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5-23 世界で最も幸運な超越者

(あの、馬鹿っ!)


レオナが引き摺る男を目の当たりにして、メルティの顔色はみるみると青褪めていった。


その男こそ、帝都の外壁の上からライフルでファナを狙撃するよう仕向けた、侯爵のドラ息子だからだ。



“どうしても負けられない決闘がある”

“負けたら、殿下の顔に泥を塗ってしまう”

“だから、決闘開始と同時に女を撃ち抜いて欲しい”


“相手は二人とも超越者(・・・・・・・)、死にはしない”


“私たちが勝利したら、お礼をするのでデートしよう”


侯爵令息(ドラ息子)は跳ね上がるような喜びをひた隠しにしながらも、二つ返事で了承。



そして、狙撃は、確かに成功した。



決闘直後の一合目、ジンとアロンが打ち合い、見届け人である最愛の人(ジークノート)や将軍たちの視線が全てそちらに移った隙、憎きモブ女(ファナ)の脳天を撃ち抜いた。


頭から血を流して倒れるファナに驚き、迂闊にも無防備となったアロンの後頭部を狙ったジンの渾身の一撃が炸裂。


その直後。

アロンごとファナを消すため、そして狙撃の証拠である銃弾と弾痕を隠滅するため、メルティが放てる最強魔法 “ラージフレア” で全てを灰へと変えた。


……はずだった。


何故かファナは平然と立ち上がり、全力のラージフレアをまともに食らったはずのアロンも殆どダメージが無かった。


あり得ない光景にジンと共に呆然としていた中、現実へと引き戻すレオナの怒声。


そして、無理矢理この場に連れて来られたドラ息子。

“血の気が引く”、とはこのことを指すのだろう。


(何とか……狙撃の事は誤魔化さないと!)


それでも、メルティは現状を打破しようと冷静に思考を巡らせるのであった。



「見てください! この男は家の者に遠方からファナさんを狙撃させ、この決闘を穢したのです! このライフル、そして先ほどファナさんが手にした銃弾が何よりの証拠です!」


レオナは男を引きずりながら、ダンダン、とわざと足音を立ててジークノート達に近づく。

そして、手に掴んだ男とライフルを同時に吊り上げ、怒鳴り声を上げた。


「待て、レオナ!!」


それを諫める、ジークノート。


「それだけでは、ファナさんを狙ったという証拠にはならないだろう!?」



――諫めるが、嫌な予感しかしない。


先ほどアイラが叫んだ通り “何故、ファナが倒れた” かは、分かっていない。


何かしらのジンかメルティの攻撃、もしくはファナ自身にトラブルが生じて勝手に倒れた、としか思っていなかった。


だが、引き摺られる男は、確かメルティにご執心。

そしてレオナがこうも怒りを露わにしてライフルまで掴んでこの場に連れてきたこと。


――レオナの言葉通りと考えるのが、自然だ。



ギッ、と音がするような勢いでレオナは、ジークノートを睨む。


「証拠だと!? お前の目は節穴か! メルティが、この男にファナさんを狙撃するよう仕組んだに決まっているだろうが! ファナさんのあの不自然な転倒、そして頭の怪我に銃弾!」


レオナは、一呼吸置いて再度、叫ぶ。


「この決闘は最初から穢されていたんだ!」


「戯言はよしなさい、レオナ!」


そのレオナに、当のメルティが大声で制した。


メルティは、ふぅ、と息を吐き出し、レオナを馬鹿にするよう告げた。



「私が仕組んだ? 殿下がおっしゃったように、どこにその証拠があるのよ?」



柔らかく笑みを浮かべレオナを、――もとい、連行された男に目線を送るメルティ。


レオナに強烈なビンタを一発食らい完全に身を縮こませた侯爵令息は、メルティの表情を見て、察した。


「そそ、そうだ! 僕は違うぞ! 家の者が、うちの執事が、この銃で鳥を撃つというから僕も一緒に着いていっただけだ!」


ここで、事実を認めると二度とメルティは口を聞いてくれなくなるかもしれない。


想いを寄せる女性のピンチ。

それを庇わずして、何が紳士か。


しかし。



「ほぅ? 私と同じ侯爵家の者が、平時は帝都内での使用を禁じている火器を使ったと申すのか。それも、未だ街も起きぬこの早朝に?」



野太い声でにこやかに告げる、“大帝将” ハイデン。

口元は笑みを浮かべているが、目は笑っていない。


男はその表情に「ひっ!」と思わず声を漏らす。

さらにハイデンは目を細め、震えあがる彼に告げるのであった。


「君は確か、司法庁の事務次官殿の子息だったな? 法の番人たる御父上を持ちながら、よもや、そのご子息が法を破るなど……さぞ、御父上は悲しむよなぁ。」


整えられた顎髭に触れながら、わざとらしく悲しむ素振りを見せる。


その一挙手一投足から目が離せない。

同じ “侯爵家” とは言え、目の前の大将軍と自身の父とでは雲泥の差がある。


方や、帝国全土にその名を轟かせる偉大な英雄。

方や、省庁の事務端でトップと言える事務次官とはいえ、単なるお役人。


もし、この大将軍の不興を買ったとなれば、いくら同じ侯爵である父でも庇いきれないかもしれない。


それだけ、“大帝将” の力は帝国内で絶大なのだ。



「今一度問う。あの火器はお主の家の者が所有するものか?」


「は……はい。」


本当は、メルティが。

実際にはジンが用意したライフルだが、メルティを庇うために嘘を告げた。


だが、まるでその嘘を察しているかのように、ハイデンはさらに続ける。


「そしてこの早朝に鳥を撃つため外壁に上ったと?」


「……はい。」



「それが、たまたま(・・・・)手元が狂い、あの娘を撃ち抜いてしまった。そう申すか?」



緩めていた口元が、下がる。

全身の熱を奪いとるような、ハイデンの圧。


ガタガタと震え、「それは……。」と言い淀む。

チラリと、メルティへと目線を飛ばした。


メルティの目が訴えている。



“誤魔化せ”、と。



「と、鳥を撃ったのです! 家の者は、鳥を撃ったのですハイデン様! あの娘を撃ち抜いた、とおっしゃいますが、何のことか僕には分かりません!」


喚く侯爵令息に、ふぅ、と呆れ息を漏らすハイデン。

今度は、レオナを睨んだ。


レオナも思わず身体が硬直してしまう。


――超越者、それも “極醒職” という最高峰の職業を持つ存在でも、何故か、ただのイシュバーンの民であるハイデンの圧に心身が締め付けられた。


「レオナ嬢。その家の者とやらは、いずこに?」


「は、はい。外壁上で伸びています。一応、手持ちの縄で捕縛はしておきました。」


ふむ、と頷くハイデン。

続いてぐるりと首を横へ向け、同じ見届け人である “蒼槍将” バルトへと目を向けた。


「バルト。兵を引き連れて外壁の上にいる被疑者を捕え、本当に鳥を狙ったのかどうか、尋問せよ。」


「御意。」


「加えて、この者の御父上の今回の顛末を告げよ。故意か事故かは分からぬが、ジークノート殿下に、この “大帝将” ハイデン含め輝天八将4名が見届ける決闘に横槍が入ったのも事実。相応の報いを受けていただかねばならぬからなぁ。」


再度、口角を上げるハイデンだが。



その目には、怒りが宿っていた。



「ぎょ、御意に!」


慌てて頭を下げ、足早に野外訓練場を後にするバルトだった。



その後ろ姿を見て、ハイデンは響く声で告げる。



「とんだ横槍が入ったが、決闘は続行だ! 存分に死合うがよい、若人よ!」



その言葉に、アイラは「ちょ! おじ様!?」と叫ぶ。

だが。


「何が問題なのだ、アイラ殿?」


にこやかに、娘を見るような表情で尋ねるハイデン。

ぐっ、と一歩引きそうになるアイラだったが、ハイデンだけでなく、腕を絡めるジークノート、それにレイザーやレオナにも聞こえるよう、アイラは口を開いた。



「だーかーら! このままじゃジンとメルティが殺されちゃうよって言ってんじゃん! マジでやばいよ!?」



【暴虐のアロン】の転生の話を初めて聞いたのは、新たな輝天八将 “白金将” に任命され、全将軍との顔合わせの日だった。


聞かされたアロンの話は、“転生者” らしからぬ行動。


“適正職業の儀式で、見逃された”

“帝国の転生者優遇制度に興味を示さない”

“同郷のメルティを利用し転生者の情報を得ている”


アイラには、その全てが “転生者に対する敵対意識” にしか思えなかった。



そして、気付いた。


アロンの持つ書物スキル、“永劫の死”



“この世界で死なない転生者を、殺害できるのでは?”



即ち、アロンは明確な意思を持って “転生者を殺害する” ことを目的にしているのではないか? という気付きだ。


だからこそアイラの言う「殺される」という言葉の意味合いは、かなり違う。


しかし。



「それがどうした?」



首をすくめるハイデン。

それも、ハイデンだけでなくジークノートも怪訝な顔をしている。


「いや、だから!」


「アイラ殿。」


この世界の住人であるハイデンはともかく、察しの悪いジークノートやレイザー、ついでにレオナに対して “永劫の死” のことを告げようと声を上げたが、ハイデンが諫めた。



それがどうした(・・・・・・・)?」



にこやかに告げるハイデンの言葉に、アイラは息を飲みこんだ。



(こ、こいつ……まさか!?)





「つまり……あの鉄筒で鉛玉を撃って、ファナの命を狙ったってわけだな?」


レオナの言葉、そして泣きべそをかく貴族の青年とレオナが握る折れた筒を見て、アロンは静かに、しかし怒りを籠めて呟いた。


「決闘だって言ったのに……何て卑怯な。」


そしてそれは、その攻撃をまともに食らったファナも同じだ。


苦々しく、手の平で握る鉛玉をもう一度見た。


グニャ、と平べったく潰れた鉛玉。

生身でも高い防御力を誇るファナを傷付けただけでなく、その潰れ具合から、恐ろしいほどの速度と威力を以てファナの脳天を貫こうとしたのが分かる。


反対の手で、鉛玉が当たったこめかみのやや上、額を触れた。

すでにヒールで傷を塞いだのだが、当たった位置、もしこの鉛玉がファナを貫いていたら、それだけで絶命は免れなかっただろう。



「ファナを、殺そうと、した。」



その事実は、アロンの心を黒く塗りつぶすには十分過ぎた。


能面のように表情を落とし、ジン、そしてメルティを睨んだ。


「ヒッ!」


幼少の頃から知る、アロン。

メルティにとってはかつて憧れた【暴虐のアロン】



その彼が見た事が無いほど、表情を凍てつかせた。



身震いさせながら尻餅をつきそうになるのを何とか踏ん張るメルティ。

しかし、アロンが一歩近づくと合わせ、足が、自然に後方へと下がる。


「テメェ……!!」


そんなメルティを庇うようにジンが鉄剣を握り締め、アロンを睨んだ。


「ジ、ジン!?」


「メルティさん、落ち着いて。もう一度っす。」



“二人の全力の攻撃は、何かしらのスキルで防がれた”


そう、判断するジン。

仮にそうだとしても、相当高い力量を持っていることにはなる。


だが、雑魚しか居ない “邪龍の森” でそこまでレベルを上げることが出来るか?


――いや、出来るはずがない。


だからこそ、ファントム・イシュバーンで培った何かしらのスキルを発動させて、辛うじて防いだのだろう、というのがジンの判断だ。


スキルで防いだのなら、次は防げないかもしれない。


何故なら、攻撃系だろうと防御系だろうと、スキル発動には “SPの使用” が必須だからだ。


レベルが低ければ、当然ながらSPの総量の低い。

レベルアップで増加するSPは、僅か。


だからこそSPを上げるためにはINT(知能)にステータスポイントを振り分けなければならないのだ。


しかし、アロンは剣士系。


最初の一合目。

STR(腕力)500のジンの、小手先とは言え一撃を防いだということは、アロンもなけなしのステータスポイントをSTRに振り分けている可能性が非常に高い。


つまり、INTへの振り分けは僅かだと考える。


それなら、SPの総量は少なく、スキル使用でSPなどすぐに枯渇するだろう。



(その点、オレはINTにも振り分けている。)



ジンのステータス。

一番高いのはSTRで、500。

次は、VIT(体力)で、300。


そしてINTも300ポイントを振り分けている。


現在、ジンのレベルは250。

レベル1の時点でSPは800で、レベル1アップの度に増加SPは100ずつ。

INTを1ポイントアップさせる毎、増加するSPは1,000ずつだ。


つまり、ジンの総SPは装備無しで324,700にもなる。


先ほどの、渾身の “ボム・スイング” でSPを約3万消費したが、同じスキルを放とうとしても、まだ9回は発動することが出来る。



(どんな手品を使ったか知らねぇけど、何度も使えるわけがない。)



心寄せるメルティを、勇者のように守る自分。

相手は、最初に会った時から気に入らない、アロン。


ジンは、チラッと横を見る。

その視線の先は、未だレオナに首根っこを掴まれて、情けなくへたり込む侯爵令息(ライバル)だ。


(ケッ。情けねぇ面しやがって。この決闘を乗り越えて、メルティさんと結ばれるのはオレだ。せいぜいそこで泣いていろよ、小僧が。)


せっかく用意したライフルを使っても、憎いアロンの女を殺しそこなった使えない奴など何の価値もない。

その尻ぬぐい、そして焦るメルティを救う “王子様” は自分しか居ないと、ジンは確信するのであった。



(あんな地味顔(モブ面)の奴なんかに……オレの人生を邪魔されてたまるかよ!)



ジンは強く地面をけり上げ、“縮地法” で一気に間合いを詰めるのであった。





ジンの前世は、順風満帆だった。


小さいながらも多くの受注を得る町工場の、長男坊。

テクノロジーが発達し殆どの製造業がオートメーションであるなか、それでも所謂 “職人芸” には機械も及ばない点もあり、その隙間を埋めるよう、そして町工場の技術を求め多くの受注があった。


時折、会社の様子を見に来る銀行の融資担当をしている妙齢の女性が、『お父さんのこの会社は、本当に素敵ですね』とジンに話しかけてきたこともあり、誇らしい気分にもなった。


ジンはいつしか父の跡を引き継ぎ、町工場を切り盛りするようになった。


父譲りの技術だけでなく新たな技術を取り入れ生産の効率化を図ったり、より良い品質を保ったりなど、彼の会社は益々発展していった。


テクノロジーの発達した世界で、未だ昔ながらの技術にこだわる姿を多くのメディアが取り上げ、そうしてまた多くの受注が入ると、好循環に恵まれたのだ。



だが、良い事はそう長くは続かなかった。



会社の経理担当の男が、会社の金を横領した。


それも、小金ではない。

会社経営に影響の出るほど、多額だったのだ。


彼はそれを隠すため、自動的に経理処理するはずの財務システムを改竄して粉飾決算するなど、非常に悪質な方法を取ったのだ。


それが発覚した時は、もはや手遅れの状況。


男を解雇し、横領した金と合わせ損害賠償も行った。

しかし、戻ってきた金は、僅か。


――裁判の際に判明したことだが、男は歓楽街のキャバレークラブの女に入れ込んでおり、横領した金の殆どをその女につぎ込んでいたというのだ。


“そんな理由で、オレの会社を潰されてたまるか!”


ジンは、あちこちに頭を下げ、救済を申し出た。

行政に、金融機関に、親族に――。


だが、それでも失った額には到底届かない。


いよいよ苦渋の決断。

従業員のリストラを敢行した。


最初は、父が世話になったという老人の孫娘。

聞けば、早く両親を失って親族をたらい回しにされたという不憫な少女であった。


しかし、コミュニケーション能力は皆無。

これで容姿が優れていればまだ良かったが、不健康そのもののように痩せ細り、髪は幽霊のように伸び散らかしてはボサボサ、さらに目はギョロッとしていてお世辞にも美人とは言えなかった。


ジンが社長になってから2、3回ほど言葉を交わしたが、殆ど何をしゃべっているのか分からないくらい、声が小さかった。


そんな彼女も、世界で最も有名な “ファントム・イシュバーン” というゲームの話をさせると普段のボソボソ声とは思えないほど、饒舌にしゃべり出すのだという。


いずれにせよ、そんな者を雇っておく体力はない。

父が世話になったという老人が金でも貸してくれれば一考の余地もあったが、“そんな金は無い” と一蹴されたから、もはや温情も同情も湧かなかった。



そして、娘を解雇してから歯止めが利かなくなった。


ジンはまるで人が変わったかのように、従業員をリストラし始めた。

中には、祖父の代から会社を盛り立ててきた者もいたが、関係なかった。


だが、従業員をリストラしても会社を立て直すことも出来ず、いよいよ賃金未払いや資金ショートの末、敢え無く倒産となった。



債務整理が終わった後、手元の残ったのは僅かな金。


妻にも三行半を突きつけられ、次期社長として手塩にかけて育てようとした幼い息子とも離れ離れとなってしまった。


失意に暮れる、ジン。

コンビニエンスストアでバイトをしながら、若い従業員や客にへこへこと頭を下げる毎日。


生きているとも死んでいるとも分からない中、彼が手を出したのは、最初にリストラをした娘が趣味にしていたというVRMMO “ファントム・イシュバーン” だった。


その煌びやかな世界にジンはどっぷりとつかった。


なけなしの金を全て費やし、大量の保存食や日用品を買い込んで、“この幻想的な世界で息耐えよう” と考えたのだ。


そこでも、自分より強いアバターにヘコヘコと頭を下げる日々。


でも、現実世界とは違う。

誰もが優しく、誰もがこのゲームを楽しんでいる。



“あの娘が饒舌になった、というのも分かる”



そしていよいよ食料が底を尽き、廃人同然となったジンの最期の日。



“オレは、何て不運なんだ……。”



そう考えていた矢先。


女神が、ほほ笑んだ。





ファントム・イシュバーンと全く同じの “ゲームの世界” に生まれ変わったジンは、周りに “神童” と呼ばれながら順調に育った。


そして12歳。

適正職業の儀式で判明する、“銀騎士” という超越者の称号。


そこから劇的に変わる、生活。

華やかな帝都の一等地で、使用人を侍らす。

そして通うは、最高峰の学府。


そこで出会った灰髪のメルティに、一目惚れした。

前世では中年、しかも廃人にまでなったジンにとってあらゆる価値観が変貌するほど、彼女の美貌に心奪われたのだ。


だが、中々靡かないメルティ。

どうやら同郷に想い人がいるらしく、ジンが取り付く島もない。


それが、噂の【暴虐のアロン】だと知るまでそうは時間が掛からなかった。



――ジンは、最初からアロンが気に入らなかった。



その反動なのか。

まるでタガが外れたように自宅では横柄に振舞うようになってしまったのだ。


使用人のメイドを、欲望のまま無理矢理犯すことも。


それを執事に目撃された時は、流石に悔いた。

しかし咎められるかと思いきや、意外や執事はにこやかにこう告げるのであった。


『坊ちゃん、お望みでしたら適当な者を招きます。』


最初は意味が分からなかったが、しばらくすると、家に美しい女性がやってきた。


彼女は多額の給金と引き換えに、その身を転生者に捧げるため、子を宿さぬ身体になったのだという。


どうやら以前、レントールという転生者が使用人に当たりかまわず犯しまくったため、そういう事を望む(・・・・・・・・)転生者のために(・・・・・・・)用意された(・・・・・)という。


聞いた時は嫌悪した。

しかし、一度抱いたら病みつきになった。


転生者特典と、あらゆる権利。

ジンの心は、万能感と自己肯定感に満たされた。


女を抱く度に、思う。

――これは練習(・・)だ。


いつか、メルティを抱く時が来た時に、幻滅されないように。



どうせコイツ等は(・・・・・・・・)人間じゃない(・・・・・・)



女神に手を差し伸べられ、転生したゲームの世界。

前世、身も心もボロボロになった中年はこの世界で見違えるほど若々しく、そして倫理観などかなぐり捨てて好いた女を振り向かせるのが、彼の全てとなった。





『ガンッ』



火花散る、アロンとジンの鉄剣。


『ガン、ガン、ガン』


二合、三合と打ち合うがアロンは平然とジンの猛攻を防ぐ。


いや、アロンは守っている(・・・・・)

ジンの剣は、すべてファナを狙っているのだった。


「この! この野郎!」


喚きながらもファナを斬ろうとするジンだが、その攻撃は読まれているように、アロンに防がれるのであった。



「ファナ。」


そんな攻撃の中でも、アロンはファナに声を掛けた。


「はい。」

「メルティを、任せた。」


「……わかった。」


ファナは静かに頷いてメルティの方へと歩き出した。


「行かせるかよ!」


『ガンッ』


踝を返してファナを袈裟切りにしようとするが、それもアロンに防がれた。


「このっ!」


怒りに形相を染めるジンに、アロンは冷たく睨む。



「ギッ!?」



突然訪れる、身体の硬直。

ジンはあろうことか、剣を大振りに構えたまま停止してしまった。


戦士系覚醒職 “竜騎士” スキル。

“ドラゴニックオーラ”


それは、決闘においてあり得ない隙となった。



『ドスッ』



硬直するジンは、驚愕に目を見開いた。


自分のやや前方に、鉄剣を握った二本の腕が不自然にも地面に落ちたからだ。



見覚えのある服の袖に、鉄剣。


即ち、その腕は。



「あああああああああああっ!!」



ジンの両腕の切断面から、鮮血が巻き散る。


焼け付くような激痛に悶えながら、ジンは喚き散らしながら膝を着く。


その眼前。

冷めた目を向けなから、アロンが立ちはだかる。



「一つ聞く。正直に答えろ。」



身体の芯から凍り付くような、アロンの声。


腕の痛み、鮮血が噴き出る絶望感が消え失せるような錯覚すら感じる、冷たい声だった。



「お前らは最初からファナを殺そうとしたんだな?」



あの鉛玉。

ファナが立ち上がった時の『何故、生きている?』というメルティの言葉。


そして、執拗にファナを狙うジンの剣閃。



「そう、さ。テメェが……絶望に歪むのを、オレは見たかったんだ。」


「そんな事のために、妻を。人を。殺すのか?」


額から脂汗を垂れ流しつつ、ジンはククッと笑みを浮かべた。



嗜虐的な、笑みを。



「どうせ、NPC(モブ)じゃねぇかよ……。」


「……そうか。」



それだけ告げ、アロンは高々と鉄剣を振り上げた。




「おい! いいのか、レイザっち!」


やや離れた位置で見守るジークノート達。

その中で、アイラがレイザーの鎧を『ガン』と一発殴り、再度告げた。


だが。


「超越者は、殺されても生き返るだろう?」


アロンとジンの様子を眺めていたハイデンが紡ぐ。

焦るアイラは、ハイデンをギッと睨み、叫ぶ。


「それはそうだけど、そうじゃないってば!」


「どういう意味だ、アイラ?」


首を傾げるレイザー。


その鎧を、再び殴るアイラ。



「レイザっち! あんた、アロン様がどうして【暴虐のアロン】なんて厳つい呼ばれ方したのか、聖国や覇国の連中が震えあがっていた理由、わかるっしょ!?」



沈黙。

そして。



「まずい!!」



“帝国きっての知将”

“軍鬼”


そんなレイザーらしからぬ、想定の放棄。



アロンが、【暴虐のアロン】と呼ばれる理由。


圧倒的戦力。

全職業の覚醒職をコンプリートした唯一の存在。

理論上最高数のスキル保持者。


ファントム・イシュバーン、“最強”



これがレイザー含め帝国陣営による【暴虐のアロン】の評価だ。



その評価は、同じ帝国陣営だったからこそ、アロンという猛威が降りかからなかったために、他陣営を震え上がらせた “もう一つの理由” を除いてしまったのだ。



アイラがそれを真っ先に気付いたのも、かつて覇国陣営で【暴虐のアロン】と戦い、手も足も出ず、成す術もなく倒されたというのもあるだろう。



他陣営にとっての、常識。


【暴虐のアロン】が恐れられた、もう一つの理由。



それは。





(ああ、初めてだな。デスワープ(・・・・・)。)


ジンの身体めがけ、振り落とされるアロンの剣。

まるで、スローモーションのように見えるジンだった。


“負けた”

“悔しい”


“次は、必ず勝つ”




―― “次” が、訪れることなど無いとも知らずに。




『ドシャッ』





「……ジン?」



ファナと睨み合うメルティが、ボソッと呟いた。


視界の向こう。

たった今、アロンに両腕を斬り飛ばされたジンが、袈裟切りによって鮮血をまき散らし、倒れたのだった。



“ジンが負けた”


その事実に、背筋が凍る。



「メルティちゃん……。謝るなら、今のうちだよ。」


そんなメルティに、目に涙を溜めたファナが憐れむように告げた。


「何だと!? ふざけた事を!」


“例え一人でも、ファナは殺す”


メルティは、ファナ目掛けて “サンダーボルト” を放った。


が。


『バチッ』


魔法はファナを包むが、無傷。

代わりに。


『バチッ』


今、ジンを切り裂いたアロンが雷に包まれた。

未だ、“聖盾” を切らしていなかったのだ。


「チッ! 卑怯者め!」


苦々しく叫ぶメルティ。

だが、その言葉がファナの頭に血を上らせる原因となった。


「どっちがだ!!」


『シュッ』


激高するファナが、突然メルティの目の前に現れた。

「へ?」と気の抜けた声を漏らすメルティの腹に、ファナは拳を突きたてた。


『ドゴッ』


「がはっ!?」


NPC(モブ女)とは思えない、凶悪な一撃。

メルティは胃液を吐き出しながら、殴られた腹を押さえてよろよろと、一歩、二歩と下がり、


『ザスッ』


地面に、膝を着けた。



「メルティちゃん!」


怒りを露わにするファナの目から、涙。


「私! 貴女のこと、大っ嫌いよ!」


口から涎を垂らしながら悶絶するメルティは、苦々しく顔を歪めた。


「今っ、更。わたしも……あんたが大嫌い、よ。」


「でも!」


涙を拭い、ファナはメルティの胸倉を掴んで立ち上がらせた。


“何で、こんなに力が強い!?”


この世界の、NPCらしからぬ力。

殴られた箇所の痛みで呼吸もままならないメルティが驚愕する中、再度、ファナは叫んだ。


「私は! 貴女のことを友達だって思っている!」




かつて同じ男性(アロン)を好いた恋敵(ライバル)

幼少期の確執に、適正職業の儀式での一件。


狂ったのは、超越者だったから。

いや、元々狂っていたのかもしれない。


それでも、幼き日を共にした同郷の友。


確かに、アロンを巡って確執はあった。

それは、未だに尾を引いている。


それでも、学友として共に語らい、笑い合った日々があったのも事実なのだ。


その時の事を想い、例え “嫌い” でも、再び手を取り笑い合える日が来ると、ファナは信じている。


―― 馬鹿な奴だと、言われようとも。



「ば、馬鹿じゃないの!? 誰が! 友達よ!?」


憎い女から “友達” だと呼ばれ、“侮辱も甚だしい” と激高するメルティ。


震える手で、強引にファナの腕を振り払った。


「メルティちゃん……。」


「忌々しい! それに、いつまで “ちゃん付け” で呼ぶんだ、このモブ女ぁ!!」



メルティの両手が激しく、黒く、輝く。


この世界の住人が、その “呪い” を受ければ回復不能。


状態異常、呪怨。


放つは、魔法士系上位職 “呪術師” の “ダークホロウ”

これに覚醒職 “魔聖” の “魔聖解放” を上乗せすることで、“恐慌”、“呪怨”、“威圧”、“鈍足” の状態異常が発生し、高確率で発動するようになる。



“この攻撃で殺す”


“死ななくても、一生呪怨で、苦しめ”



それを、放とうとした瞬間。



「“オーバークラッシュ”!」



右手の拳を左の掌へ当てた状態で、真っ直ぐメルティの身体目掛け、体当たりのように肘鉄を撃ち当てた。


全身を聖属性のオーラで包み、敵目掛けて肘鉄を撃ち当てる “武僧” スキル、オーバークラッシュ。


一見地味だが、タイミングが合えば敵が発動しようとするスキルを潰す事が出来る。


回復薬として、後方支援に回る僧侶系は、敵の標的にされやすい。

一網打尽にしようとスキルを放とうとしてきた輩に、不測の一手を撃ち当ててスキルごと潰す “オーバークラッシュ”


攻守に優れた “武僧” の真骨頂とも言うべき技だ。



「あがああああっ!」



突如、目にも止まらぬ速さでファナに体当たりをされて吹き飛ぶメルティ。


訓練場の地面にザザザザ、と身体が滑るが、止まる事も踏ん張ることも出来ない。



「がはっ、ごほっ!」


口から大量の血が吐き出る。

今の一撃で、かなりのダメージを負ってしまった。


「ぐっ……どう、して。」


“どうして、モブのくせにそんなに強い!?”


憎々しく叫ぼうとするが、身体が痛み、それどころではない。



「ファナ。」


今だオーバークラッシュの構えを取るファナの隣に、アロンが立った。



「アロン……。あの人は?」


「……死んだよ。」



その言葉に、ファナは小さく「そう」と呟いた。


――アロン曰く “前世” でラープス村や、自分たちを蹂躙したレントールも、先日やってきた時にアロンが撃退、いや、殺害したのだという。


不死である、超越者殺し。

それを可能とする、世界唯一の存在。


それが、アロンなのだ。



「なん……なんなんだよ、おま、え……。」


倒れるメルティが、掠れた声を絞り出した。

そんな彼女を見下し、アロンは剣をゆっくりと構えるのであった。




「なん、で? デスワープが発動しないの?」


血を流し倒れるジンを眺め、レオナは震え、呟いた。


それは、レオナだけではない。



「そんな、馬鹿、な。」


ジークノートも青褪め、呟く。



「あーぁ。だから言ったのにぃ。」



腕組みをして呆れるように、アイラが言い捨てる。


そして倒れ伏すメルティへと冷たい目線を飛ばした。



「次は、あのウザイ子ね。ばいば~い、メルティ。」



その言葉でハッと我に返るジークノート。


「止め!」


“止めろ、レイザー!”

その言葉の前に、レイザーはすでに動き出していた。



だが。

レイザーは寸前で立ち止まった。




「ファナ?」


剣を構えるアロンの前に、両手を広げてファナが立ちはだかった。


まるで、倒れるメルティを庇うように。


「アロン……。やっぱり、私はまだ、メルティちゃんを友達だって思っている。」


涙ぐみ、告げるファナにアロンは剣を下げた。


「ファナ……。そいつは君を殺そうとしたんだぞ?」


「それは……分かっている。もし私が弱ければ、きっと殺されていた。」


「そうだ。」


「でも……結果論かもしれないけど、私は生きている。生きていれば、やり直すことも出来る。きっと、メルティちゃんだって目を覚ます日が来るよ。」


そう言い、ファナはメルティへと目を向けた。


「メルティちゃん。私は貴女を到底赦せる気がしない。でも、いつか目を覚まして、改心して心からゴメンって謝ってくれるなら……その時はまた、一緒にお茶をしようよ。」


メルティは顔を伏せるだけで、答えない。

ゆっくりと起き上がり、地面に座り俯いたままだ。


再び、ファナはアロンへと目を向けた。



「アロン。この決闘、私たちの勝ちよ。」



その言葉が、引き金となったのか。


嗜虐的な笑みを浮かべたメルティが、ファナに向けて掌を差し出した。



“死ね”



「“ラージフレア”!!」



“闘神気” は使えないが、それでも様々なスキルを上乗せした渾身の魔法。

先ほどはアロンのスキルに防がれたが、ファナ程度なら骨も残らないはず。


―― スキルに、防がれなければ。



『ドゴンッ』



ファナを包む炎。

だが、それはファナを傷付けることなく、再びアロンの身体を包むのであった。


「な、ん、で?」


ガクガク、と身体を震わせるメルティ。

その両目から、ボロボロと涙が零れる。



「そこまで……堕ちているとはな。」



炎が消え、中から苦々しく表情を顰めたアロンが剣を構えて立っていた。



「残念だよ、メルティ。やはり、あの日、君を生かしておいたのは間違いだったようだな。」



肩を震わせ涙するファナを一度、ポン、と撫で、アロンはメルティの前へ立つ。



そして、大きく鉄剣を振り上げた。



「それが、何よ!?」



両目の涙を拭いもせず、メルティは怨嗟の声を張り上げた。


「殺せ! 殺すがいいさ! でも私は転生者、どうせ生き返る! 何度でも殺せばいいさ! その度、私はお前のっ、お前が大事にしている、その女をっ、モブ女をっ! 何度でも殺しに行く!!」


そして勝ち誇ったかのように、口元を歪めた。



だが、アロンは呆れるように首を一度横に振り、


「そうか。あれ(・・)を見ても、そう思うのか?」


視線を、横へとずらした。

それは後ろを見ろ、という意思表示。



そこに映る光景。


見る見る、メルティは顔色を青白くさせた。



「嘘っ。なんで、ジン……?」



そこには、血だまりの中で倒れ伏すジンの、死骸。


“大帝将” ハイデンがジンの死骸を確認しているようだが、そういう事ではない。



「なんで、何で!? デスワープは!?」



転生者が不死たる所以。


死に戻り、“デスワープ” で翌日朝には五体満足で完全復活を遂げる、転生特典があるからだ。



それが、発動しない。


――つまり、生き返らない。



その理由。

メルティの脳裏に浮かぶ、あるスキルの存在。



「永劫の……死……。」



ようやく、メルティは自分の置かれている立場を理解したのだった。


絶望に塗り潰された表情。

ゆっくりと、顔を上げ、アロンを見上げる。



「さよなら、メルティ。」



それは、慈悲の欠片もない宣告。


張り上げられた鉄剣、もとい、避けられぬ死の鉄槌が、今、メルティの脳天目掛けて振り下ろされた。



『ガンッ!』



「……レイザー、さん。」



アロンの凶刃を防いだのは、レイザーだった。


剣を防ぎつつ、震えるレイザーは声を張り上げた。



「そこまで! 立会人 “黒鎧将” レイザーの名において、この決闘、アロンとファナの勝利とする!」



叫ぶように、アロン達の勝利を宣言した。


「メルティさん!」


それと同時に、腕に絡みつくアイラを跳ねのけてメルティへと駆け出すジークノート。


後ろから抱きしめ、ギッ、とアロンを睨む、が。



「あ……。あ……。ころ、ころ、殺され、殺され、ル。アハッ、アハハハ。殺サレ、ル。アロン様、ニ、アハハハッ。コロ、コロサレッ。アハッハッハハ。」



メルティは、口からダラダラと涎を垂れ流しながら呟き続ける。

すでに目の焦点は合ってなく、また股から温かな体液を垂れ流していた。


メルティとは思えないほど、見る影もない。



いつの間にか、美しい灰髪が。


真っ白に、染まった。



「メルティさん!? おい! 姫、しっかりしろ!!」


ガクガク、とメルティの全身を揺するが、気が触れたメルティは、延々と呟き続けるのであった。




「は~ぁ。だから言ったのに。」


ジークノートに跳ね飛ばされたアイラは、コートに着いた埃をパッパッと払いながら呟いた。



「死なねー、と天狗になっているアタシ達にぃ、“殺される” っていうことはショッキングよねー。」


予想していたとは言え、その悍ましい事実に身が震えた。



「でも、ジンはぁ、メルティに比べて超ラッキーだったか。」



死者を愚弄するような物言い。

彼女の近くにいた、レオナは思わず顔を歪める、が。



続く言葉を聞いて、納得せざるを得なかった。



「アロン様にぃ、“殺される” って事を知らずに死ねたんだから? デスワープがあるって信じている中で死ねたんだから、ラッキーよねー。」



“生き返る”


その前提に立ち、死を一旦は受け入れて死ねたジン。


そして、“アロンに殺されると、デスワープは発動しない” という事実を知り、自らが仕出かしてきた事の重大さと合わせて、全てを認識した結果、精神を壊してしまったメルティ。



果たしてどちらが幸運なのか。




「つまりぃ、これからぁ……私たち転生者は選択肢を誤ったら最悪、皆殺しってことかぁ。やっばーい。」



語るは、超越者(転生者)に突きつけられた事実。



この日、“イシュバーン” の常識が覆ったのだ。



次回、12月14日(土)掲載予定です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ハイデンさんは信用できそうではあるがあくまでも国のことを第一義的に考えるタイプだと思うから信頼は出来ないかな…
[良い点] みんな!!ついにこの日を迎えたよ!!さあ今の今まで溜まってきた鬱憤を存分に晴らそうではないか!!!! [一言] タイトルが秀逸でした
[一言]  メルティが生き残ったのはちょっと意外でした。  でも確かにジンとどっちが幸せかと聞かれれば答えに迷う結末。  タイトルの意味が深い。
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