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史上最弱のモフモフ召喚士~レベル上げは罪ですか?~  作者: パプリカ
第一章 モフモフ召喚士の誕生と成長編
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プロローグ

「ねぇ、鷺ノ宮さん、あなたって教祖の娘なんでしょ」


よく同級生からそんなことを言われた。

それは間違いだけれど、わたしが否定したところで彼女たちにはなんの意味もなかった。最初からわたしをバカにすることが目的だったから。



わたしは宗教が嫌いだ。お母さんが怪しげなそれにはまり、家庭は崩壊した。


自宅からどんどんお金がなくなるのがわかった。お母さんが宗教に寄付をするため、勝手に持ち出したから。


お父さんはしばらくそのことに気づかなかった。お金のことは全部お母さんに任せていて、お母さんが宗教にのめり込んでいることすら知らなかった。


ようやく何かがおかしいと思ったときにはもう、手遅れの状態だった。


お父さんの給料のほとんどは宗教に貢がれ、家には借金だけが残っていた。お父さんとお母さんは毎日のように激しく口論して、家のものが次々に壊れていった。


不幸は続いた。ストレスがたまったせいか、お父さんは病気になってしまったのだ。


しかも命にかかわるようなものだった。入院したときにはすでにかなり悪化していて、懸命な治療もむなしくお父さんは亡くなってしまった。


それでも、お母さんはあまり悲しんでいる様子はなかった。お母さんにとってはもう、宗教のほうが家族みたいなものだったから。


わたしはとても腹が立ったけど、お母さんは聞く耳をもたなかった。むしろわたしにも入信をすすめてきたくらいで、わたしは呆れるしかなかった。


わたしはまだ高校に入ったばかりの15歳の女子高生だった。お父さんの死だけでも十分辛いのに、家のお金のことも心配しなくてはいけなくなった。


それまで専業主婦だったお母さんは働きに出るようにはなったけれど、それも宗教のために違いなかったし、お父さんの保険金もどこにいったかはわからない。


実際、わたしの生活はどんどん苦しくなっていった。


お小遣いなんてまともにはもらえず、食事もインスタントのものばかり。携帯も古いやつをなんとか使っていたけど、バッテリーはもう1日もつかどうかだった。


わたしは次第に自殺を考えるようになった。家のことばかり頭に浮かび、学校も全然楽しめなかった。


友達もほとんどいなかった。これは高校に入学したばかり、だからじゃない。

中学生のときもわたしは孤独だった。みんなわたしとは距離を取っていて、声を大にするかけてくるのは悪意のあるからかいのときだけ。担任の先生ですら腫れ物に触れるみたいだった。


きっと親からあの娘とは付き合わない方がいい、そんなことを言われていたのだと思う。変な宗教に勧誘されてしまうからって。


わたしには未来がなかった。将来は真っ暗で、このままだとわたしは借金返済のためだけに働くことになってしまう。夢も希望もない人生。


最悪だった。もうその時点で人生の負け組が決まったようなもの。


そんな生き方、意味あるのかな。辛いだけだよね。


この日、わたしは放課後、ぶらぶらと街の中を歩いていた。

なにもやる気が起きなくて、家にそのまま帰るのも嫌。もういっそどこからか飛び降りて楽になりたい、そんな気持ちでぼんやりとどこかへと向かっていた。


「……なんだろう、あれ」


そろそろ辺りが暗くなってきた頃、わたしの目に不思議な生き物が飛び込んできた。


白い毛並みをした小動物が道を歩いている。

ウサギ?


わたしはまずそう思った。犬や猫でも珍しいからまさかウサギがこんなところにいるなんて、と疑う気持ちもあったけど、ピョンピョン跳ねるようにして移動していたのでそれくらいしか考えられなかった。


でも、なんか違うような気もする。ウサギのフォルムよりも丸いような感じ。


そういえば、あのキャラクターに似ているかも。お母さんが好きな宗教では最近、マスコットキャラを生み出していた。


若い人にアピールするためらしくて、お母さんもそのぬいぐるみを持っていた。まあ、あれも献金みたいなものだったけれど。


「あれ、なんて名前だっけ」


はっきりとは覚えていないけれど、でも、そのマスコットキャラクターなわけがない。だって架空の生き物なんだから。


それでも、何か気になるのは確か。

もっと近づいて確かめてみようとしたら、右手の方から大きな音と光。


慌ててそちらを見ると、トラックが間近に迫っていることがわかった。

追いかけることに集中していたため、道路にまで出ていたことに気が付かなかった。


わたしはああ、死ぬんだ、と冷静にライトを眺めていた。

読んでいただき、ありがとうございます。

とりあえず、10万文字超えを目指して頑張りたいと思います。

更新は不定期です。

申し訳ありませんが、感想は受け付けておりません。

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