おてつだいします
セシリアを連れ総合ギルドに着いたカイは、
関所で言われたとおりに受付で名乗り、身分証を提示する。
するとこの件の担当であろう中年の男性職員のいる窓口へと案内される。
「ンー、カイさんですね。そちらのセシリアさんの件、連絡来てます。
ンー、こちらの用紙の太枠内をご記入ください」
「どうも。セシリア、それじゃこれを書…」
「?」
「…けなさそうだな」
セシリアに用紙とペンを渡すカイだったがセシリアは首を横に傾げるだけだった。
「すいません、代筆でも?」
「ンー、構いませんよ」
「あぁ、あとそれとセシリアの冒険者登録とマジックカードの発行もさせておきたいんだが」
「ンッンー、わかりました。セシリアさん、証明写真を撮らせてもらっても?」
「?」
「ああ、大丈夫だ。セシリア、ちょっと動かずに前を向いててくれ。」
「は~い」
男性職員は四角い箱を取り出し、その箱の黒くて丸い穴をセシリアに向ける。
男性職員がその箱をいじると箱からシャッっと音がする。
「ンー、結構です。申請書持ってきます」
「お願いします」
「おねがいします~」
「…っと。言い忘れてたがセシリアにも俺と同じく冒険者になってもらう。
今日ビッグボアを倒しただろ?大体あんな感じのことをする職業だ。」
「カイ君とおなじ…は~い」
「他にも職業は色々あるんだが俺が他の稼ぎ方を知らん…。
それにセシリアの身体能力ならまぁ向いてはいるだろう」
カイはビッグボア戦でのセシリアの耐久力・破壊力を思い出す。
「そうなんですか~」
「そうなんだよ。まぁあと…その服結構高かったんでな。
代金を返せ、とは言わんが俺が稼ぐのを手伝ってくれ」
「は~い、おてつだいします~」
(…まぁ能力的にビッグボアの時みたいに俺がセシリアを手伝う、
みたいな戦い方になるだろうなぁ)
セシリアと話している間にも必要事項を埋めていくカイ。
しかしある項目のところでペンが止まってしまう。
(年齢…年齢って何歳だセシリア?…女の人に歳を聞くって抵抗あるな……
いや仕方ないか…というか一応聞くがしかし…)
「あー…セシリア?セシリアって自分の歳がわかるか?」
「としですか~?…ん~…?」
「まぁ…だよなぁ」
「ンー、お待たせしました。
こちらが冒険者登録申請書、こちらがマジックカード発行申請書です」
「ああ、はい。それでセシリアの年齢がわからないんだがどうすれば?」
「ンーッン、カイさんのと同じ年齢を記入してもらっていいでしょう。
見たところ大体同世代くらいに見えますし、
仮登録となるとそこまで重要な項目でもないので」
「どうも」
カイは空白だった年齢の欄に’28’と記入する。
他の用紙も記入した後に男性職員に提出。
男性職員は記入項目に不備がないことを確認し、それらを持って裏に回る。
そして2枚のカードを持って戻ってくる。
「ンー、お待たせしました。セシリアさんの住民登録が済みました。
こちらはセシリアさんの冒険者免許証とマジックカードとなります。
男性職員はセシリアの顔写真付きで’E’と大きく書かれたカードと
セシリアの名前、とあるマーク、そして’0’と書かれたカードをセシリアに差し出す。
「ンー、手続きは以上です。お疲れさまでした」
「お疲れさまでした」
「おつかれさまでした~」
(確かに簡単に済んだな…いいことだ。
…次は換金かな。セシリアにマジックカードの使い方を覚えてもらうか)
カイは手持ちの魔物素材を換金するべくセシリアを連れ、冒険者ギルドへと歩みを進めた。
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