4-1
4
思った通りだ。
翌朝にはきっちりと長財布に1万円札が10枚入っていた。
これで証明はされたが他の気になることがいくつもあった。
それらをすべて試してみることにする。
ハローワークや求人検索なんかは完全に後回しになった。
まず気になっているのは財産としてのマックスは10万円しか持てないのかということだった。
10万円を超えて現金という財産がある場合は翌朝にリセットされて10万円に戻されてしまうのかということだ。
そうだとすると銀行での貯金ができないし、仮に働くようになった時には20万円の給料があっても翌日には10万円になってしまうのか?
あっ、まてよ、毎日毎朝10万円になるのならそのほうが得じゃないのか?
20万円で1ヶ月生活するよりも毎日確実に10万円を手にできるってほうが絶対に良いじゃないか。
あれ、そうなると毎日10万円使っても明日も10万円使っていけるってなれば1年で3,650万円もの大金を使えるってなるじゃないか。
1週間ほどいろんな思いついたことを試してみた。
大事なことなので念には念を入れてだ。
試しにギャンブルをやってみた。
勝てない。
何をどうやっても勝てない。
魔法にでもかかってるんじゃないかというくらいに必ず負ける。
つまりこのリセットされたお金では増やすことはできない。
消費することのみに使える10万円らしい。
結論としてはだいたい予想通りだった。
その日から恒明の生活は大きく変わった。
とんでもない大きな贅沢はできないが満足のいく毎日だった。
なにしろ住む所や食べものの心配がまったくなくなった。
これまで手が届かなかった高額の食事だって食べ放題だ。
明日の朝になればしっかりと現金10万円が補填されているのでちまちま働いてやろうなんて気持ちもすべて吹っ飛んでしまった。
こんなことならあの時の契約で1,000万円、いや1億円とかにしておけばよかった。
あっ、でもダメか。
財布に入るだけの現金じゃなきゃいけないのか?
なら100万円でどうだ?
それなら入るよな?