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おいしいですか


「ありがとうございました」


「お大事にどうぞ」


「……」



起きた後、念のため、ともう1日入院させられてから病院を後にするカイ。

その間もセシリアはカイとは離れずくっついたままだった。




「退院おめでとうございますわ!」


「おっおめでとうございますぅ」


「むっ」


「ああ、ありがとう」


「…」


「とりあえず冒険者ギルドに行きましょう!悪魔の角を買い取ったのは神殿ですが

振込手続きは冒険者ギルドでもしてもらえるそうですわ!」



2人は言われるがままに冒険者ギルドに連れられ、今回の依頼の報酬を受け取る。



「…というわけで快気祝いですわ!じゃんじゃん召し上がってくださいまし!

ワタクシのおごりでしてよ~!」



そして半ば強引にギルドの食堂に2人を連れて来たクリスが高らかに言う。



「…いいのか?セシリアかなり食べるんだが」


「構いません事よ!お二人は命の恩人ですもの!!

むしろこれくらいでは足りないくらいですわ!!!遠慮せずどうぞ!!!」


「そうか…?まぁそれならありがたくいただく。

ほら、セシリア。おいしそうだぞ」


「…ぱくっ…もっもっ」


「む…ガツガツガツガツ」


「あのぅ、カイ様。セシリア様のことなのですけどぉ…」


「うん?」



セシリアの口に食事を運ぶカイへアンジェがおずおずと話しかけてくる。


聞けば、悪魔がセシリアのことを堕天使と呼んでいたこと。

堕天使は何かしらの超常の力を持っている場合があること。

セシリアは怪力・滅多に傷つかない肌を持ち、且つ瀕死のカイの体力を回復させたこと。

以上からセシリアは恐らく天界から堕ちて来た天使…堕天使だろう、という話をする。



(堕天使…堕天使って言われてもピンとこないな…。

まぁセシリアの変わった部分はそれで納得行くか…?…ん?)


「そういえばセシリアは前の記憶が無いみたいなんだが」


「あっそれはぁ堕天使様の多くは天界にいたころの記憶は忘れてしまうみたいなんですぅ。

一部記憶を残した堕天使様もいらっしゃるみたいですけどぉ…

ちなみにこういった天使様・天界関連の知識は記憶を残した堕天使様から教えていただいたもの、

と神殿の記録には残ってますぅ」


「ふーん?……セシリアは天界に戻ったりするんだろうか…」


「あっそれはぁまずないと思いますぅ。天使様が堕天するのは自らの意思なのでぇ。

セシリア様が堕天した理由・目的はわかりませんがぁ…。

天界としても堕天した天使様を呼び戻すことはないそうですよぉ?」


「…そうなのか。ありがとう」


(思いがけずセシリアの正体がわかったな。

これで身内が現れたら…みたいな懸念も無くなったか。

本格的にセシリアとの今後を考え…)


「あっ…あのあのっそれでお願いがあるんですけどぉ…」


「うん?」



「せっせひりあしゃま!あくっ…握手してもらえませんかっ!」




アンジェは天使に憧れていた。

彼女の本名’アンジェリカ’という名前は両親が付けたものだ。

意味は天使に由来し、アンジェの両親が彼女を天使のようにかわいいから、と名付けた。

そこからアンジェは天使に興味を持ち、神話を調べることで天使の気高さ・高潔さに触れる。

興味が憧れへと変わっていった。その中に堕天使の記述もあったが

その堕天した理由はいずれも誇りに溢れ、美しいものだった。

よって堕天使も彼女の憧れの対象だった。


その憧れの存在…堕天使のセシリアが目の前にいる。

アンジェは我慢することが出来なかった。


セシリアは食べることを一旦止め、アンジェに向き直る。

そして自分へと伸ばされた手をぎゅっ、と握り胸へと引き寄せる。



「ひゃわっ」


「アンジェさん…あなたがいなかったらカイ君もいなくなっていたとおもいます…。

とってもかんしゃします。ありがとうございます」


「そそそっそしょそんないいいいいんですよぉうえへへへへぇ」


「あっすまない感謝が遅れた。俺からもありがとう。助かったよ」


「うぇへへへはい~…へへへ…」



憧れの存在から握手以上のものをもらってしまったアンジェはのぼせ上ってしまう。

カイはどうしていいかわからなくなり、テーブルの上に並べられた食事を見る。



「…まぁセシリア。折角なんだし食べよう。冷めると美味しくなくなるし」


「…わたしがカイ君にたべさせます~」


「え…んぐッ」


「おいしいですか~」


「ん…あぁ、おいしいよ」


「い~っぱいたべてくださいね~」


「んむぃ…あぁありが…んぐっ…ちょっ…ペース落として…んんっ」


「その調子ですわよカイさん!ほら、サンバンも英気を養う為にもっとお食べなさいな!

昇級試験も近いことですし!」


「む……ガツガツガツガツ」


「んぐっ…昇級試験?…んむっんむっ」


「そうですのよ!前回ワタクシ達そろってC級への昇級試験を受けたのですが

サンバンだけ落ちてしまいましたの!サンバン?今度はしっかりお勉強してもらいますからね!?」


「昇級試験!!…んむっ」


「むっ」


「ふぇっ」


「どっどうしましたの?」



急に声を上げるカイに驚く一同。

セシリアだけは変わらずカイの口へと食事を運んでいた。



(昇級試験!!そうだ!冒険者ランクを上げとけば依頼の幅も増えて収入も増える!

今までより格上の魔物も相手出来るようになって強くなれる!)


(稼ぎとレベルアップが同時に叶えられる…これだ!)


「なぁ、勉強してもらうって言ったけど筆記試験のことだよな?…んぐっ」


「え…えぇ、サンバンは筆記試験で落ちてしまいましてよ。

実技の方は既にC級並の実力はあると言われましたけども…」



昇級試験は筆記試験と実技試験とに分けられる。

その両方をクリアして初めて上のランクへと昇級が認められる。



「良かったらその勉強を俺にも教えてもらえないだろうか?頼む!…んむっ」



真剣に頭を下げるカイの口にセシリアが食事を突っ込む。


実はカイは何度かC級への昇級試験を受けている。

しかし筆記試験は難しく、また実技の方も振るわず、

さらに受験料もバカにはならないので昇級は諦めていた。


しかしここに来て魔術を指導してもらい魔術のレベルが上がる。

さらに報酬も多く入り受験料にも余裕がある。

加えてすでにC級になっており指導もできる人物がいる…。

この機を逃す手は無いと思いカイは動いた。





冒険者資格の昇級試験まであと2週間程だった。



閲覧ありがとうございます。


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