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私立花山学園玩具研究部  作者: にもてん
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1話 玩具研究部ってなに?


「園田さん、告られたらしいよ。」


「えっ、嘘?」


「あの子ほんと男に媚びんのだけはうまいからね。」


「やっぱ嫌いだわー。」



恐ろしいほどに爛れた会話を交わす女子グループ。



「こないだチャリ2ケツしてたらこいつ急に飛び降りてさぁ。マジギャグセン高くね?」


「それは流石に笑うw」



ゴミみたいにつまらない話で盛り上がる男女混合グループ。

そして教室の隅にいる僕。

僕は相模型太郎。高校2年生。友達はほとんどいない。しかし、そんな僕にも想いを寄せる人がいた。

多空梨華。彼女も男女混合グループの中で、男のゴミみたいにつまらない話で盛り上がっている一人だ。

一人机に突っ伏して、寝たふりをしながら会話を盗み聞きしているような人間に、彼女が振り向いてくれるはずもない。それは分かっているけど、可愛いのだから仕方がない。



「放課後カラオケ行かね?」


「あーわり、俺ら部活なんよね。」


「あたしも部活ー。」


「え、ウチいきたーい!梨華は?」


「行こっかな。」


「おけ、じゃとりま3人で行くか!」



梨華さんまで行ってしまうのか。男一人と女二人で放課後にカラオケ?犯罪じゃないのか?



「そーいえば梨華ってなんか変な部活入ってなかったっけ?」


「あーあれね、玩具研究部…?でしょ。」


「そーそれ!なんの部活なん?って感じ笑」



玩具研究部?なんだそれ。彼女がそんな部活に入っていたなんて知らなかった。

玩具がテーマの部活?その上憧れの彼女もいる?もしかして最高の部活なんじゃないか。



「それ行かなくていーの?」


「うん。中学の先輩に無理やり名前書かされただけだし。」



玩具と言う響きと、憧れの彼女がそこにいると言う情報で僕の頭はあっという間にいっぱいになってしまっていた。



「ヲイヲイ!氏!新弾のパック情報見た!?」


寝たふりをしながらもワクワクに胸膨らませていた僕に話しかけてきたのは、学校で唯一の友人と言える男。

倉治紺助。一年の時、お互いぼっちだったところからたまたまアニメの話で盛り上がり、そこからお互いに唯一の友人としてつるんでいる。



「見た、見たよ。あんまでかい声でそう言う話しないで恥ずかしい。」


「すまんやで。」


「それより、玩具研究部って知ってる?」


「なんぞ?そんな部活あるの?」


「らしい。気にならない?」


「確かに、玩具と言われて心たぎらない男などいないからな。」


「だろ。だからさ、今日放課後観に行かない?」



自分らしくもないが、彼女との接点が持てるかもしれないと思うと思わず行動を急いでしまう。



「いいけども、君が部活なんてね。テーマが玩具とはいえ部活は部活。集団行動などできないワイらみたいなのが行ったら大変な目に遭わされてしまうかもしれないよ。」


「そん時はそん時だ。」


梨華さんがいるらしいから、なんてことは当然この男には言いたくない。それに、おもちゃだからといって馴染めるとは限らないと言うこの男の懸念が的中する可能性もある。

期待と不安を胸に、放課後二人は玩具研究部の部室に向かった。



「ここ、だよな?」


「そのようだな…。君が行こうと言ったんだから、君から入りなさいよ…!」


「いや、そんなこと言わないでさ…。」



二人とも明らかに怯えている。

それもそのはず、二年生になってもなお未だにお互い以外の人間とほぼ会話をしていないような二人だ。

お互いにどちらから入るか押し付けあっていると、部室の扉が突然開いた。



「ヒィッ!」


「ファーーッ!」


「もしかして、新入部員!?」



満面の笑みでそう言いながら出てきたのは、部の人間らしき、真っ白な長髪の美少女だった。彼女は僕らの返事を待つことなく、首根っこを掴むようにして部室に引っ張り込んでいった。



「まさか突然新入部員が二人も来るなんてね!」


「いや、僕たちまだ入るとは…」


「玩具研究部へようこそ!」



半ば強引に連れ込まれ、座らされたままどうにか言葉を絞り出すが白髪の彼女の言葉にかき消されてしまう。



「私が部長の戸井遊香、3年生よ。そして彼女は部員の宇野緑さん。彼女は2年生ね。」


「よろしく…。」



彼女が示した先で挨拶をしていたのは、僕らのクラスメイト、宇野さんだった。眼鏡をかけた大人しい人だ。それを見て少し安心したのか、横に座っていた倉治が口を開いた。



「あの、この部活って、具体的には何をしているのでしょうか?」


「よくぞ聞いてくれました!と、その前に!せっかく来てくれた二人に何かおもてなしを…っと、ガムしかなかった。けど、どうぞ?」



そう言いながら僕らにガムを差し出してくる戸井部長。なんの気なくそのガムを手に取ると、途端に指先に衝撃が走った。



バチン!!!


「痛って!!!」


「あら、こんなおもちゃも知らないの?パッチンガム、古き良き玩具よ?」


「ワイは見抜いていたけどね。」



部長の悪戯にまんまと引っかかった僕を尻目に少しイキる倉治に腹を立てながらも、どうにか言葉を絞り出す。



「いてぇ…。ここ、こう言う所なんですか…?」


「そうよ!」


「いえ、違いますよ。」



部長の自信満々な言葉を遮って、困ったようにそう言う宇野さん。


「ここは古今東西さまざまな玩具を研究する部活です。古くはベーゴマ、メンコから最新のホビー、果てはプラモデルやカードゲームまで!…おほん、色々な玩具についての知見を広げています。」



話しながらだんだんとテンションが上がっていく宇野さん。クラスでは見たことのない一面を知った驚きとともに、彼女の盛り上がり方にすごく共感できてしまった。



「とにかく!いつの時代も少年少女の心を激らせ、寄り添い続けてきたおもちゃ!その魅力を全世界、全世代に発信するのが我々の部活の目的よ!」



少年のように瞳を輝かせ、堂々と言葉を発する彼女の姿に僕は思わず見惚れてしまっていた。

そして、激動の1日が終わり帰路につく僕と倉治。二人歩きながら、顔を合わせてこう言った。



「「玩具研究部、入るか。」」



続く。

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