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1ヶ月がすぎ2ヶ月がすぎた。
半年も経てば自堕落な生活にもすっかり慣れた。
朝というか昼すぎてからでもゆっくりと起きる。
そのおかげでストレスがない。
なにしろ食うに困らない。
余裕でいっぱいだ。
とにかく1日で10万円を使い切らなきゃいけないのでまず食事は豪華になった。
1日の食費だけで3万円くらいは使ってる。
それでも10万円を使い切れない日もあった。
夜になって部屋に戻るとまだ18,000円ほど余っていた。
もちろん翌朝には間違いなく財布に10万円が入っている。
はぁ、毎日10万円を使うっていうのも大変なんだとつくづく思った。
ちょっとした距離でもタクシーに乗ったりなんかして「毎日10万円を使う」ってノルマをこなす毎日も本当に楽じゃないんだよな。
その日、風俗から出てきた。
4万円使ってすっきりな恒明だ。
昼をすぎていた。
サラリーマンたちが昼休みで忙しそうに歩いている。
昼休みって1時間ほどだからみんな早く、安くって昼なんだよなぁ。
それに比べて自分はホテルでランチだ。
ゆったりと豪華にお昼だ。
恒明は気づいてなかったが歩き方が変わっていた。
非常にゆったりとゆっくりと歩くようになっていた。
経済的余裕ができたのであくせくすることもなくなったからだ。
こんな生活ができるなんて本当にあの外人さんには感謝だ。
恒明は今の生活を本当に楽しんでいた。
ひとつ重要なことをピエールは言い忘れていた。
例の長財布はある生きものから作られている。
生きものだから寿命がある。
寿命がくれば契約も終わってしまう。
恒明はあと何年こんな生活を送れるのだろうか?
(完)