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孤高の女王の国と狂戦士。そして傍若無人の若き王。  作者: DAKUNちょめ
エピソード

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元傍若無人な若き王の怒り3

「そなたの国は、そなたがこの国に来て半年過ぎた辺りに「彼の国」を攻めて来ていたな…確か…。」



アンドリューの弟とやらも軍を率いて遠征しており、その時にオブザイアの斧によって頭から真っ二つにした記憶が…。



「ああ、弟が新しい王になったとかで、俺を殺した狂戦士を討ちに来たとか何とか…

ハンっ…バッカじゃないのか?

互いの顔もろくに知らない兄弟の仇討ちなんて、する理由が無い。」




アンドリューはベッドの縁に腰掛けると長い足を組み、馬鹿にしたように言う。



「兄弟なのに、顔を知らないのか?」



「知らん。

実の所、兄弟が何人いるかも知らん。」



「………そうなのか」



「だから、俺の回りに自称正妻が何人居たかも、俺の子供かも知れないガキが何人いるかも知らん。」




それは、人としてどうかと思うが…

何とまぁ複雑な人生を送ってきたのだろうか。




「戻りたいとは思わぬのか?

好きな事を好きなだけ出来たのであろう?

傍若無人な王と呼ばれる程に。」




「思わないな、あの国はクズかごと同じだ。

手にあるのは、早く捨ててしまいたいクズばかりだった。」




アンドリューの言葉に苦笑してしまう。

この国を去るのではないかと心配したが…杞憂だったようだ。




「あの国は今、俺を再び王にする事で、この国と女王と狂戦士が手に入ると思っているのだ。

……ぶっ殺してぇ…。」




「お、落ち着かんか!そんな簡単に殺したいなどと…」



「俺の元妻だか何だかが、俺の帰りを待ってるらしい。」



「うん、全員殺そう。

妾がオブザイアになって瞬殺しようではないか。」




思わず本音が出てしまった。





数日後、アンドリューは書簡に返事をする。




一言


「欲しければ奪いに来るがいい。」




そして、その書簡は母マリアンナがカラナィアとサーリオンを連れて直接、傍若無人な若き王の国へ持って行った。



後から聞いた話によると、玉座にはパッとしない男が座らされており、正妃の座に美しい女が居たとの事。



その女と、王の周りに居る者達の放つ貪欲な雰囲気にマリアンナはほくそ笑む。

 



「欲しければ奪いに来れば良いのです。

アンドリューもね。

…彼は、良い婿ですわよ?」




マリアンナの挑発に、正妃らしき女はこめかみに青筋を立て震えていたらしい。




「黒髪の、お人形のような美しい女性でしたわよ。

アンドリューの妻だったのでしょう?」




マリアンナが楽しそうにアンドリューに告げる。




「黒髪の?

オブザイア以外に美しい黒髪の者は知らん。

何かムカつくから殺して頭の皮を剥いでいいか?」




な、なにを恐ろしい事言ってるんだ!こやつは!




「か、仮にも元妻なのであろう?

閨を共にした事もある…」




くそぅ!うらやましい!




「知らん。

毎晩違う女がベッドで待っていたが、いちいち覚えてない。」




……する事だけして、あとは知らんと…

やはり、うらやましくはないかな…。




「そうよねぇ、アンドリューはあの国の飾りだったのですものね。

適当な玩具を与えておけばご機嫌で、いつまでも都合良く立ち回る。」




「…………だな。」




母の言葉に肯定するとは驚いた、自覚はあったのか。


誰にも操られる事の無い、傍若無人の王だと呼ばれておきながら。




「欲しい物は、どんな手を使ってでも手に入れる…とか?

欲しい物なんて無かったからな。

クズかごの中でクズを掴んで投げ捨てての繰り返しだ。」




今の王のように傀儡の王と呼ばれる位なら、暴君のように見られていた方がましだと。

そう演じていたのか…?

欲しくも無い物を欲しがるフリをしてまで。




「そなたには…今も…欲しい物は無いのか…?」




尋ねたデルフィナを、マリアンナが驚いた顔で見る。


それ、聞くの?と




「オブザイア殿のすべてだな!もう、身も心も!

何かもう、色んな事シたい!されたい!」




キラキラな笑顔が眩しいアンドリューを見ながら、どんより暗くなる女王。


なぜ聞いた…分かりきっていただろうが!

こやつは病気なんだ!変態末期なんだ!


色んな事シたいってなんだ!されたいってなんだ!




「うふふ…楽しみねぇ、攻めて来るかしら?

あのお人形さんみたいな女の子

…攻めて来たら、頭の皮を剥ぐ前にちょうだい?」




母上も何か怖い事言ってるし!


攻めて来たら………


そうか、母上が欲しいのなら殺しちゃ駄目なのか……


アンドリューの目に入る前に細切れにしてやろうと思ったのに。




それは残念だな。




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