見知らぬ仲間達が、見知らぬ仲間を呼ばずにはいられない!
誘拐犯のアジトから救い出した後犯人が...
小屋に戻ると、さゆりの横に並んで座って、話しかけた。
「さっきは、ごめん。どうかしてたよ」
「これから、警察に連絡するよ」
「母が手に負えなくなった時、精神病院まで連れて行ってもらえて、診察中も逃げ出さないようにしてもらえていた警察官がいてね」
「その人の後ろ姿が、カッコよかったんだ」
彼女はうつむいて頭を下げた。
「ごめんなさい。巻き込んでしまって」
「気にするな、俺は俺の意思で動いたんだ」
と、頭を撫でた。
彼女が聞こえるように警察に電話した。
「以前、精神病でお世話をかけた、夏川 海斗です。唐津 良樹 警察官見えますでしょうか」
「はい、お待ちください」
「唐津です。お久しぶりです。お母さんの具合はどうですか」
「はい、まずまず、といったところです」
「どうされましたか」
「録音とメモがあると良いと思うのですがいいですか」
「はい」
「信じてもらえなさそうな話なので、唐津さんを頼りました」
「事件は今日の朝の6時前ぐらいのうちから一番近いコンビニです。事件は外の監視カメラにも写っていると思います。まだそこに、左前輪がパンクした黒のワンボックスがあると思います」
「その車からあやしい音が聞こえたので、車の持ち主を拘束して、中にいた拘束された女性を助けました」
「家まで、犯人と拘束されていた女性を軽トラで連れて行き、犯人から他に誘拐した人を何処に閉じ込めているか聞き出しました」
「今、犯人は、私の家で、トラックの荷台に拘束されたままいます」
「自分と拘束されていた女性は、乗用車で、聞き出した現場にきて、三人の生存者と一人の亡くなられている人をみつけて、救急車を呼びました。今、救急隊が来ています。場所は...」
唐津さんは、優しく
「あなたたち二人にケガはありませんか」
「はい」
と、しっかり答えた。
「私は、あなたの家に向かいます」
「そちらの現場には、救急隊からの連絡で、警察がむかっているでしょう」
「そちらの警察官の指示にしたがって下さい」
「すみませんが、助けた人が助かるのか、見届けたいので、明日出頭します」
「二人とも、不法侵入、器物破損、脅迫等の罪は自覚しています」
「事件の一部始終を動画で残しているので、隠し事はしません」
唐津さんは、
「警察は頼りにならないかもしれませんが、それでも頼ってください。私たちは、命を張って仕事をしています」
「現場に向かった警察官に、その旨つたえておきます」
見えないとはわかっていたが、頭を下げた。
「ありがとうございました」
涙が流れた。感謝、申し訳なさ、悔しさに、不甲斐無さ、色々と。
救急車の後ろに、さゆりと共に車でついて行った。
あまりにも眠そうな顔をししていたのだろう。心配になったのか、運転を代わってくれた。その後、まったく記憶がない。
気づくと、ベットで寝ていた。
部屋から出ると、テレビの音がするので、そっと、その部屋の戸を開けた。
「おはようございます」
と、言って入ると、そこには、さゆりと、その両親らしき人が、ソファーに座っていた。
「おはようございます」
と、その部屋の人から返ってきた。
さゆりが、
「家の両親です」
と、紹介があった。
すると、父親の方から、
「このたびは、家の娘を助けていただきまして、ありがとうございました」
と、深々と頭を下げた。
もはや、時代劇の決まり文句である。
「いえいえ、大した事はしてません」
『してます』って言いかけた。
彼女が、
「全部伝えました」
と、言ったので嘘っとおもったが、さゆりが両親に分からない様にウインクしたので、納得した。
『一発やらせろ』はないだろう。
テレビを見てると、昨日の事件がもうやっていた。
どこで聞きつけるのか、早いものだ。
聞いていると、『犯人死亡』と言っている。
さゆりと目を合わせた。
直ぐに、予想はついた。母だ。ブルーシートの下に捕獲した獲物がいると思ったのだろう。
「警察に電話する」
「唐津さんですか」
「はい。夏川さんですか。」
「はい」
「犯人が死亡とありますが、家の母ですか」
「・・・答えられません。お母さんは今事情聴取していますので、早めにきてください」
「わかりました。すぐ行きます」
「犯人は俺になると思う。」
「色々ありがとうございました」
そう言って部屋を出ると、さゆりが追ってきた。
「聞こえたと思うが、いつも、狩った獲物を軽トラにのせて、ブルーシートをかぶせてる。トイレに行く時かに、動いたのを、棒か何かでたたいたのかもしれない」
「私も行きます。」
二人で車に乗ると、
さゆりは、窓越しから、両親に向かって、
「わたしは、正しい事をしました。信じて下さい!」
車の運転を彼女に任せた。
「友人達に聞いてみる。文面は読み上げるよ」
なっと 「ニュース見た?」
キタキツネ 「殺したのか」
なっと 「やってない。でも、犯人にされそう><」
マット 「ホントだったんだーw」
テナ 「説明すれば分かってもらえないの?」
キタキツネ 「警察、検察、判事、刑事事件、民事事件どれも真実は一つじゃない!」
ユリヒメ 「動画は撮ったよね」
なっと 「はい」
キタキツネ 「テレビ局二行ったら?」
ななみ 「そそ、テレビの勝手な憶測とコメントが真実になりかねないから、早いほうがいい」
まとりうす 「そだね。動画配信もしたほうがいい」
マット 「炎上するかも」
テナ 「ばずらせないと」
ななみ 「それが目的」
キタキツネ 「真実を一つにする」
なっと 「プライバシーにかかわる映像まで入ってる」
マット 「信用してもらえるなら、送って 編集して、流します。フォロワー500はいるから」
ユリヒメ 「リーダーとして、このログも公開をします」
まとりうす 「おおおおおおお!」
テナ 「サブリダ 了解しました」
キタキツネ 「OK!」
ニャンちゃん「にゃん^^」
ななみ 「おk、流すとこおしえて、フレに送る」
マット 「了解」
キタキツネ 「俺も」
まとりうす 「おれニモ」
テナ 「私も」
ユリヒメ 「リーダー集会開いて拡散します。他のMMOゲームやってる人にもお願いいます。」
ニャンちゃん「ゲームはうといので、コスプレ連合拡散にゃん」
なっと 「ありがとうございます」
キタキツネ 「世界中に真実を伝えろ」
まとりうす 「いいね」
テナ 「いいね」
マット 「いいね」
ななみ 「いいね」
ニャンちゃん「いいね」
なっと 「いきまーすw」
マット 「w」
ななみ 「みんなで面会に行ってやるよ」
なっと 「w」
さゆりは、泣きそうな顔をしながら、
「いい友達もってるね」
「騒ぐことが好きな連中でね」
と、俺まで泣きそうになった。
「君のも合わせて、今、送った」
「ここまでね。予定変更。私はここで降りて、父とテレビ局に行きます。」
「海さんはこれ以上遅れると、警察に捕まりかねないでしょう。」
さゆりは車を降りた。
「わかった。無理するなよ」
「海さんもね。後、スマホ下さい」
「いいよ。必要なものは送ったよ」
「送れないものがあるんです」
「そんなの、スマホじゃないよ」
「そうですよねー」
と、スマホを持ち去った。
なっと 「はじめまして、」
ユリヒメ 「?」
まとりうす 「??」
マット 「???」
なっと 「なっとさんに助けていただいた『さゆり』です。落ち着いたらお仲間にいもらえませんか」
ユリヒメ 「いいですよー」
テナ 「こちらこそよろしくお願いします」
マット 「よろしくです。←さゆり」
ななみ 「よろしくお願いします」
キタキツネ 「よろしく」
なっと 「このスマホ、私が預かりました。彼はしばらく、獄中かな」
マット 「w」
まとりうす 「カレカノ関係ですか」
なっと 「応援よろしくお願いしますーさゆりー」
まとりうす 「おおー」
ニャンちゃん「いいニャン」
テナ 「はいわかりました。全力で応援します」
ユリヒメ 「はい、リーダーとして、今日から恋愛チームチャット禁止をなくします」
キタキツネ 「やったー!」
ななみ 「奥さんに言うよ」
キタキツネ 「ミス」
まとりうす 「へー禁止だったんだぁ」
ユリヒメ 「今、思いだしました。」
まとりうす 「www」
マット 「さゆりさん なっとさんが、美人レベル最高値って、言ってました。ホント?」
なっと 「ホントって言ったら、オフ会でれなくなります」
なっと 「皆さん見えてませんね。なっとさんカッコイイですよ」
なっと 「今、余ってるのが、不思議です」
ニャンちゃん「鑑定するニャン!」
キタキツネ 「それはないw」
まとりうす 「自分で打ってるなw」
マット 「オフ会やりましょう」
ニャンちゃん「いいね」
キタキツネ 「早く、出所させないとな」
なっと 「><」
ななみ 「教育的指導しときます」→キタキツネ
キタキツネ 「落ちます、お疲れ様でした。」
まとりうす 「あっ!逃げたw」
どれだけぶりだろう。やっと一人になった。今までの事が嘘のようだ。
あんな美人が横にいたからよけいにだが。
車を警察に止めた。
空は暮れ始めている。
玄関には、唐津さんが腕組みをして、カウンターにもたれて、まっていた。
渋そうな顔をして、
唐津さんは、
「これから、県警に送る。もう俺の手に余るよ」
「ですよね~」
と笑って答えると、軽く肩でタックルしてきた。
「俺にできる事なんてないかもしれないが、出来る限りのことはする。」
「最後まで、あきらめるな」
そう、肩をたたいた。
何日も警察にいたので、その後の世間の事はわからない。
警察を出る時、さゆりが待っていた。
「これから、一緒に玄関で頭を深く下げてね」
いまいち理解できていなかったが、玄関は、報道陣に囲まれていた。
芸能人扱いだ。これをやるんだと、理解した。
ヒーロー扱いにはならなかったようだが、釈放されただけましか。
玄関に出る時、さゆりは、手をつないできた。
「本当にすみませんでした」
深々と頭を下げた。
車に乗り込むと、
「お帰りなさい。といって、キスをしてきた」
「おい、これフォーカスされるぞ」
「でないと困るのよ」
と、彼女は笑って見せた。
「あの後、バズりまくって、テレビ局と警察の往復で大変だったんだから、」
「お疲れ様です」
「世間の評価は、粗方、ゲームオタクが調子に乗って、行き過ぎた行動をした。って所」
なんだか、言いたくなさそうな口調で、
「でも若い女性陣からは、反逆の紳士とか、逆賊の英雄とかになって、人気あるのよね」
「皆さん分かってらっしやる」
と、笑顔でかえした。
「外道勇者人気なかったのよ!」
「外道勇者、引退します。反逆の戦士で」
「私にとっては外道勇者なんだからね」
「で、さゆちゃんは?」
「で、この機に芸能界って話もあったけれど断ったわ。人の命を踏み台はないでしょ」」
「それが、さっき、手をつないだのと、キスの理由」
「戦略だったのかー残念」
「恋愛のね」
「おおー」
「しばらく、大変よ」
「海さん、私の家で暮らすことになるから」
「・・・・・?」
「帰るとマスコミとやじ馬で交通渋滞おこしそうだからって、警察の唐津さんが、頼んできたの」
「いい仕事しますねー唐津さん」
「パパは渋ってたから、仲良くしてね」
「うーです」
「うふふですー」
「さゆちゃんとしては、それでいいのか、」
「ここまでさしておいて、更に突っ込んでくるとは、さすが外道勇者」
「すまぬぅー、24時間しかまだ一緒にいないのに」
「映画に、コーヒーに、食事しても、おつりがくるわよ。」
「ですよね~ケンカもしたし、泣いたし、感動したし、後はお約束ですか」
「さてねー」
「あらら」
「海さん。モテようとか、愛してもらおうとか、思ってないでしょ」
「そんなことないよ。盗賊はなんでも盗むよ」
と、笑って見せた。
「それ、嘘。お母さんの事で、あきらめてるでしょ。数日たって、よく考えたらわかったの。愛した人に、迷惑かけたくないんだろうなって」
何も言い返せなかった。女性を愛しても、愛されても、いけないものだと思ってきたし、ずっとそうしてきた。好かれない様に無様な立ち位置で、みっともなく、おどけた小さい男が、今の自分をつくっている。今更だよ。
「後、海さんのお母さんに合って来たわ、なかなか会ってもらえなかったんだけれど。」
「何処にいるんだ。」
「警察管轄の精神病院」
「どうだった」
「事件の状況を、私がブルーシートを外して犯人を棒でたたいたと証言してるの」
「それは、聞いた。出られたのも、それが大きいと思う。」
「会っても、何一つ会話は無かったわ。お母さんが出てきたので、私が挨拶しようとしたら、シーって、口の前で人差指一本立てて、ウインクしたの。」
「その後、深々とおじぎをしたので、こっちもしたら、もうお母さんの姿は無かったわ」
「何が悪いの、何処が悪いの」
「そんなもんだよ、いい時もあれば、悪い時もある。悪い時は、肉親でも耐えきれない罵声や暴力が押し寄せてくる。人それぞれ症状が違うけれどね。母は、せめて、さゆりさんには、いい時だけを見て欲しいんだと思う」
その半年後、さゆりは大学卒業後大学院へ、海斗は、変わりなく居候の身で、社会人。変わったことといえば、
サユ 「こんばんわー」
なっと 「こんばんは」
ユリヒメ 「こんばんは」
まとりうす 「ばわーゲドちぁん」
マット 「こんばんわ」
ななみ 「こんにちは」
キタキツネ 「コン!」
サユ 「私たち」
なっと 「結婚することに」
サユ 「なりました」
ニャンちゃん「めでたいニャン」
ユリヒメ 「おめでとうございます」
まとりうす 「先越されても、うれしいです。おめでとう」
マット 「おめでとうございます!」
キタキツネ 「お前にはもったいないぞ、よこせ」→なっと
ななみ 「おめでとうございます。キタはレッドカード!」
テナ 「お幸せにね」
なっと 「はい」
サユ 「はい」
まだ、年齢も性別も人種さえ知らぬ仲間たちの輪が、いずれ世界をも救う力を持つことになるでしょう。MMOの未来に幸あれ。
ーおわりー
初めて小説を書きました。どうしても、少しでも、伝えられる手段の一つとして。そして、自分に対しても残しておく必要を感じ、書きました。
読んでいただきまして、本当にありがとうございました。