第43話 協力してやることにした
常連客の奥さんは心配し必死に止めます。
定休日を設定してそれ以外原則営業してるのはほぼ毎週来てる常連さんだけのためだが、実質的に彼一人のためである。月に一度くらいの頻度で奥さんも連れて来るが、たいていしまいに泣き出してしまう。情緒不安定なのだろうか?
その奥さんも今日は来ている。今度隣国に行くことを話したらまるで世界の終わりのような顔をして引き留められた。それが御定であれば仕方がないとしても何があっても必ず帰ってきてくださいと謎の懇願をされる。
あのさぁ。何で隣国が無法地帯みたいな扱いなの?第二王政のアリンス王国は、確かに革命による第一共和制を経たゴタゴタの中、国教にのこってたいにしえの教えを解体して雑で短絡的で呪詛に似た近視眼的で即物的な堕落した教義に変えた悪名高い先々代聖女が建国に強く関わった政府ではあるけど、政体の安定性という意味では何の問題もない。
それともまたあのバカ王子がトチ狂って破壊の限りでも尽くしたのかしら?わたくしはどこの国にも属さないけど、拉致されたときのために一応ベアトリーチェに話だけつけとこう。
本来ならば国家からは独立した聖女に対して複数国間の調停という次の案件も控えてるため指定の期日以上拘束しないでくれという内容の書面を用意してくれという依頼をしたためる。
要するに聖女はどこの国にも属してないが次にオイランダ国に用事があることにして、拉致せずにちゃんと帰らせろよ、そんなことはないと思うがさもなくば国際問題に発達するぞという脅しになるようにして、指定時間で場を去るためだ。
ぶっちゃけでっち上げで全部ウソなんだけど。予防線張っておかないと拉致されたとき、一定時間までに戻らないとどうなるか分からねえぞという脅しが使えない。もちろん使わないで済むならそれに越したことはない。
―――
2日後、聖女の密書を受けたベアトリーチェ女王は歓喜していた。
国境地帯の水源地利用権の問題で一触即発のムードだったところ、聖女というコマが使えればパズルのピースが揃い万事解決という国際問題を抱えていたところに、それでもたかだか国王という立場で聖女さまに何かをさせるというのは畏れ多い。なんとかその機会をと伺っていた時の渡りに船。
やはり聖女さまはちゃんと見ておられる。
アリンス国向けに提示する用と、水源地利用権の詳細資料つきの依頼書類とセットにして、マリーからの一通の手紙の返信はコンテナ一つ分となり、専用の王命伝達の馬車でマリーの森の家に届けられた。
それを受け取ったマリーが「え〜、めんどくさいぃ」といったのはまた別の話。
水源地問題って書くとなんか軽く思えるでしょうけど、現実には水源地問題で簡単に人が死ぬ大問題です。で、実はこの話が出てる段階で次の神奈備山ハーブパフェって構想が育っていたんです。




