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第42話 マリーへの祭祀依頼

店は空けません。定休日にスポットで入れるバイトとして処理します。

 「え〜、やだぁ。めんどくさい」


 森の家に来たレインフォードの書簡を読んで第一声がこれだった。


 ボブを呼び、「これどう思う?あきれて物が言えないでしょ」と王太子の書簡を渡す。


 ボブはそこに書かれているあまりに意味不明な人物関係で意味がよくわからず、?といった顔をしてる。


 「要するに、私に、私自身を神として崇める謎儀式の斎行を依頼してきたわけ。あのバカ王子が。」


 前職が聖女だったことは知っている。そして彼女が本物の聖女であることも先日のカリオモン儀式の場で痛感している。


 「で、なんでマリーの怨霊を鎮める儀式をマリー本人に依頼するんだ?そんな金あればマリーに慰謝料出して直接話し合えばいいだけじゃないか?」


 「政府機関ってのはそういうもんじゃないのよ。あらゆる勢力の思惑が入り乱れて、政府支出は本来の目的には1/100しか使われない。できる限り多くの組織を関係させて、できる限り遠回りして実行することで経済波及効果を狙うように動くものなの。つまり、王太子は自分の財布から私に謝罪する気はゼロで国家予算から金を引き出す名目として私を利用してるだけね。」


 「でも、それなりに支払いはよさそうじゃねえか?」


 「その支払いがどこから来てる?あの圧政の根拠なき重税なのよ。国民の立場立てばそんなもの受け取る私まで、重税の加担者になるわ。もらうわけにいかないでしょ。」


 書簡を持ってきたレインフォードもまたきょとんとしている。怨霊として散々おどろおどろしく説明された先代聖女マリー・ジェーン・ラスバンというのが、ザイオンの乙女その人のことを指していたとは驚きだ。


 しかし、このことを受け入れるとレインフォードにとっていろいろなことが腑に落ちた。


 先代聖女マリー・ジェーン・ラスバンの怨霊を呼び出そうとしても呼び出せないのは、ここに生きているからであること。そしてその健全なる肉体に宿る健全なる精神はおよそ怨霊と呼ばれるようなものではなく、一点の曇りもなく眩しいばかりに燦然と輝いている。


 そもそもこの世に存在しないものを呼び出そうとしていたから宛先不明で返ってきた。そういうことだ。それは冷蔵庫の中に温かい飲み物を探すことや、滾々と湧き出す清らかな湧水を罵るようなものだ。それに泥を投げ込もうが糞を投げ込もうが一瞬にして紫の煙とともに洗い流してしまい、跡形も留めないだろう。


 「ザイオンの乙女よ、呼び出しの儀式は転生者の長老として儂がプロデュースする。そこに神として降臨すればあとはなんとかするから協力してくだされ。ここで終止符を打たないと王太子はいくらでもまた別の新しい無駄なことをやり始めるでしょう。」


 その程度ならばと次とその次の定休日だけ協力するということを受け、レインフォードと式次第を打ち合わせた。

御霊会ということで、マリーのいつものローブにクロノスの大鎌ではなくて巫女装束に太麻おおぬさで祭祀に臨みます。

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