第24話 ボブが焼く王都支店のブラウニー
ボブは喫茶店のマスターだというのにまだコーヒーの出し方知りません(笑)
聖マリー・ジェーン・ラスヴァン公堂は、端から見ればかわいい街のかわいいお店でしかない。しかし今まさにその中では異教徒の祭典が開かれ、女王すらもその祭典を楽しんでる。
そうとなれば、ボブがやることは一つ。ドリンク類と軽食、お菓子の販売である。また祭典の出演者の物販のための場所貸しも行う。
キュケオン、クッキー、あんぱんといったマリーのテイクアウトと同じメニュー、そしてこの場でポットに入れて出せるハーブティーのほかボブが現地で作るべくマリーが開発したレシピのブラウニーも焼いておく。
売店コーナーのすぐ後ろに用意されたキッチンで来客を確認しながらブラウニーの手順を一つづつ確認して作り始める。
ネスタたちの爆音に包まれる会場よりは静かだが、キッチンでもはっきりと歌は聞こえる。
♪〜革命だ!革命だ! ジャマイカ・キングストンを起点に革命だ!
おいおい、ここの客に女王陛下が居るって知ってるくせに、革命とか歌ってるよ。
ステージを終えて、ネスタたちのメンバーが売店にやってきた。
あんぱん、薬草クッキー、ハーブティーが売れる中、片手にメロディカを持った男が、コーヒーを所望する。
「おい、ホレス。またバビロンシステムの飲み物かよ。インテリはこれだからw」
男の名はホレスというらしい。確かに喫茶店ならコーヒーは必ずあるもので、それ以外はあったりなかったりするので、彼の選択は合理的と言えば合理的だ。
「プランテーションの繁忙期に手伝いで入った時に農園オーナーから振る舞われたブルーマウンテンがいまだに忘れられないんだ。」
「勘違いするなよ、そのコーヒーだって全部俺たち労働者の仕事で出来てるんだ、オーナーに感謝する必要なんて微塵もねえ。」
「あぁ、バビロンの手先に感謝なんてしてねぇ。ただ俺たちの仕事の結晶であるコーヒーは本物だ。」
盛り上がってるとこ申し訳ないが、キッチンからオーブンの完了を知らすチーンという音が聞こえてきたので、取りに入る。
出来たてを味見すると、今まで食べたことがないような深みのある美味が口に広がる。
緑内障を治してくれたマリーのケーキは少なすぎて味を感じられなかったし、快癒祝いに焼いてくれたリーフを中心にしたケーキは、純粋で透明な味わいだったのと対照的に、ボブの人生の深みを反映した大人の渋みというか、でもそれが調和を乱してない全体として一つの作品を形成しているような、とても複雑だけど深い味わいだ。
「オレが初めて焼いたブラウニーだ。次からは売り出すけど今日のところは試食してくれ。」とメンバーに振る舞う。
ネスタの仲間の異教徒集団にすごーくナチュラルに公堂が乗っ取られそうになってますが、お互いに悪気なしです。でも最後にはその異教徒集団ごとマリーが説き伏せてしまいます。




