第18話 王都支店開店準備
すっかり鼻かむのがボブのトレードマークになってしまってますが、実際にはまだ二回しかかんでません。その時の紙が大問題だったせいでずっといじられてます。
「聖堂の寄進は受け取れませんが、市民の方々の憩いの場として、わたくしの名を冠することは構いません。いずれその場所にうちの売店も出店できるようにします」
そう返信をしたためて、日付スタンプを押印しボブに託す。
『神からのみ受け取り、神に対してのみお返しする。』それがマリーの信念だそうだ。それゆえ寄進を受け入れたとなると寄進した者が一歩リードしてしまうので、公平を期すため受け取らないとののと。
受け取らないのに名を冠するのはオッケーというのは、信心が本物であればその名を汚すような事は出来ず、継続的に好ましい循環によりその場所を維持するように整備するはずであるという信心を試していると受け取られているが、要は管理がめんどくさいというのが本音らしい。
「とは言ったものの売店出すにしてもこちらを空ける訳には行かないからね。ボブ、あなた暇なときで良いからやってみない?」
「いや、オレは冒険者だからな。こう見えて中堅で、この案件ならオレと指名してくれるお得意先も片手で数えるほどでしかないが居ることは居るんだ。不義理は出来ねぇ。」
「暇なことがあらかじめわかってる日程の不定期で良いよ。約束を形式的に果たすためだけの話だから。」
「あぁ、行けたら行くように現状を鑑み前向きに善処するよ。じゃあな。」
こう言うと、先代女王への書簡を何故か2つ持たされて、基本鼻をかまないように。かんでしまったらかんでない方を渡してねと念を押されて、送り出された。
しかしこのときまだボブは気がついてなかった。既に二度と中堅冒険者としての日々を過ごすことが出来ない身となっていたことに。
――
ボブに切り盛りしてもらう売店で完全な脱炭酸を求めるのは酷なので、花穂を使って完全な脱炭酸でなくても充分な効果が得られて風味も出る簡易レシピを作る。
少し脱炭酸されない成分が残っちゃうけど、これはこれで自然の恵みとしてとても健康に良い成分でもあるのよね。脱炭酸されきらないハーブの素材の味を生かし、えぐみをクリームで相殺して……出来た。
簡易手順のため、脱炭酸された有効成分と中間的な複数種類の中間的な成分、そして自然に形成されたまだ脱炭酸されてない成分が渾然一体となって混ざり合う温度と時間。これと味を調整する砂糖と塩、蜜、香り付けの洋酒。あとは花のあとにできる種子で味の調整。
手順を書き記して、ボブになりきって作ってみる。各手順を時間を倍にしてやってみたりしてどうやってもそれなりのものが出来上がる完璧な手順、ボブのことバカにしてるわけじゃないけど、花穂は少し貴重な素材なので、ちょっとのミスでだめにしたらもったいない。
きっとボブに渡したらどうせそのうち何枚かは鼻かむと思うので、レシピは五枚用意した。
大事な紙で鼻かむのって、別にはじめから考えてたわけじゃないんですけど、ボブが主人公の相棒なのに影薄いよなと突っ込んだ小ネタだったのがいつの間にかボブを象徴するキャラになってしまいました。はじめがどれだけキャラ薄かったんだよって話ですね。




