらいだから、例年の祈年祭に来てくれてたこの国の人たちなら当然懐かしいわよね。


 「おさげしたお神酒をいただいて、神さまのおかげをお受けください。」と盃を参列者に回すと、王太子が感極まったのか立ち上がってこちらにやってきた。


 「マリー!マリーではないか!あの時のことをずっと謝罪したくて……」


 既に出来上がって呂律が回ってない。蓬莱酒は効き目がツヨめだから仕方ない。さらにこれからソーマとキュケオン飲むんだから安静にしてくれないと回りが早くなって想定外のことになる。


 「神事の最中です。自席におすわりになって安静にしていてください。」


 冷たく突き放してるわけではなく、その後のお神酒との兼ね合いから必要なことだからこう指示するしかない。ふと仲睦まじかった時代も思い出し、頬を涙が伝う。決して戻れないあの日々。


 参列者席に戻った王太子はさっきから少し顔色が悪くなっているが、その隣に侍っているレインフォードは恍惚とした幸せそうでだらしない表情で口を開きよだれを垂らしながらいい感じにストーンしている。


 やはり異教徒の『長老』だけあって、儀式の飲料のキメ方は熟練の技ね。分量や体調とのバランスをよく分かってる。


 きっとふたりで対極をなすような体験をしているんだろうな。仕事で頻繁に使ってた私には耐性がついちゃってて全然効かないからよくわからないけど。


 さて、明日からはまた常連さんのお昼を提供しないとなんないから、安全だけ確認しておいとましましょう。


 回って帰ってきた盃を拭いてキュケオンとソーマを注ぎ、鏡の前にお供えし直して、ここにいるみんなに有意義な時間を過ごしてもらえるよう祈りを捧げる。


 ♪〜Magna pars vitae elabitur male agentibus, maxima nihil agentibus, tota vita aliud agentibus.〜


 (人生の大部分は悪い奴に奪われ、何もしないものに全て奪われる。気をつけろよ!)


 では、さようなら。


 さて帰って明日出すメニューの仕込みをしなくちゃ。馬車に乗ってて薬物反応が出ると厄介だし、この国の関係者はみんな小旅行中で送迎なんて期待できないから歩いて帰ることにしましょう。


 マリーは深夜の帰路を帰宅部全国大会優勝の実力で、ものすごいスピードで駆け抜けて行った。


 他方レインフォードは幸せな三泊四日の小旅行を楽しみ、王太子は三日三晩うなされのたうちまわることになる。

 

蓬莱酒はフィクションだけど、現実にもよく似たインスパイアされた元ネタあり、キュケオンとソーマは現代では作れなくなってるけど、古代祭祀で実際に使われた歴史が有ります。

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