リーブの実力
1時間オーバー・・・うーん。
でかいゴリラと相対するはリーブと僕の二人。
「リーブ! 今日は僕がとどめさすから怯ませるのお願い! あと、ちょっと時間稼いでもらって良い?」
「了解! 身体強化!」
(やっぱみんなブーストって言うんだな。俺ならもっとかっこいい名前つけるのに)
(ちょっと興味あるけど、今戦闘中だからその話は後でね)
「風纏加速」
僕は風纏加速をリーブに付与した。
(へーそれって自分以外の人にもかけられるのか)
「よし! いくよ! 先ずは挨拶がわりの一発!」
リーブが弾丸のような速度で飛んでいき、必殺の左ストレートがリゴライの腹部にめり込んだ。
「グォオオオォォオオァァァ!!」
しかしぐらつきを見せるも倒れないリゴライ。
(あれ食らって生きてるのかよ! タフだな)
(中堅レベルの魔物だからね。そんな簡単には倒せないよ)
リゴライが反撃と言わんばかりに、両腕を振り上げ地面に叩きつけた。リーブは余裕を持って回避したが、地面は奴の手形に陥没していた。
(踏み固められた地面なのにすげぇ威力だな・・・勝てんのか?)
(多分大丈夫。リーブは前衛の中でも火力はトップクラスだから)
(武器が拳って時点で頼りないんだが・・・)
リゴライは一先ずリーブに狙いを定めたようで、追撃を加えようとするも全て避けられカウンターを決められている。ロオスもリーブを適宜補助し、危なげなく戦いを有利に進められている。
嫌な展開に身の危険を感じたのか、リゴライが一時身を引き、
「ウホホッ! ウホホッ!」
ドラミングをしながらリゴライが吠えた。
(完全にゴリラだな・・・)
するとリゴライの速度も威力も目に見えて上昇した。リーブの回避にも余裕がなくなり攻撃をする隙が失われているのが傍目に見ても分かる。
(おい! 加速したぞ! やばいんじゃ無いのか!?)
(分かってるよ。リゴライが身体強化使っただけだって。あいつは強い握力による掴みが強力なんだけど、リーブは相手の力を利用したカウンターが強みだから相性はあんまり良く無いんだよね。まあ見てて)
(さらっと言ったけど魔物が魔法使うのかよ! まあラノベじゃ良くあることだけどな)
そう言って僕は敵に突っ込んでいった。
「リーブ!交代!」
「えっ! 大丈夫?!」
「大丈夫大丈夫!」
まず敵のヘイトを集めるために弱火魔法を撃ち込む。
(どうせ火耐性ある毛なんだろうけど)
「グァッ!?」
案の定、表面の毛を少し焼いた程度で鎮火してしまったが、奴のターゲットを取るにはそれで十分だった。怒り狂った奴は、こちらに手を伸ばしてきた。例の掴みである。
「それを封じるために僕が来たんだって。朧火の贄。」
直後、僕が回避済みであることなどつゆ知らず、奴は僕の作り出した身代わりを握り潰した。すると奴の拳が勢いよく燃え上がる。
「ガァアアアァアアァァァ!!!」
「掌には毛がないからよく燃えるね」
(なんだ今の! 残念、今攻撃したのは残像だ・・・ってか!? イカした技持ってるじゃねぇか!)
(まあね。母さんが幻覚魔法得意だから教えてもらったんだ。母さんが作るのは本物そっくりだけど僕が作るのはまだまだだよ)
めげずに今度は両手で挟み込もうとするリゴライ。
「朧水の贄」
再び身代わりを潰すリゴライ。今度は両手から水が溢れる。
(今度は水か。火消えちまったけど良いのか?)
(火ついてたらリーブが攻撃できないでしょ)
「リーブ! 交代! 攻撃のタイミングはリーブに任せる! 僕はそれに合わせるから!」
「おっけい!」
再び立ち位置を変更、本来のポジションへ戻る。
リゴライは僕の朧火の贄を警戒してか、今度は拳を閉じて裏拳をリーブに繰り出した。
「ふっ!」
「煽り風」
リーブが回転して飛び上がったのを見て、僕は風魔法を唱えた。
リーブとリゴライの腕がすれ違った瞬間、バチッ!っという鋭い音が鳴り、リーブの回転力が増す。そして宙を舞うリーブを僕の風魔法で本来届かない、射程外にいたリゴライの元へ運ぶ。
「はぁっ!」
肩口にリーブの蹴りが直撃。バキッという嫌な音を立てリゴライが膝から崩れ落ちる。
「「あっ」」
その後倒れたリゴライが起きることは2度となかった。
「僕がとどめ刺すって言ったじゃん」
「ごめんごめん! 思ったよりリゴライの力が強くて、回転数上がっちゃってさ」
「まあ良いけどさ。あんまり余裕もなかったし」
「ほんとごめん。あ、じゃ、じゃあさ、も、もし二人ともライセンス取れたら......」
「よし! お前たちもOK! これにて本日の実技は終了だ! 皆帰るぞ!」
こうして僕らの最後の実技が終了した。
〜〜〜ロオスside〜〜〜
(なんか女の武闘家ってド◯クエ4の◯リーナみたいだな)
(ん? なにそれ?)
(何でもない。こっちの話だ。それよりリーブ強ぇな。リゴライ? だっけそいつの裏拳かすった時死んだんじゃねぇかと思ったぜ)
(あれは受け流しの応用だね。相手の力が強いほど受け流す力も大きくなるからちょっと許容を超えちゃって流しきれなかったんだろうね。身体強化されてなければ音を立てずに流しきれたと思うよ)
(なるほどなぁ。武術か......参考にはするが、俺の中でだいたい戦闘スタイル決まりつつあるからなぁ)
(え! なになに教えてよ!)
(......内緒)
(いいじゃん! どうせ僕に隠し事なんてできないんだからさ)
(俺が特訓する時になったら教えてやっから)
(ケチだなぁ。まあいいけどさ)
〜〜〜リーブside〜〜〜
(何であのタイミングで先生声掛けちゃうかな! 折角ロオスのことライセンス取った後一緒に旅しないか誘おうと思ってたのに! そもそも何で誘うのにこんなに勇気いるわけ!? 幼馴染なんだからさっと聞けばいいのに! あーもう! なんか最近ロオスが変なことばっかりするから気に掛かって、こっちまで変な感じになっちゃったじゃん! ライセンス取ったら今度こそちゃんと言わなきゃ)
〜〜〜サモンside〜〜〜
(ロオスを警戒して見にきたがリーブのやつこれ程とはな。これまでの実技訓練でも戦いづらい相手ではあったが二人が組むとここまで強いとは......2対1では流石に勝ち目が薄いか。万が一を想定して対策を練っておかねばならないかもな)
〜〜〜タンタside〜〜〜
(あ、あれ? 俺の出番は?)
新技登場!