第19話 追い詰められたボブ
よくある、冒険者ギルド追放です。
しかし悪い意味ではなく恐れ多いとして敬遠される話
実際には女王引退のかわら版とマリーから渡された開封済み包装紙の二回しか用途外の鼻かみなんてしてないのに、まるで重要書類とみれば鼻をかむとみなされて、同じものを二部以上渡されるのが習慣化してるが、ボブは今回は別に鼻をかんだりはしなかった。
エリーヌや祭祀部とともに聖女マリーからの返事をベアトリーチェ先代女王の前で読み上げる。先代女王は明らかに先日よりも色つやが良い。マリーから下賜された菓子が効いてるようだ。
やるべきことを終えて、しばらくお留守してたギルドに顔を出したところ……。
「お願いできる仕事はありません。」
へっ?
「この時期だと、ほら、デニスの旦那んとこの草むしりとか、ブライアンとこのどぶさらいとかいつもあるじゃん」
「『白金の触媒』さんとこが片付けちゃいました。」
エリーヌのやつ、出し抜きやがったな。確かに彼らはAランク俺はCランク。単価が同じならどちらに頼むかなんて明らかだ。しかしデニスの旦那やブライアンのオヤジとは顔付け出来てるので、そこは取っておいてくれると思ったのだが。
「じゃあ新しい案件とかはないのか?」
「ロバート・ランドール大司教さまにお願いするような大それた仕事はうちには来ていません。」
はいいい?
「それに、大司教さまには聖女の御言葉を王国に伝えるという大切なお仕事がお有りではありませんか?」
えっ、オレ冒険者ギルド除名?
「聞いての通りよ。聖女猊下の使いの者をかのような汚れ仕事をさせる不届き者はこの国には居ないわ。聖女の恵みをこの国に届けるこの国の根幹に関わる天職を全うしなさい。やり残した業務はうちが全部引き継ぐ。」
エリーヌがさらっととんでもないことを言ってのける。聖女に関わったら俗世の籍は無いものらしい。まるで死人扱いだ。
落胆してギルドを後にして、誰も拒まない場所として解放せよと聖女の命により新たに設置された聖マリー・ジェーン・ラスバン公堂へと向かう。大仰な話になってるが、寄進ではなく市民の憩いの場として、また家なき人々の待避所として国で管理しなさいという書簡を他でもない自分が先代女王に渡した、あの、かわいい街のまるでかわいい飲食店の居抜き物件のような「聖堂」である。
そこには、額に入れられたマリーの書簡がありがたそうに飾られており、これを本人から先代女王に渡したのが今はギルドを体よく追放された無職みたいな身の上の自分だという実感が全くわかない。それにしても聖女の詔勅が出たことに関してはなんとも仕事が速い。
公堂の内部を見ていると、外は雨が降りはじめた。
次からは物語が次のフェーズに雪崩込むんですけど、切れ目は此処じゃないんですよね。幕間挟むかどうか悩みどころです。




