第26話 来ちゃった(by 女王)
マリーの森の家に行きますが、定休日で留守でした。しかし店舗兼自宅なので居ると思うじゃないですか。
ボブがマリーの森の家に着くと、定休日の看板が掛かっており、鍵も掛かっていた。
やっちまった。しゃあねえなと帰路につくべく踵を返すと、サササと叢に隠れる人の気配を感じた。
「おい!隠れたの見えてたぞ。ちょっと来いや」と隠れていった叢に腕を突っ込んで摘み出したら、女王陛下だった……。
蒼ざめて土下座する。ひたすら平謝りだ。
「来ちゃった。でも聖女猊下が御幸に出られてるなら仕方ないわね。」
女王陛下が特に怒るわけでもなくテヘペロする。ヤバいって。
「すいません。王都売店の定休日はイコールここの定休日だということ忘れてました。」
「でも、営業日かどうかなんて聖女猊下と大司教さまとの間には関係ないことではございませんか?」
何が言いたいんだ?
「あんたたちどこまで行ってるのよ?X?Y?Z?」
女王陛下とは思えないいやらしい顔つきでニヤニヤして、どこまでいってるとか下世話な話を。それもABCじゃなくてXYZですか。
「僕達はそういうのじゃないですよ。もしそこまでアツアツなら、留守のタイミングに間違えてくるわけないじゃないですか?」
「てっきり、後をつけられてるのを察知して猊下のいらっしゃらないところで曲者を誘き寄せて排除しようという作戦かと」
いや、ホント勘弁してください。女王陛下だって本当に知らなかったんですよぉと涙目で助命嘆願する。
「貴方、もしかしてご自身の立場本当におわかりでない?」
ボブは蒼ざめる。これ処刑か塀の中で一生終えるやつ?
「新教国での聖女猊下の地位は国王や建国者の理念にも優越します。聖女猊下直属の使いというのは、国土を持たない国王と同じなんですよ。私の国の司法行政では大司教さまに手出しは出来ません。だから安心して。」
えっ?そんなに偉いの?でも実質失業者なんだけど。
「それに、私の健康を取り戻してくれたのは、聖女猊下というより貴方だからね。」
?なんのこっちゃ?
「私の病気には薬草の脱炭酸を簡易にしたほうが効くという調査結果が王立アカデミーで証明されたわ。あなたのケーキが私を完治させたのよ」
ヘヴィメタルはまだガンには効かないなか、マリーのレシピでオレが作ったケーキが効いたの?
「そりゃよかったです。お伝えいたします。聖女もお喜びになるでしょう。」
「貴方のが効いたのに、どうして聖女猊下が喜ぶのかしらぁ~?」女王がニヤニヤしながら肘でぐいぐい押してくる。陛下、距離が近いです。
しかしその問に対しては女王が思っている回答ではない。マリーが王都でオレでも作れるようにチューンした、生焼けで薬効成分にならずに残るのを許容して、味付けでなんとかなるオリジナルレシピだからだ。決して2人のどちらかの喜びは2人の喜びという惚気話ではない。
どうでもいいですが、生焼けのあれがガンに効くらしいという噂は本当にあります。標準療法に見放されて万策尽きたあと、冥土の土産に海外旅行して試してみるのもいいかもしれません(推奨はしませんが)




