第40話 (ざまぁ)元婚約者の王太子の場合
「ざまぁ」&「もう遅い!」です。
ガバッ!!!
ハァハァ……。恐ろしい夢を見た。
先刻偽聖女として追放したマリーが終焉の天使たちを率いて我が国に災いをもたらす夢だった。
そのヴィジョンは異様に明瞭であり、圧倒的な天使の軍勢になすすべもなく我が国は蹂躙される……。まるで目の前で見たかのような臨場感を持っていた。
ベッドはまるで川に浸していたのかと見まごうほど濡れ、寝間着は着たままプールにでも入ったのかと見まごうほど全身に汗をかいていた。
「夢……なのか……。」
状況をようやく把握して、着替えて椅子に腰掛ける。もう一度寝ようにもベッドは汗まみれでおよそ寝具と呼べたものではない。
側近たちも寝静まり、今の時間起きているのは見回りの衛兵ぐらいだ。さてどうしたものか。
「やはり、マリーを追放したのは誤りであった……。」
冷静に思い返せば、マリーの決断にはひとつも間違いはなく、儀式は正統なものであった。
マリーが拒絶した死刑囚は冤罪が確定したし、徴兵をした結果、新兵器の製法と作戦が周辺諸国に漏洩した。死刑囚は聖女印が取るための聖女更迭と新聖女任命のゴタゴタで処刑が遅延し、それまでに冤罪を証明する証拠が揃い処刑を免れたし、新兵器を前提とした作戦は実行されず隣国とは禍根が出来ずに今となってはパートナー国としてなくてはならない存在となった。
不気味な異国語による詠唱は、生命の流れに感謝し生きとし生けるすべてのものへの加護を祈る至聖の祈りであり、マリーがいた頃は何故か必要なものが必要なだけ必要なタイミングで自然に揃っていてそれが当たり前だと思っていた。
今となっては、比較優位などという下品な概念により生産財を選択と集中した結果、他国の言い値で不足分を購入しなくてはならなくなり、搾り取られてる感じもするし、国家予算をしばしば銀行から借りる必要が発生して、政府の借金は増え続ける一方だ。
そして公共事業などの支出先も銀行の指定したところにしか出せず、騙されてる感が否めない。しかしこれも皆、自分が良かれと思って自ら選択した結果なのだ。
おかしい。こんなはずではなかった。
思えば魔物が跋扈する山にマリーを捨てさせたので、おそらくもう生きてはいるまい。
わたしは大切なものを自ら手に掛けて二度と手に入らなくしてしまったようだ。
せめて怨霊を慰める神殿を建て、御霊会を開催して供養しよう。間違いなくこの国は神に見放されかけている。何とかしなくては……。
そして聖マリー・ジェーン・ラスヴァンを主祭神とする壮大な神殿が建立された。
まだ死んどらんわ勝手に殺すなw
マリーの強さは世界そのものをバックにしてる事から来ます。そして世界そのものをハックはしますが、世界の掟そのものには本人も抗えません。




