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第45話 ろくでもない神酒 part1

タイトル通り、そんな怪しいお神酒どこから持ってきた?って感じですね。

 わたしの作った蓬莱酒は苦蓬の葉と花を中心にアニス、茴香などの実などそれぞれ適量をキュケオンで抽出し、それを蒸留した贅沢な一品。一口で緑の妖精と会話でき、二口で宇宙の果てを見て、三口で涅槃に達する。


 霊的な存在との交流を演出するには最適な御神酒のはず。


 アリンス王国の歴代の聖女たちも儀式に使い、古代の芸術家たちも阿武山に籠もり人目をはばかって飲用してインスピレーションを得るのに使ったとされる伝承のある伝統ある飲料を、抽出にキュケオンを使うことでさらにパワーアップ。


 神と杯を共にすることでおかげをいただくのも古代からの由緒正しい神事ではあるのだけど……。わたしが祭神だっていうのはもぞもぞするわね。


 一応鏡に映る相手に捧げるというワンクッション置いたつもりだけど、神事じゃなくて反社会的団体の親子の杯みたいじゃない。


 参列者たちを一巡して来た杯を軽く拭いて再度蓬莱酒を注ぎ祭壇にお供えする。


 次にキュケオンとソーマ。こちらはもう出来上がってるので注ぐだけなんだけど。儀式の神聖性の演出のために、ちょっと詠唱でもしておきますか。


 恭しくキュケオンをお供えして、腹の底から古代詠唱を唱える。


 ♪〜Οἷον εἴ τις παραστὰς πηγῇ διαυγεῖ καὶ γλυκείᾳ βλασφημοίη αὐτήν,ἡ δὲ οὐ παύεται πότιμον ἀναβλύουσα˙ κἂν πηλὸν ἐμβάλῃ, κἂνκοπρίαν, τάχιστα διασκεδάσει αὐτὰ καὶ ἐκκλύσει καὶ οὐδαμῶςβαφήσεται. 〜


 (たとえば、誰かが清らかで甘美な泉のそばに立ってそれを罵ったとしても、泉は飲むのに適した水を湧き出し続けるのをやめない。たとえ泥や汚物を投げ込まれたとしても、泉はそれらを速やかに分散させ、洗い流し、決して汚されることはない。)


 レインフォードはこの詠唱を聞き、サッと憑き物が取れたように緊張がほぐれた。どんなに穢らわしいバビロンの中心地に在ろうとも神聖なるザイオンの乙女が穢れることは無いし、それで穢れるようなヤワな者であったならば始めから大切にするに値しない者である。


 エチオピア文化に憧れ染まってるレインフォードには古代詠唱の意味が通じてる様子ね。でも他の参列者にとっては完全にちんぷんかんぷんであり、何かの呪文としか取られていない様子。不安を抱いて神事に臨むとバッドトリップするわよ。


 続いて、ソーマをお供えして、聖女時代に復興したいにしえの詠唱を行う。


 ♪〜ॐ जलबिंबाय विद्महे नीलपुरुषाय धीमहि तन्नो वरुणः प्रचोदयात् 〜

(水神を讃えその加護を祈る聖句)


 懐かしいな……。さて……。


 謎詠唱の意味がシーンと関係しますので解説ついてます。

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