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第34話 カリオモンの儀式

マリーによる辞令があるため、ボブはこの公堂内において、喫茶店売店業務に関わる一切の行動を邪魔されないという特権があります。これはマリーにもない特権で、自身がここをみんなのものとすると言い出した以上マリーは自分の言葉が自分を縛るのに対して、ボブは聖女に任命された売店の店長だからです。

 ボブが焙煎したコーヒーはホレスから教わった方法論で的確に処理されているため、単独のコーヒーの持つ個性に合わせてそのポテンシャルを最大に引き出したという意味においてはとても美味い。


 でも異教徒集団の中でホレスはコーヒーを飲むという点でいじめられていて、その不和を解くためにはいきなり女王というバビロンシステムの最高権力者を背後に従える、彼らにとっての異教の聖女がホレスの側に付いたというのでは全然だめ。


 和平のプロセスは魂の内側から異なる立場への理解が湧いてきて自発的な融和と理解が進むことが不可欠。平和は種をまき育むもので闘いや闘争を通じて勝ち取ることは決して出来ません。それは例えるなら冷蔵庫の中に温かい飲み物を求めるようなもの。そこにあなたの求めるものはありません。


 女王やその軍事警察司法行政力――それは頼めば実際に使えそうなのだけど――による強制和平はその場を取り繕うことは出来たとしても、本質的に魂の対立を深めるだけの最悪の選択肢。


 わたくしは別の方法で彼らの魂に自発的な和平の種を蒔き、日々の積み重ねで完成させてみせる。それが、彼らの教義の穴を突く方法。そのためにはホレスのコーヒーではだめで、彼らが約束の地と憧れる地に長く定着したカリオモンを完璧にやり通す事がお互いに気持ちよく過ごすことができる公堂という場を作り出すということ。


 これが純粋なバビロンシステムであるならば単純に少ない方を異分子として排除してしまえば良いけれど、ホレスはその音楽的才能で彼らとは切っても切れない社会的関係を持っているし、誰かを排除してその場を乗り切っていくと最後には、切られたほうが多数派となり逆襲をする。


 異世界の資本主義社会というところでは、そのたびに多くの人が傷付き大切な人を失ってきたという。わたしの周りの人は誰一人傷付けないし置いていきません。


 そう覚悟を決めた頃、ネスタたちが公堂へと集まってきたので、わたくしもカリオモンの衣装に身を包み公堂の片隅に青草を敷き、条件反射としてできるようになるまで繰り返した、カリオモンの作法の手順(sequence)開始(start)


 青草を敷き、火を起こして香を炊き、焙煎を開始する。香とともにコーヒーの香りが広がり、集まった異教徒たちがなんだなんだ?と騒ぎ出した。そのうちの3人が抗議しにきた。


 儀式中のマリーは他のことにかまけていられないので、こういう事態から聖女をお守りするのがボブの役割だと、事前の打ち合わせ通り抗議対応はボブが受けて立つ!

でも次回、特権とか関係なく文句を封印します。

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