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史上最弱のモフモフ召喚士~レベル上げは罪ですか?~  作者: パプリカ
第一章 モフモフ召喚士の誕生と成長編
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報告

クエストの報告のためにギルドに戻ると、わたしはもう一度モフモフを呼んでみた。


本当に怪我ややけどをしていないのか、モンスターがまわりにいないところで、じっくりと確かたかったから。


やっぱり、モフモフは元気だった。ギルドのカウンターのところでピョンピョン跳ねている。白い毛を掻き分けるようにして触ってみたけど、傷ひとつ見当たらなかった。


「へぇ、ファイヤーモフモフですか。それはかなり強そうですね」


一連の話を聞いたミアが感心したように言う。


「強いかもしれないけど、かわいそうな感じがするからもう使いたくはないけどね」

「そうですか?」


と言いながら、ミアはモフモフを指で突っついた。


「こんなに元気なんですから、ダメージなんてなさそうですけど。モフモフが無敵なら、遠慮なんてしないほうがいいんじゃないですか?これからも、どんどんモンスターに当てていきましょうよ」


ミアは見た目は幼いのに、なんか過激。ギルドの受付をやっているからかな。たぶん、人の死とかにもいろいろ向き合っているのだろうし。


「まだ一度しか試してないから、無敵だと確定したわけでもないんだよね。実際にそうなのかどうかはいろんな実験をしてみないとわからないと思うけど、そういうことはしたくないし」


モフモフが無敵かどうかを調べるには、拷問みたいなことをしないといけない。

剣士に剣で切ってもらったり様々な魔法をぶつけて、その反応を確かめないといけない。無敵かどうかということは、死ぬかどうかを確かめると言うことでもあるんだよね。


そんなの無理、だよね。見ているこっちが辛くなる。仮にそれでモフモフが無事だったとしても、罪悪感は消えないと思う。


向こうにいたときは動物虐待のニュースなんかもよく見たから、同じようなことはしたくないんだよね。


「アリサさんは優しいんですね。でも、その優しさが自分の危険に繋がる場合があるということも忘れないでくださいね。これからはもっと場面が増えてくるはずです。モフモフと違ってモフモフ召喚士には代わりはいないわけですから」

「うん、わかった……って、モフモフには代わりがいるの?」

「そうじゃないんですか?モフモフって毎回別の個体を呼んでいるとばかり思っていましたけれども」

「……別の個体」


そういうこと、これまで考えたことなかった。モフモフはモフモフでしかなく、他の動物やモンスターと違って見た目的な特徴はない。おそらくだけれど、別のモフモフであったとしても、わたしは気づくことがない。

この世界にはモフモフの里と呼ばれる場所があるらしい。そこからいろんなモフモフを召喚しているとしたら?


いやでも、だからと言って対応が変わるわけじゃないんだよね。


「まあ、だとしても、同じことだよ。無限にモフモフが出てくるとしても、ひどい扱いはしたくないの」

「本当にやさしいんですね、アリサさんは。さすがは女神と呼ばれるだけはあると思います。」

「そうかな?」


結構普通の感覚だとは思うけれど、モンスターとの戦いが日常にあるこっちだとやっぱり違う感じなのかな。使えるものは使うべし、みたいな教えが浸透しているとか。


「そうあえば、モフモフのステータスってアリサは確認したことあるの?」


ララにそう聞かれて、わたしは首を振った。


「一度もないけど、そもそもモフモフにステータスなんてあるの?」


たしかステータスがあるのは冒険者に限られているはずだけれど。


「あるかもしれないよ。だって、モンスターにはあるわけだからさ。一度調べてみたらいいんじゃない?もしかしたら、無敵というスキルがあるかもしれないよ」

「無敵スキル?そんなスキルあるの?」

「いえ、さすがに聞いたことはないけど、モフモフならなんでもアリかなと」

「でも、モフモフ自体は冒険者じゃないから、調べようがないよね」


ステータスを展開できるのは、冒険者に限られている訳で。

あ、でも、それならモンスターのステータスってどうやって確認をするんだろ。


「真眼というスキルがあるんですけど、それを使えば他人のステータスも見ることができるようになるんですよ。それで確認をしてみたら、どうですか?」


そうミアが言った。


「そんなのあるの?」

「はい」


真眼というスキルは、相手の本質を見抜く力。人のステータスだけではなく、例えば植物の名前なんかも把握できるという。


「非常に便利なスキルである反面、所持している人も少ないレアスキルなんですよね。アリサさんに紹介できる人がいればいいんですけど」


ミアは手元にある書類をペラペラとめくっている。その途中ふいに手がとまり、ハッと何かを思い出したような顔になった。


「そういえばアリサさん、前に薬局の仕事を受けてましたよね」

「うん、マークさんのところのやつだね」

「そのマークさんですよ、真眼のスキルを持っているのは。いまは冒険者を引退したので、すぐに思い出すことができなかったんですけど」


へぇ、そうなんだ。クローネさんがマークさんは冒険者だったって言ってたけれど、あれって事実だったんだ。


でも、引退の理由ってなんだろう。ちょっと気になるかな。


「実はマークさん、さっきギルドに来たんですよ。アリサさんのことを探していました」

「どんな理由で?」

「さあ、わかりませんけど、そろそろクエストから帰ってくるだろうとは伝えておきましたよ」


じゃあ、こちらから会いに行こうかな。スキルの件だけじゃなく、スムージーがいまどんな感じなのかも確認しておきたいから。


「失礼する」


そのときだった。ギルドの扉が開き、マークさんが入ってきた。

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