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史上最弱のモフモフ召喚士~レベル上げは罪ですか?~  作者: パプリカ
第一章 モフモフ召喚士の誕生と成長編
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はじめてのクエスト。

とにかく、わたしはまずは、レベルを一つだけでもいいから上げて見ようと思った。そうないと何も始まらなさそうだから。


かといって、いまの段階ではモンスターに挑む勇気はないので、わたしはおつかいクエストを選択することにした。


ギルドの受付けであるミアにおつかいクエストを確認すると、壁のほうに設置された掲示板のほうへとわたしは案内された。


「依頼があったものを次々と貼ってあるので、討伐クエストなどとは区別されてはいませんから、探すのはちょっと苦労するかもしれませんが」


掲示板にはいくつもの紙が貼ってある。ミアはそのうちのひとつを指し示した。


「これなんかどうですか?とくに簡単なものだと思いますよ」

「どんな内容なの?」

「貴族の話し相手になるだけでいいものですけれど」


貴族のおばあちゃんが夫を亡くしてひとりで寂しいので、自分の思い出話に付き合ってくれる人を探しているという。たしかに楽そうではあるのだけれども、本当にそれだけでいいのかなって感じもする。


「それって経験値はいくつなの?」

「えっと、100になりますね」


100。ということは、そこから-90%。

つまり、わたしの場合は10にしかならないってことだよね。ほんと、雀の涙って感じでしかない。


「それだとあまり意味がないんだよね。わたしの場合は10くらいになっちゃうから正直、時間の無駄になっちゃうというか」

「そうですか。でも、おつかいクエストだとこの程度のものが多いんですけど」

「掘り出し物みたいなものはないのかな?」

「掘り出し物、ですか」

「うん。少しくらい難しくてもいいから、とにかく経験値が高いものがないかな?」


わたしがそう聞くと、ミアはそう言えば、と何かを思い出したように受け付けへと戻った。


「これなんかはどうですか?さっき来たばかりのものなんですけど、経験値は3000もありますよ」


3000!つまりは一気に300ももらえるってこと?


レベルアップに必要な経験値というのは、ジョブごとに異なるという。

大抵の場合、1から2になるときに必要とされるのは、多くても3桁なんだけれど、わたしの場合は1000が必要なんだよね。


それでも、300ももらえれば、1/3は達成したことになる。かなりの前進と言えるよね。


「内容はどんなものなの?」

「新商品の開発への協力、みたいですね。依頼主は薬局のマークさんという方です」


この世界にも薬局なんて概念があるんだ。なんかビックリした。魔法で全部解決するとばかり思ってたけど、違うのかな。


「薬局ということは、薬の開発ということなのかな?」

「おそらく、そうですね」

「でもわたし、そんな知識全然ないんだけど」


これってそういうことに詳しい人限定のクエストなんじゃないかな。わたしには不向きのような気がする。成功しなければ、結局はゼロになっちゃうわけだし。


「とくに条件などは記されていないので、問題ないと思いますよ。とりあえず本人から話を聞いてみて決めるのもアリですよ。マークさんは高名な薬草医ですから、変な依頼ではないと思いますし」

「変な依頼とかもあるの?」

「ありますよ。この前も絵のモデルになって欲しいという依頼が画家志望の男性からあったので、新人の冒険者に任せたところ、事前には聞かされていなかった裸になれという命令をうけてトラブルになりましたね」

「それは怖いね。同じ女性として同情してしまうかな」

「いえ、冒険者は男性の方でした」

「……」


ま、まあ、画家を目指しているなら、モデルに男女も何もないよね。トラブルになった、という点は気にはなるんだけれども。


「マークさんは大丈夫かと思いますけど、これから長く冒険者を続ける上では、こうしたトラブルは避けがたいものです。何か困難があった場合にはギルドで対処しますので、すぐに通報をお願いします」

「うん、気を付けるよ」

「まあ、モフモフ召喚士であるアリサさんに不敬をはたらく人は滅多にいないとはおもいますけどね」

「そうであってほしいけど」


「それと、もうひとつ注意しておきたいことがあります。経験値は依頼を報告した時点で自動で加算されますが、おつかいクエストの場合、報酬は依頼主から直接受け取ることになっています」

「報酬って、つまりはお金のこと?」

「はい。物の場合もありますが、基本的にはお金ですね。討伐クエストなどではこちらで用意するのですが、おつかいクエストの場合は依頼主本人が支払うことになっています。ですので、依頼が完了した場合にはしっかりと請求をお願いします」


うわぁ、なんか苦手なやつかもしれない。怖い人だったらどうしよう。なにも言えずに引き返してしまうかも。


「ちなみに、今回の報酬は2000ルードになります。あとで確認するので、お忘れなく」


ルードがこの世界のお金の単位なんだね。


「2000ルードってどのくらいなの?」

「結構高額ですね。軽い装備なら揃うかもしれません」

「装備」


装備か、なるほどとわたしは思った。

これまでレベル上げだけを考えていたけれど、装備で弱いステータスを補うという方法もあるんだよね。お金さえあれば簡単に死ぬことはない。


ベアトリスは欲しいものがあればなんでも買ってくれるみたいなことを言ってたけれど、冒険者としての一歩は自分で稼いだお金でなんとかするべきかもしれないよね。


「よし、じゃあこの依頼を受けるよ」

「はい。では頑張ってきてください」

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