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第15話 エリーヌとの合流

マリー崇拝者が元々あちこちにいました。聖女教団は旧教国の第二王政のアリンス王国の国内にありましたが、古代祭祀復興を果たしたマリーへの崇拝は新教国のほうが強いって設定です。

 ボブが紙包みを持って王都へ帰ってきた。エリーヌは単身で帰ってきたボブを見て落胆する。


 「薬草師の方、連れてこれなかったのね……。」


 「あぁ、店を空けるわけにいかねえんだとさ。だからテイクアウトしてきた。」


 「王室の用事よりも店のほうが大事なの?すごいズレた人ね。世が世なら不敬罪だわ。」


 その世が世ならというのも、女王が退位を表明する前というほんの数ヶ月のレベルの世の違いだと、薬草師の常識のなさを非難する。


 「あぁ、別に俺たちの思惑は王命とかではないからな。確かに先代女王のための行動ではあるが、別に女王が自ら希望したわけじゃない。したがって不敬罪にはならない。」


 居るんだよね、目的とそのための権限を同一視してしまって突っ走る人。俺たちは女王のためにマリーに会わせたいと思ったが、その行動の主体はどこまでいっても俺たちであって、その遂行のために女王の権限を利用する許可は女王から降りてはいない。


 「で、喫茶店のテイクアウト買ってきたと。」


 何やってんだかと呆れた様子でエリーヌは紙袋の中を検める。お菓子の包装と一緒に出てきた注意書きを手に取りふんっと目を通すとみるみるうちに顔が蒼ざめてゆき、震えながら恭しく両手でテーブルに置く。


 「………。わかったわ。祭祀部へ持ち込みましょう。そしてこれは、私たちが頼んで買ってきたというのは伏せましょう。聖女様から下賜されたということで。」


 「はぁ?なんだよそれw。下賜かしされた菓子かし?つまんねぇ〜wwww」


 エリーヌはテーブルに鎮座した注意書きを触るのも恐れ多いと両手で指し示しながらボブの無神経さに苛立ちながら言う。


 「あなた、こちらの書が何だかホントに分かってる?」


 「あぁ、目の前で書いてくれたぜw」


 ボブはあるがままに話す。目の前で注意書き書いてハンコのダイヤル回して日付入れたことも。


 「あなた、そのお方の御前で不敬働いてないでしょうね?聖マリー・ジェーン・ラスバン聖女猊下、当代の聖女であらせられるお方よ。」


 へっ?!いや、名前あってるけど、何その聖とか聖女猊下って?


 もしそうだとしたら、タメ口叩いて、くしゃみして、目の前で鼻かんでとどれが不敬に当たるかとか思い当たるのが多すぎてどこから挙げればいいかわからない。


 「マリー・ジェーン・ラズバンなんてどこにでもいる名前だろ?たまたま同姓同名なだけだろ。」


 「いいえ、こちらの筆跡も聖女印も文体の癖も間違いなく聖女猊下のものですわ。何回か異常気象とその対策についての預言をこの文体で女王陛下に通達してたの。そりゃお呼びできる御方ではないわ。こちらからお伺いする相手です。そして、たぶん話はすごく単純になったわ。」


 新教国であるこの国では王命よりも聖女の勅書のほうが重んじられる。なんなら聖女の勅書を実現するために立法や行政のすべきことに落とし込むのが国王の仕事とすら見られている。つまり、聖女が下賜した菓子は国王といえども先代女王といえどもその指示に従い食べるしかない。


マリーの影響力の大きさを知らぬはボブ一人なり。

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