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遡る年月と…
元々、その海の浜では
近くは空襲で亡くなった方々を荼毘に伏したこともあるのだろう
(もっと遡れば、その場所は大昔に、大震災によって破壊された場所)
夏がくると、思い出す
『僕が溺れて、助けに来ようとしたのは分かったのだけれど…
その人の最期は、苦しそうで苦しそうで、溺れている僕に縋り付いてきて…
怖かった』
助けようとした人を振り切って、生き延びた人はそう言った
その人は、慟哭し
何度も何度も、誤っていた
その人の息子が、その前年
海難事故で亡くなっていた