第23話 公権力のガサ入れ
カクヨム版では、警官とか機動隊とかでなく全部「バビロンの犬」だったんですが、世界観にどっぷり浸かってないとそれが何を意味するのかよくわからないので、ルビとしてバビロンの犬を残して、お巡りさんであることを前面に押し出しました。
兵士を連れて、治安警察が恐れ多くも聖マリー・ジェーン・ラスバン公堂に踏み込んで来たのは自然な成り行きだった。彼らもそう動かざるを得ないのもよく分かる。しかし異教徒といえど弾圧はご法度。
ここにおいては、誰であろうと、どんな背景があろうとも来る事は許されるし、他人を害しさえしなければどんなことも許される。
「この乱痴気騒ぎの責任者は誰だ?」
治安警察が大声で喚き立てる。つまり誰が相手だか分かってないということで、裁判所の令状は取れてない。令状とジョイント巻いてから一昨日来やがれ。
「一応、私がここの売店担当してますが、この場所自体は公共の場であって、ここで誰が何をしようが勝手です。」ボブはネスタたちに火の粉が飛ばないように、ここで営業してる店のものだが、彼らのことは全く迷惑だとは思ってないという建付けで対応する。
警官は、ボブを値踏みするように見て、「ここはもともと王国が聖女猊下に寄進した聖堂なんだが、お前は誰の許可を得てここで営業してるんだ?」
見るからにこの利権組織としての「営業許可」の発行手数料という名義の袖の下を要求してるのは明らかだが、お前こそ誰の許可とってここで営業してるんだ?
それこそほっといてくれ。確かにこの人数の兵士とやり合って勝てるとは思わんが、元中堅冒険者として、タイマンではこっち丸腰向こうフル武装でも負ける気はしない。
「うるせぇバカヤロウ。ここでは誰かを排除しようとするものは排除されるんだ。よ~く覚えとけ。」
ボブは昨日来たばかりの売店のオヤジとは思えない、まるでその場を仕切る親分の威厳を醸し出して警察機動隊を威圧する。
警官と機動隊員もさすがに怯んで、兵士たちに目をやり「こいつを取り押さえろ!」と命じた。
それとほぼ時を同じくして、さっきまでトースティングをしてたサウンド・システムから聞き覚えのある女性の声で「王命である。王都警察署長を取り押さえよ!」と聞こえた。
サウンドシステムのほうをみると、ベアトリーチェ先代女王がマイクを持ってウインクしてる。うげぇ、気持ち悪い。
兵士たちは戸惑いながらもさっきまでボブに袖の下を要求してた警部に手錠をはめ、手足を縛り猿ぐつわを噛ませる。
女王怖え……。
「王命……ということは重祚されたんですね。」
「えぇ、聖女から健康を取り戻しすものを賜ったということは、まだ引き続き使命を果たせとの大御心と解釈されるので、まだ本調子ではないけど官僚が引退を認めてくれなくてね」
間接的だけどマリーが国王を指名したってことになるの?
「ある程度は見逃しておこうと思ってたけど、あそこで止めないと、あなたのことだから営業許可書だと言って大司教任命の聖女詔勅を手渡したうえで、見てる横から破り取って鼻かんでたでしょう?」
かまねえっての!
引退してた女王がまた王位に返り咲いています。聖女が下賜された菓子を食べた結果健康を回復したということで、王位に戻りなさいという啓示として扱われるのが新教国のルールです。




