三 実写版(映画)
三 実写版(映画)
小学生の時、二学期になってからだと思うが、実写版のパート3の上映会が行なわれた。話としては、街が落ち着いたところから始まっている。
生々しい原爆の痕が映し出されており、投下直後の場面は、リアルタイムではなく、過去の話として、表現されていた。私が、憶えているのは、二人の男性が、通りすがりの犬を捕まえて、食べるシーンやゲンが、落として砂利塗れのガムを拾って食べる場面が、印象に残っています。原爆の酷たらしさは、火傷をしていなくても、髪の毛が、全部抜けてしまうのは、ゾッとしました。それを少年達から、からかわれている少女が、被爆者の悲哀を表しているように見えました。今なら、このシーンは、差別的な演出とかで、カットされるかも知れない。思い出すと、心が痛む。流石に、笑い声は、聞いていない。そして、この作品の真の悲劇は、妹の死である。しかも、原爆ではなく、敗戦後のゴタゴタによる栄養失調でだ。乳飲み児が生きて行くには、過酷な環境である。ラストには、動かなくなった妹を箱に入れて、火葬するシーンで終わる。原爆のイメージが強いのだが、妹には、原爆症のような症状は、見受けられなかった。ゲンの人生の一部を切り抜いた感じである。結局、バッド・エンドでしかない。この時点では、気の滅入る作品にしか思いませんでした。