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MMOゲームの勇者達は、事件を想像力で構築する!

 コンビニの駐車場は一番端の隅に止める。周りに他の車はない。この寒い中、こんなに入口遠い所に止める変わり者は他にはいない。

 でもここがいい。

 もう一度言っておこう。ここがいい。

 あえて言おう。ここがいい。


 ここからの眺めが気に入っている。今日は特に綺麗だ。公園の芝生が光っている。雨が降った後なのだろうか。山に朝もやがかかり山水画のような景色になっている。紅葉も増えてきた。

 車から出ると背中が曲がる。両手をポケットに突っ込み足早に水たまりを避けながらつま先で歩く。

 はたから見たら泥棒のように見えるのかも。


 コンビニに入ると、店員さんの声がどこからともなく、、

「いらっしゃいませ」

 休みの朝のコンビニは人も少ない。弁当も少ない。

 まだ、補充中だから・・・か。

 フラフラと、てんじょうから釣り下がった看板広告がエアコンの温かい風にゆれている。風に乗った『おでん』のいい匂いがただよう。そろそろ「おでん」の似合う季節になってきた。夏から出ているので、季節感が無くなりつつあるが、美味しい物に季節はおまけので味いい。

 ただなんとなく、ゆっくりと1周する。弁当が並び終わるのを待っている。そういえば、ゲームの課金が、切れそうだった。課金といっても継続するためで、月1500円程のみ、他に趣味のないのも幸いして、安月給でもなんとかしのげている。


 しゃがんでゲームキャラクターの絵のついたプリカを見ていると、少し離れた先で、商品をポケットに入れている客を見てしまった。

 とっさに、そこから離れたくて、いつものあったかい缶のココアと籠の中にある弁当を手に取り、弁当補充中の店員さんに声をかけた。

「こっから持ってってもいいですか」

「はい」

と言ってレジに向かってくれた。

 世間話するほどではないが、常連客なので分かっているようだ。

 店員さんはレジを通すと弁当をレンジにいれた。いつものことなので、「あたためますか」がなかった。

これも常連でいつものことなのと、もともと会話を最低限にしたいという、こちらの雰囲気を察しての事。今日だけは、あたためなくてよかったのに仕方ない。

 後ろを気にしながら、間がもたないので店員さんに、

「今日はさむいですね」

と話すと、少し目を大きくしてから、

「そうですね」

とかえしてくれた。

 そんなに、自分から話しかけられるのが驚くことだったのか、それとも後ろで、他の客が何かやらかしたのか、確認する勇気も無く振り返ることもせず、

「ありがとう」

と言って店を出た。

 後ろめたい思いをのこしたまま、走って車に戻った。水のはねる音を聞きながら。

 あったかいココア片手に、スマホで、ゲームのお出かけツールを開きチムチァ(ゲームの中で組んでいるチームの人達でラインしてるようなもの)を打つ。


なっと  「いまコンビニで万引き見たw」


ななみ  「www」

ユリヒメ 「><」

まとリウス「つかまえた?」


なっと  「こっちが逃げた」


まとりうす「反対でしょw」

テナ   「ですねー おはようございます」なっとへ


なっと  「おはす」テナへ

なっと  「かかわりたくないー」


キタキツネ「勇者として失格だ」

まとりうす「さすが、外道勇者!」

ユリヒメ 「しかたがないよ」

ななみ  「外道だもんねw」


なっと  「あのねぇ~w」


 『なっと』は、ゲームの中の職は、主に盗賊なので「外道」と呼ばれるようになった。

 まぁ戦い方として、ボス戦でも【バナナ皮】を使ったり、毒入りナイフを使ったりしている事もあるからで、間違っても、違法行為で、運営(ゲーム管理会社)にアカウント制限される(罰則)ようなこと受ける事はしていない。


 こんな感じで、リアルにもかかわりつつゲームの中のフレ(フレンド)と親しくなっている。


 車の窓を開けて、エンジンは寒くてもかけない。

 この朝の静けさと優しい空気感がいい。

 車の中であったかい缶ココアを顔に近づけてのフタを開ける。

 この音、この甘ったるい香りが最高にいい。

 良い景色を見ながら、車中でゆっくりと弁当を食べる。

 至福の時。


 頭の悪さが幸いして、さっきあった事をすっかり忘れて食べていたら、臭い匂いがしてきた。肥料の臭いというか、トイレの大の臭い。

 窓を閉めようとすると、ドンドンとわずかだが、音が聞こえた。

 鼻と耳の感度が高めなのがわざわいして、せっかくの至福の時に、幕が下がる。

 二つ隣りに止めてある大きな四角い黒の車の中、犬でもいるのか。

 横からはフィルムガラスで中は見えない。

 普段なら知らないふりして、立ち去るのだが、何故か今日は違っていた。

 臭いというか、血生臭い感もあった。事件かも・・・

 気になって、車から降りてそっと黒の車に近づく。

 前席を見ると、前には誰も乗っていないので、後ろはと奥を覗いて見たが見えいようになってた。

 横のスライドドアの窓をノックしてみた。

 すると、内側からドアを蹴るような音がする。

「大丈夫ですか」

 また、ドアを蹴るような音がした。明らかに呼びかけに反応した音だった。

 徹夜明けで、冷静なはんだんができない。


 聞いてみるか。チムチャで、


なっと   「コンビニ駐車場の隣りの車、拘束された人いそうw」


ななみ   「!」

まとりうす 「事件だ!」

ユリヒメ  「ほんと?」


なっと   「ほんとです~信じられないと思うけどw」


 普段から嘘は言わないキャラではあるので、少しは信じてもらえるとおもう。信じないにしても、話に乗っかってくれると助かる。


なっと   「血の臭いと中から車を蹴る音、中は見えず、運転手店」


まとりうす 「血生臭いって!」

ユリヒメ  「確認できないのか~」

キタキツネ 「運転手しめあげる。ゆけ!勇者よ!」

ユリヒメ  「w」

テナ    「通報でしょ。ありのまま話せばいいよ」

マット   「逃げられるかも。おはよう」←なっと

まとりうす 「天井にスマホ張り付ける」

ななみ   「おお、位置情報か」

マット   「確認したいな」

ユリヒメ  「確認するだけなら、鍵開けたとこで、ドアを開く」

マット   「さすが、リダ」(リーダーの事)

テナ    「動画欲しいね。保険で、」


なっと   「動画か、天井スマホ」


まとりうす 「動画でしょ。犯罪かどうか」

ななみ   「警察を動かす証拠がほしい」

テナ    「見たまま話せば分かってもらえないかな」

キタキツネ 「わかってても、警察も人手不足で、あしらわれるかも」

まとりうす 「直ぐには、動いてくれないかも」


なっと   「警察の顔見知りはいる」


キタキツネ 「なにやらかしたんだ」

ななみ   「さすが、外道さんw」


なっと   「あのね~w」


マット   「警察来るまでに、逃げられたら困る。コンビニだし」

まとりうす 「天井スマホ、目視確認、知り合いの警察官に説明」

テナ    「ですね」

キタキツネ 「ほんとに、誘拐なら俺なら助けるぞ!」

キタキツネ 「代わってやりたい!」

ななみ   「ケンカしたいだけでしょ」←キタキツネ

キタキツネ 「討伐といってほしい」

ななみ   「w」

マット   「犯人、スマホ位置情報で捕まえても、その時誘拐された人は無事?」

キタキツネ 「殺されて、捨てられた後かもな」

ユリヒメ  「今生きているから、殺す目的ではないかも」

マット   「強姦目的?」

まとりうす 「姫を救え!」←なっと

キタキツネ 「他にも誘拐された娘がアジトにいるかも」

マット   「アジトを知りたいな」

ななみ   「今、目の前の被害者を救う事が先でしょ。ケガしてるのかもしれないんでしょ!」

ユリヒメ  「泳がせるとか、被害者放置はなしで」


なっと   「はい」


ユリヒメ  「でも、なっとさんの安全が、1番です」

テナ    「そうですよ」

まりうす  「そうだね」

マット   「です」


ななみ   「ゲームみたいに最新の強ボスに挑まない、攻略方法確定待ち、最高装備に、

      レベル開放待ちち、最強の仲間と組んで勝率100% まで待つの?

      今、やらなかったら生きてる資格なんてないわよ!」


 痛い所を突かれた。sゲーム内では、安全第一、死なないことがちかづかない、基本のプレイスタイル。危ない所にちかづかない。下手なので挑まない。見透かされている。


なっと   「喧嘩した事もない、いじめ対象の、引きこもりです」


ななみ   「言い訳は後で聞いてあげる」


 こと『ななみ』さんは、このMMOゲーム始めた頃から教えていただいてる大先輩で、はっきりものを言ってくれる良き勇者様なのです。

 例を挙げると、新人のレベル上げを手伝いにさそわれてパーティを組んで行くと、レベル差で新人が、何もしなくても、しても変わらないほどだと、何もしなくなる新人に対して、

ななみ   「必要はなくても、攻撃しなさい」

と、はっきり言う人です。そこには、MMOのマナーや礼儀が詰まっていました。今、こうして仲間の1員にいられるのも、この人のおかげです。


マット   「でも、庭に出たイノシシ追っ払ったって言ってた」

ななみ   「そそ」

ユリヒメ  「引きこもりって、スキー場に1シーズンでしたよね」

テナ    「実は鍛えているのでは、この日のために^^」

マット   「なっとさん、病気で痩せた時、筋トレして腹割れたって、自慢してたな」

ユリヒメ  「病院の美人先生に、腹割ったの自慢気に見せたら、

      先生から、『腹は割るものじゃないです。切るものです。』

      って、言われたんだよねーw」


なっと   「www」


まとりうす 「今人を救えるのは君だけだ、行け、勇者よ」

マット   「今、姫を助ければ、姫の心も君のもの^^」

キタキツネ 「場所を教えろ、俺が行く」


なっと   「何事でもない事と、最悪の事を想定しながらやってみます」


テナ    「拘束された人がいたとしても、夫婦喧嘩とか、仲間割れ、精神病患者で手が付けられず、

       搬送中とか、警察に知らされたくない、被害者、加害者かもしれないので、気を付けて」


なっと   「はい」  


まとりうす 「がんばれー」

ユリヒメ  「きをつけて」

テナ    「無理しないで、」

ななみ   「無理してこい!」

マット   「w」

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