第14話 そんなお持ち帰りメニューがあるか!
いや、よく冒険に出たり、溺愛王子様と旅行行ったりするじゃないですか、その間店どうするんだろって気になって夜しか寝られないんですよね。
「え〜、やだぁ」
ボブが女王と会ってほしいと頼んだら間髪入れず返事がコレだ。
「頼む。人助けだと思って、あの花穂を使った強力なケーキを作ってほしい。女王に知られたくないならオレ名義で出すから。」
両手を合わせてボブはマリーに頼み込む。
先代女王の治癒だなんて面倒な事に巻き込まれる気は無い。
「うちは、テイクアウトやってるけど、日持ちするものだけ。ケーキは日持ちしないからダメなのよ。それに脱炭酸した花穂のケーキは強すぎるからパクって一気に食べたら死ぬよ? 死ぬ恐れのあるものを先代とはいえ女王に献上して何かあったら私まで生命狙われるわ。絶対にダメ。それに来てくれるお客さんが居るのに店空けるわけにいかないし。」
ボブはそれを聞くと、アレ?と思った。
ボブが世話になってた時にこの店にはテイクアウトメニューなんてものはなかった。
「テイクアウトなんて始めたんですね?」
「ええ。なじみのお客さんの要望にお応えして。」
♪カララン
噂をすればなんとやらで、常連さんが女性を連れてやってきた。奥さんだろうか?常連さんの後ろで頭を深く垂れている。
「いらっしゃいませ。窓際のお席へどうぞ…。」
客が来たなら席に案内してお冷やを出す。もはや意識することすらなく全自動で身体が動く。
「いつもの。2人前で」
「かしこまりました。」
女性はふるふると全身震えている。鍋を火に掛けて沸くまでの間ボブと話を続ける。
「で、どんなのならテイクアウト出来るんだ?」
テイクアウトメニューのサンプルを持ってきて包み紙を開いて一つづつ味見する。
「味わいと保存性に重点を置いたから、治癒効果は薄いわよ。」
「うん。全然大丈夫だよ。これで完治する未来がはっきりと見える」
特にカスタマイズすることなく、スペースクッキーとキュケオンヨーグルトとあんぱんを選んで、持ち帰り用に新しいのをと注文を入れる。
話が一段落した頃合いで鍋が沸き立ってきて、白い粉をいれると沸騰が沈静化、そこにパスタを放り込む。穀物のいい香りが充満する。
「ハックショーン!ちくしょう〜!あ゛ー。」
ボブが鼻を垂らしてる。イケメンが台無しよ、ほらっ早く鼻かんで!と散らかしていた包装紙を渡す。
ボブはチーン!と鼻をかみ包装紙をクチャクチャに丸めてゴミ箱に捨てる。
常連の奥さんが、まるで世界の終焉を見たかのような絶望に満ちた顔をしていた。どうしたんだろう?
とりあえず、ボブ注文のテイクアウトを紙袋にまとめ、注意事項の書いた紙を読み聞かせて、おもむろに御璽のダイヤルを回して調理日と有効期限をセットして同封の注意書きに捺す。
「しかしすごい注意書きだな。食べる前に休む準備しろだとか、歯磨けよだとか…どんだけヤバいもんなんだよコレw、そんなお持ち帰りメニューがあるか!」
ボブが注意書きを音読しながら突っ込んでいると、また常連客の奥さんが開いた口がふさがらないといった顔をしている。
茹で上がったほかほかのスパゲッティにハーブソースを絡めてテーブルに出すと奥さんは両手を合わせハラハラと涙を流しながら祈りを捧げて、ゆっくりゆっくりと食べ始める。
そんな〜があるか!はテンプレですけど、モノに対して使うもんじゃないですね。




