雪 蛍
雪蛍が ろうそくをのばして
夏の終わりを 告げに来たよ
何度目か 忘れたけれど
もう大丈夫 壊れたりしないよ
これ以上
時間なんて 止まってしまって
悲しいこと 遠ざかって行って
きっと大丈夫 壊れたりしないって
嘘ついて
あれっきり 止まってしまって
悲しいこと 遠く感じちゃって
いつも 大丈夫 そんなふうに笑ってた
だから
夏が 苦手になった
それだけ
雪蛍が ろうそくをのばして
大切にしてた全部 これ以上
今度こそ壊れたりしないって
姿をかえて 翅をひろげて
真綿のように 舞うように
胸ひしぐ 夏の終わりを 告げるように――――