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俺が初めて目覚めた日

木漏れ日が差し込む部屋の片隅で俺は目を覚ました。


(あれ? 確か俺下校中にトラックに轢かれて......)


「ロオス、講義中に寝るなんて珍しいな。寝不足か? お前のことだから何か理由があってのことだろうから起こさないでおいたが、講義に支障をきたすほどは根を詰めるなよ」


講師と思われる人物に声をかけられた。


(ここは教室? 他にも生徒っぽい人たちも座ってるみたいだが......どいつもこいつも見覚えがない。)


「お前たちがライセンスを取得し卒業するまでの日数は残り僅かだ。だからこそ、これまで以上に集中して講義、演習共にこなすように。では今回の講義はこれで終わりだ。今日の内容は検定試験に出やすいとこだからよく復習しておくように!」


ふと机の上に視線を落とすと、板書を書き写したノートが視界に映る。


(これは......俺のノート? 筆跡は全然違う......ってか何だこれ、全然読めねー。ここは日本じゃないのか? いやそもそも地球でもないのか?)


講義が終わったようで講師が部屋から退出すると一人の生徒が俺の元へ駆けてきた。


「ロオス! お前なにやってんだ! サモン一派に喧嘩売るなんてどうかしてるぞ! 中でも一番やばいリーダーのログマ・サモンに手出すなんて......早く身を隠さないとどんな酷い目に合うか分かんないぞ」


「サモン一派? 誰だそりゃ? てかまずお前は誰なんだよそもそも」


「え? なに言ってんだよ俺だよ俺! タンタだよ! それにお前どうしたんだよその口調。いや、それより今はサモン一派だ! さっさとここからずらかるぞ」


俺の手を取り教室から出ようとするタンタ。


しかし片開き戸を開けると目の前には複数人の男達が仁王立ちしてこちらを出迎えた。


「俺の名前を忘れるたぁいい度胸じゃねえかテメェ」


「おーこいつらがサモン一派なのか。強そうには見えねえけどな。あー権力振りかざしてる坊ちゃんタイプか」


俺はこれらの出来事は全て夢かと思っており、この状況をひどく軽視していたのである。

俺の発言で、先頭に立つ男の額に青筋が立った。


「チッ! 俺はそういう私腹を肥やしてぶくぶく太った無能な貴族連中と一緒にされんのが一番嫌いなんだよ! 今朝の借り、きっちり返させてもらうからなぁ!!!」


直後俺の鳩尾にサモンの右腕がめり込んだ。


「っ!!!」


「ロオス!」


数メートル吹っ飛ばされた俺は、腹部の鈍い痛みに耐えきれずうずくまった。


(痛ってぇ......このくそガキ、出会い頭に人の腹殴ってくるってどんな教育受けてんだよ畜生)


「っ! Hahaha! ざまぁねぇぜ! もう一発入れてやるから立てよおい」


そう言って髪を掴み強引に俺を立たせ、奴は再び握りこぶしを作った。


「次は本気で殴ってやるよ」


「やめてくれ! もうさっきので気は済んだろ、もう帰ってくれ!」


「何だお前。ごちゃごちゃうっせぇぞ! お前が先にしばかれたいのか! アァ?!」


タンタとかいうやつが必死に俺を庇ってくれてるが、サモンの凄みに完全にひるんでしまっている。


(今までこんな威力で殴られたことないから分かんねぇけどこのまま何発も食らったら俺死ぬんじゃ......)


ふと視線を廊下の先に移すと、先ほど教鞭を垂れていた教師らしき男と目が合った。どうやらたった今この騒動に気づいたらしい。


「こらお前達! なにやってるんだ!」


「ちっ、今日のところはこの辺で勘弁してやるよ! おい、帰るぞ」


「うっす」


そう言い残しログマ・サモンとmob達は去っていった。


(ちくしょう......何も抵抗できなかった......)


「おい! ロオス! 大丈夫か! しっかりしろ!」


人間とは一定以上の恐怖心から解放されると、腰を抜かしたり尿道が緩んだり、全体的に力が抜けてしまう生き物である。この話が今なにを意味しているかと言うと、要するに俺は頬に涙を伝わせ、気絶してしまったということだ。



誤字脱字等報告していただければ随時直していこうと思いますので、ご指導のほどよろしくお願いしますm(_ _)m

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