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史上最弱のモフモフ召喚士~レベル上げは罪ですか?~  作者: パプリカ
第一章 モフモフ召喚士の誕生と成長編
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ギルドへ

翌日、わたしはララに連れられてギルドへと向かった。さすがに制服というわけにはいかなかったので、マリーさんが用意してくれたチュニックを身に付けていった。


ギルドの受付は若い女性だった。わたしと同じくらいの年齢かな。きれいな金髪を両脇で二つにわけ、そこを大きなリボンで止めている。


「あ、ララさん、クエストの報告に来たんですか?」


その女の子はわたしたちを見ると、立ち上がって迎えてくれた。


「あ、いや、そっちのほうはキャンセルでお願いするよ」

「え、失敗したんですか?そんなに難易度は高くなかったはずですけど」

「そうじゃないんだけど、実はさ」


ララは昨日と同じように、わたしと出会ったときの状況を説明した。


「へえ、そんなことがあったんですね。アリサさんも大変でしたね」

「う、うん」


記憶喪失という設定が誰にも怪しまれないことに、わたしはなんだか罪悪感を感じるようになっていた。親切にしてくれる人たちを騙しているようで、心苦しかった。


「でさ、アリサのことを知っている人がいないかなってここに来たんだよ。まあ、冒険者として登録していたなら、一番分かりやすいんだけどさ」

「わかりました、さっそくチェックしてみますね」


受付の女の子はカウンターの手元に置いてある資料をペラペラとめくった。


「アリサ・サギノミヤという名前は登録はされていないようですね。ここで登録をしていないだけかもしれませんが、見た目から推察される年齢から考えると冒険者という可能性は排除したほうがよさそうですね」


冒険者に年齢制限というものはないらしいけれど、幼すぎるとその力は覚醒しないらしい。

人によって差はあるものの、だいたい15歳前後にジョブはわかるようになるのだとか。わたしはもうその年齢は超えているけれど、ララ同様、もっと年下に見られているのかもしれない。


「なら、ミア、アリサにジョブの才能があるかどうかも一応、チェックしておいてよ。早めの覚醒もあるにはあるからさ」

「はい、わかりました」


受付の女の子、ミアはわたしに近づくように言った。

わたしは言われたとおりに、カウンターの前に立った。


「それでは、こちらに向かって手の平が見えるように両手を差し出してください」

「こ、こう?」


わたしは指示通りに手の平を上に向けるようにして、彼女のほうに向けた。

ミアはそこに自分の手の平を重ねるようにした。

そうして、しばらく、目を閉じる。


「……え」


次の瞬間、ミアの表情が強張るのがわかった。


「こ、これって……」


ひとりごとのようにミアが呟く。


「どうかしたの?」


ララの問いかけにも、しばらくミアは答えなかった。わたしの顔を、まばたきしながら見つめている。


「ミア?」

「……あ、いえ、すいません。アリサさんは才能がまったくない、一般の方のようです」


才能がまったくない、と言われるのはなんだかショック。やっぱり魔法は使えなさそうだね。まあ、期待はしていなかったけれど。


「そうなんだ。仕方ないか」

「ジョブはそもそも、限られた人の才能だからね。そんな肩を落とす必要ないよ」


ララが励ますように、わたしの肩をポンポンとたたく。


「これからどうしようか。とりあえず街のほうを歩いてみて、顔見知りを探すとかしてみる?」

「うーん、どうしよう」


それは無意味な行動なんだよね。顔見知りなんてひとりも見つかるわけがない。わたしは異世界から来た日本人なんだから。


「アリサさんは記憶がないんですよね。なら、教会のほうに行ってみてはどうですか?これが一番、妥当な選択肢だと思います。ギルドよりも教会のほうがネットワークは実は広いんですよね。素性を探るのなら、そちらのほうが効率的かと思います」


ララにも言われたけれど、やっぱり教会に行くしかないのかな。そんなことをしても無駄なのは百も承知だけれど、断るわけにもいかないかな。


「わかった。さっそく行ってみるよ」


わたしがララと一緒にギルドを出ようとすると、


「あ、ちょっと待ってください」


とミアに呼び止められた。


「なに?」

「アリサさんは、どこか悪いところはないですか?」

「悪いところ?」

「あ、その、心臓が弱いとか」


どうしてそんなことを聞くんだろう?


「普通に歩けてるから、大丈夫だと思うけど」

「そうですか。では、頑張ってください」


頑張る?変な指摘だけど、この世界ではこういうのが普通なのかな?

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