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第32話 茶しばき倒したろか

ベアトリーチェとエリーヌにとっては公堂ではなくて、聖マリージェーンの聖堂ですので、感極まって喫茶店でのマスターとの会話を出来ません。

 わたくしは、無駄なことはせずに、ここの売店の店主としてやるべきことをやるのみ。


「いらっしゃいませ。ご注文は何にしますか?」


 ベアトリーチェは俯いてわなわなと震えて涙を流している。何か思い通りにならないことでもあったのだろうか?追い打ちする趣味はないので、あとがつかえてるんだ早くしてくれとも言えない。


 「お迷いですか?ではこちらがメニューとなりますので、こちらの席でごゆっくりご検討なさってください。決まりましたらいつでもお声がけください。お次の方どうぞ〜!」


 I/O待ちは割り込み許可出して非同期で行う。遅いデバイスを待つことでシステム全体のパフォーマンスを落とすことはない。


 ベアトリーチェを脇に追いやると、次はエリーヌだが、感涙に咽って注文どころではない様子だ。これは対応に困る。迷惑な客やな。


 「これ、ハーブグミ。ゆっくり食べて落ち着いて注文キメたらまた来てくださいね。」


 ハーブの花穂を完全に脱炭酸した強力なリラックス効果があるハーブグミを渡す。合成じゃない本物のハーブグミだ。


 看板を立てかけてきたボブが戻ってきたので、状況を引き継いで接客を交代してもらう。この国で私が出ると何故か大ごとになる。


 キッチンに戻って異教徒のお客さんに向けた新メニュー「カリオモン」の研究開発の続きを進める。これは提供するものとしてはコーヒーなのだがコースメニューとなる。


 青草と花を敷き、専用の焙煎器具と香炉そして茶器を必要とする。三回濃さに合わせて入れる調味料も変わる。ここは定められたルールに従い忠実に再現する。


 しかし異世界にある本来の手順との最大の違いは、ここの固有事情なのだが、相手がやたら大所帯であるため、戒律を重んじて飲まない人が半数と見込んでもそれでも均質な味を出すのが難しい。やれそうなことはいったん全部やった手順を作るがどうなるか味見しないことには分からない。しかもそれを3回だ。


 ぴーんと悪企みを考えついたマリーは、確認も取らずに大量の一杯目のコーヒー「歓迎アボル」を実際に淹れて味見し添加するスパイス料を調整して、売店に出ていく。


 女王とエリーヌはカウンター横のテーブルで赤目にばっちりキマってストーンしていて、侍従と近衛兵たちはまるで人形がなにかのように微動だにしない。何これ?


 「ボブ、これいったい何したの?」


 ボブは、いや何もしてないが……と同じく困惑している。


 「女王とエリーヌのあとが続かないんだ。誰一人注文しにこねえ。」


 違う、そうじゃない。その線ははじめからありうる展開として読めていた。なぜ女王がキマってるのか?


 「なんかエリーヌが、聖女様からの下賜されたものを独り占めなんて出来ないとグミを切り刻んで分けてた。女王には少し多めに。残り、ほとんどゴマ粒くらいになってたのを残り全員に゙」

もちろんマリージェーンが配るお菓子はキマって薬草入りです。

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