第2話
「………んぅ…?」
目を覚ますと真っ白な天井がいっぱいに広がっていた。
目を擦りながら起き上がると寝ていた所がソファであったことが分かった。
「あれ…?ここ…どこ?」
辺りを見回してみるが知らない場所だ。
ベッドやキッチン、冷蔵庫やテーブル、テレビなどの日常生活に必要なものが一通りあった。
それどころかこの部屋唯一のベッドには、手と足がベッドの足に鎖で繋がれている男性がいた。
スーツを着ているその男性は下を向いているが、20代前半と断言できるほど若々しかった。
かくいう私も大学生だ。
若さは負けていない。
とりあえずソファから降り、その男性に近づいた。
「すみません。起きてもらっても良いですか?」
ユサユサと揺らし、強引に起きてもらった。
ゆっくりと目を開け、首を振ると男性は爽やかに微笑んだ。
「あぁ、おはようございます。」
……イケメンだなぁ。
寝起きもイケメンとか何なんだよ~。
よくよく見ると手と足には手錠と足枷がついている。
そこに鎖がつけてあるようだ。
そのことには触れず、とりあえず挨拶を返した。
「おはようございます。…あっ、もしかして昨日私のことを助けてくれたのはあなたですか?」
「はい、そうですよ。」
聞き覚えがある声だと思ったが、確かに昨日助けてくれた人の声だ。
確認をとると、その通りだった。
そうなるとますます鎖で繋がれている理由が分からない。
「えっと…何で鎖で繋がれてるんですか?」
分からない時こそ単刀直入に聞くのが1番だ。
思いきって聞いてみると、男性は笑顔のまま衝撃的な発言した。
「あなたに監禁されているんです。」
後ろを振り返るが誰もいない。
再び視線を戻し、男性の顔をよくよく見る。
それから自分の顔を指差して聞いてみた。
「あなたって……私のことですか?」
「そうですよ、青木 永華さん。」
何で私の名前を知っているのかというよりも先に他の疑問が浮かんだ。
「私が監禁?あなたを?」
「はい。」
「何の為に?」
「あなたを監禁するために。」
もう訳が分からない。
私を監禁するために男性は監禁されているらしい。
キャパオーバーだし、この男性に付き合う義理は私にはない。
そう思い、昨日のお礼だけ残し部屋を出ようとすると男性は軽い感じで呼び止めてきた。
「ちょっと待ってくださいよ。」
「…まだ何か?」
「ありますよ。…そんな嫌な顔をしないでくださいって。」
「私今日学校が…」
「あれ?今日は授業入っていませんよね?午前も午後も。次の授業は確か2日後のはずでは?」
「何で知っているんですか?あと、私の名前も何で。」
「ははっ、顔が怖いですよ。まぁ、良いじゃないですか。」
この人の笑顔が段々と嫌になってきた。