第20話 もう一人の「ボブ」
ここから集団転生者の異教徒たちが出てきます。というかカクヨム版書いてたときは主役取られた?ってくらい転生者集落のメンバーが集中して、いつこれ落ち着くんだ?って焦ってました。
ボブの心を反映したかのような急な土砂降りの中、公堂の庇に駆け込んできた男がいた。伸びた髪を邪魔にならないように編み、南洋の異教徒の信仰の証ともいえる緑赤黄の服に身を包み、ギターとおぼしきケースを持っている。
庇の下じゃなくて中に入ったらどうですかとボブが室内に招き入れる。いや、ここは公堂とは言え聖堂として用意された場所なのに、異教徒とはっきりわかる若者を招き入れて良いのだろうかとは少し気にはなったが、雨に濡れて身体を冷やして健康を害するのを防ぐというのは信仰以前に人間としての最低限の配慮というものだろう。これはマリーだってきっとこうする。あとは本人次第だ。
若者は言われるまま、寡黙に、申し訳なさそうに室内に入る。少し緊張を和らげよう。
「俺の名は、ロバート・C・ランドール、無職だ。いや、無職になって雨宿りにここに来た。お前さんどうなんだい?」
「ロバート・ネスタです。」
「おお!同じロバート仲間じゃねえか。これもなんかの縁。雨がやむまでとは言えお互い気持ちよくやり過ごそうぜ」
「ここは、煙大丈夫ですか」
「よく知らないけど、設立の理念から行けば大丈夫なんじゃね?」
そう言うとネスタはギターケースから紙巻きの薬草タバコを取り出して、ボブにもどうかと勧めてきた。タバコのようだが、何だかマリーがお菓子に練り込んでた薬草みたいなものにも見える。
「もしかして、このタバコ、これか?」
ボブはマリーから預かった花穂を見せると、若者が驚いていた。
「なんですか、この神々しいまでの良質なハーブは?!あり得ない熟成状態です」
「ここの公堂を捧げられた聖女がくれたんだ。何でも、ここの公堂の売店でケーキ作れってさ。」
「やはりここは、バビロンシステムの寺院なのですか?」
何そのバビロンシステムって?
「センシティブなところは触れたくなかったが、お前さんたちの信仰と異なる宗派なことは確かだな。でもマリーは異教徒だからといって弾圧とかはしないし、他人の良心にまでは踏み込まない節度ある聖女だぜ。」
こうして、少しづつ誤解を解きながらふたりは打ち解けていき、ついにはネスタがギターで歌い、ランドールがボディパーカッションでリズムを付けて共に歌うところまで打ち解けた。
♪〜目覚めよ、そして立ち上がれ! あなたの権利のために立ち上がれ!決して諦めることなかれ!〜!
軽快なリズムに重厚な南洋の人間賛美の教えが歌い込まれる。
「キメた。オレ、これからここに歌いに来る。」
ネスタはこのあとしばらく主人公並みの存在感を放ちます。




