5-1 存在しないはずの物を目指して
【お知らせ】
10月1日に新作を公開しました。
【腹ペコガールはゴハンが食べたいだけ ~スケルトンに転生とかあり得ない!~】
(https://ncode.syosetu.com/n5333ft/)
もしよろしければ御覧いただけると幸いです。
ラープス村より南東へ馬車で片道4日ほどの距離。
東西に伸びる巨大な霊峰。
その霊峰に沿うように生い茂る “邪龍の森” の、切れ間。
朽ちた木々と割れた岩の奥。
そこには、霊峰が口を開けたようにぽっかりと空いた巨大な穴倉がある。
覗く深淵。
暗闇よりも深い闇。
“霊峰の腸”
そう呼ばれる穴倉の正体。
そこは、世界各地に点在する72の迷宮の内の一つ。
【プルソンの迷宮】
イシュバーンの民では、とても太刀打ちできない凶悪なモンスターが跋扈する鬱蒼としたダンジョンは、未だ踏破されていない。
しかし。
―――――
「と、いう訳で今日は地下15階を目指そうと思う。」
「「「「「ええええええー!?」」」」」
早朝。
秋の訪れで肌寒さを感じる季節。
まだ日が昇り始めたばかりのこの時刻では、余計に冷えを感じるが、今まさに、黒銀の全身鎧に身を包んだアロンが告げた言葉に、その場に居た全員が身を震わせるように叫ぶのであった。
「師匠、ちょっと待った。盾役のガレットが居ないのに大丈夫なの?」
顔を引きつらせながら手を伸ばすのは、ブルーシルバーに輝く軽装鎧に半透明の盾、そして赤く輝く剣を腰の鞘に差したリーズルだ。
そのやや後方の、長いストレート黒髪に金縁の丸眼鏡を掛けた魔導士ローブに身を包むオズロンもコクコクと首肯している。
そんな不安げな面々の顔を見渡すようにした後、アロンは明るい声で告げた。
「大丈夫だよ。リーズルもオズロンも適正レベルは満たしている。何より、このパーティーには回復役が2人、さらにララまで居るんだ。むしろ、このダンジョンに滞在できる体制なら、最下層の30階まで十分目指せるはずだよ。」
そんな明るい声とは裏腹に、青褪めるリーズルとオズロン。
正直、村長アケラの護衛だと豪語して村に残ったガレットが恨めしくも羨ましく思うのであった。
リーズルとオズロン、そしてガレットの3人が、イシュバーンの民にしては異例のレベル200超えという高レベルの理由。
それは、事あるごとにアロンのディメンション・ムーブでこの【プルソンの迷宮】に連れて来られ、レベリングに励んでいたからだ。
アロンの妻であるファナ、そして妹のララはラープス村と隣接している “邪龍の森” の最奥の番人こと、邪龍マガロ・デステーアの許で数年の修行の成果もあり、リーズル達を遥かに超えるレベルと実力者となっている。
ただし、アロン達はマガロが所望する “対価” との引き換えで特別にレベリングに協力してもらっていたに過ぎず、幾らアロンの仲間であるリーズル達だとは言え、マガロを満足させられるような対価の提示が出来ない以上、彼女の世話になることは無かった。
――尤も、マガロとしては不用意に人間を “邪龍の森” こと【ルシフェルの大迷宮】の最奥まで近づけさせたくないという思いがあり、一応は信頼しているアロン、ファナの2人が連れてきたララこそ、例外中の例外として仕方なく面倒を見ることにした、という事情があったのだ。
そんな事情があるにも関わらず、さらに人間を3人もレベリングの世話をしてくれ、というのはさすがのアロンも願い出ることは出来なかった。
マガロは、あくまでも利害が一致した “協力者” に過ぎない。
もし機嫌を損ね、“アロン不在時のラープス村の守護” という約束を反故にされたり、ましてや修行として見てくれているアロンだけでなく、ファナやララにその牙が剥けられたら元も子も無いのだ。
「アロンさんは、向こうの世界でプルソンの迷宮は攻略されたのですか?」
帝都で市販されている防具の中で超越者くらいにしか手にすることが出来ない、ミスリル繊維で編み上げられた最上級の司祭ローブに身に纏い、アロンから譲ってもらった “ルビースタッフ” を装備する黒髪ストレートの女性、僧侶系上位職 “司祭”、超越者セイルが尋ねる。
ええ、と声を漏らすアロン。
「しばらくはラープス村を拠点として動いていましたからね。帝国内のダンジョンは全て踏破しましたよ。」
その言葉に、尋ねた張本人セイルは「すごっ」と声を漏らした。
「……ってことは、【サタニーシャの大迷宮】も攻略された、ということですか?」
「ええ。」
平然と答えるアロンに、セイルはまたまた「ひゃっ」と声を漏らしてしまった。
「確か、アロンさんって。」
「ええ。ソロです。苦労しましたよ。」
愕然となるセイルは、思い知った。
目の前の、黒銀の全身鎧。
中身は優しく気弱に見える村人にしか見えないのだが、彼こそ、VRMMOファントム・イシュバーンにおいて、最強アバターと呼ばれ恐れられた【暴虐のアロン】だったのだと、改めて思い知ったのだった。
「あ、あの! サタニーシャの大迷宮の最奥には何が居るのですか!? やはり、噂通り “龍” が居て、その奥にはっ」
「セイルさん。その話はここではあまりしない方が良い。誰が聞いているか分かりませんから。」
やや興奮するセイルを窘めるアロン。
うっ、と言葉を詰まらせるセイルを見て、ファナとララがクスクスと笑い始める。
「いつもお淑やかで素敵なセイルが、そこまで取り乱すなんて。」
「本当。でもセイルさんそんなに興奮するってことは、それだけ凄い話ってことよねー。」
「うううー。ファナ、ララちゃん……。」
顔を真っ赤にして両手で覆うセイル。
余りに恥ずかしく、その場でしゃがんでしまった。
そんなセイルの腕を優しく掴む、ファナ。
「さ、セイル。立って。せっかく早起きして皆で来たんだから! 頑張ろうっ!」
「ううう……分かった。」
実年齢は同じ年だが、前世で生きていた期間を換算すれば、このメンバーの中で最年長なのはセイルであった。
ちなみにその年齢、『前世と今世を足したらもうすぐ年金支給開始の年齢』との事だが、意味の分からないアロン達であったのだ。
なお、ファナとセイルは現世で同じ年、しかも同じ女性である事もあって互いに呼び捨てで名前を呼び合う程、仲が良くなった。
ファナ曰く『あの子とは全然違う!』だそうだ。
最初、セイルは “あの子” とは誰のことか分からなかったが、苦笑いするアロンの様子から『メルティさんか』と半ば呆れ理解したのであった。
セイルは、帝都ギルド “蒼天団” を抜け、アロンのギルドに加盟した後、そのまま済し崩しのようにラープス村に住み着いている。
……とは言っても、“超越者は帝都に住む” という義務があり、今世の両親も帝都に住み続けているため対外的には帝都在住となっている。
そのため冒険者として活躍した実績を盾として “強くなるための放浪修行” として、長期間に亘る不在許可を得てきた。
併せて、高等教育学院も退学した。
すでに冒険者として名前と実績を挙げるセイル。
その活動から休学しがちであったこと、また前世の記憶や経験を踏まえれば、今更学校に通学する必要も無いのだ。
“放浪修行” を理由に、ササッと退学届を送り付けたのだった。
ちなみに、ラープス村でのセイルの役割は村長アケラの補佐官だ。
前世、金融機関勤めであった経験から村の財務諸表や帳簿の整理・管理などがセイルの仕事となった。
当然、イシュバーンと前世との財務管理方法は全く異なるため当初は苦労していた様子だが、理解してからはというと、前世の知識であった向こうの世界の会計管理手法を組み合わせ、ラープス村の財政面の強みや弱みから無駄な出費の削減など、更にラープス村の景気経済に貢献しているのであった。
こうした活躍に、本人の美貌も相まってラープス村での評判は上々。
住み着いてまだ3か月程だが、すでにラープス村の住民として受け入れられているのであった。
「はぁ。さっさと立ちなさい。奥様の手を煩わせるんじゃないですよ。」
「もー! オズロン君は私に対して厳しすぎますよ!」
ファナに腕を掴まれて恥ずかしそうに立つセイルに、オズロンは眼鏡の位置を直しながら呆れ声で呟いた。
そんなオズロンに食って掛かるセイル。
オズロンとセイル。
二人は以前、共に帝都の省庁へ超越者カイエンの悪事を告発しに使者として訪問した仲でもある。
その時に色々と話込み、それなりに仲良くなった、と思いきや……。
「厳しい? 貴女の実年齢を考えれば仕方ないでしょ?」
「そ、そうかもしれませんけどっ!」
村長アケラの補佐官。
それは、元々オズロンの役割であった。
しかし、ラープス村の学校の教員をも兼務するオズロンがずっとアケラの補佐に就くわけにもいかなかった。
そこに現れたのが、優秀なセイルという女性。
しかも、最初は村一番の頭脳であるオズロンでさえも、理解出来なかった “向こうの世界の財務諸表” を提示されてから、オズロンの中でセイルは一気にライバルへと変貌したのであった。
オズロンにとって、実力だけでなく頭脳までも遅れを取った初めての相手。
そんな彼女が情けなく膝を折る姿に、柄にもなく苛付く。
「ま、まぁまぁ。こんなところで喧嘩なんてしないでください。」
「オズロンさんも言い過ぎです。セイルさんは女の子なんだから、もう少し優しくしたらどうですか?」
二人を宥めるアロンだが、すぐ隣のララがムスッとしてオズロンに食って掛かる。
うっ、と言葉に詰まるオズロン。
憧れるアロンの “妹様” の言葉だ。
無碍には出来ない。
「失礼しました。妹様。」
「い、妹様って呼ばないでって何度も言っているじゃないですか!」
顔を真っ赤にして叫ぶララだが、すぐ隣のリーズルがククク、と笑う。
「オレもそう呼んだ方がいい? ララちゃん、いや、妹様。」
「絶対にやめてください!!」
矛先が、リーズルに向かった。
ハハハ、と笑い逃げるリーズルに、顔は真っ赤だが何故か嬉しそうに追い掛け回すララであった。
この二人も、関係が微妙である。
ララは誰がどう見ても、リーズルに気がある様子だ。
だが、村で一番のモテ男リーズルはどうか。
未だその心が誰に向いているか、誰も知らないのであった。
しかしこの二人の様子を見ると、リーズルもララに対して満更ではない様子でもある。
「リーズル君が義理の弟になったら、どう思う?」
「うっ……うーん。」
微妙な顔のファナに、仮面で表情は分からないが明らかに苦々しい顔をしているだろう、アロンであった。
幼少期からアロンを “師匠” と慕うリーズルだが、女性にモテまくるのでララの兄、そして義姉としてはかなり心配だ。
「さ、さぁ皆。そろそろ中に入るよ!」
埒が明かない。
急かすように指示を飛ばす、アロンであった。
◇
「どりゃあっ!!」
『ギャンッ!!』
プルソンの迷宮、地下7階。
リーズルが背丈程ある大剣で真っ二つに斬り割いたのは、禍々しい赤色の斑模様で背に大きな盾のような甲羅を背負う、歪な虎、シェルタイガーだ。
生半可な武器や腕では、その背の盾に攻撃が阻まれる。
それは魔法とて例外ではない。
しかし。
「“ハイサンダーボルト!”」
『グギャアオオオッ!』
手の平から紫電を迸らせる、オズロン。
「“アシッドボム”、かーらーの、とりゃあっ!」
『ギャウンッ!!』
左手から生み出したクリエイトアイテムで作り出した小瓶を投げつけ、中の液体がシェルタイガーの背の盾を解かしたのと同時に斬りつけるララ。
さらに。
「たあああっ!」
ララと同じ真っ白のローブに金の髪飾りを付けるファナが、堅い盾で覆われたシェルタイガーの背中ごと、拳で殴った。
『ドギャッ』
鈍い音と共に、盾をひしゃげて地面に潰れる。
一瞬にして、その場に居た4匹のシェルタイガーが絶命した。
「相変わらず……お強いですね、皆さん。」
口をポカンと開けて呆れるセイル。
“この人達は、本当に超越者ではないの?”
何度も何度も疑問に思ったが、全員が否定する。
聞けば、アロンが修行を付けたことでここまで強くなったとのことだ。
もちろん、それだけではない。
このイシュバーンへの転生において、裏技とも言うべき方法。
【装備換装】
書物スキルの中で、最も高いレア度でありながら『微妙な能力』として余り見向きもされなかったスキルだ。
何と、アロンはこのスキルを利用して、ファントム・イシュバーン内の数々の武具やアイテムをこのイシュバーンに持ち込んだというのだ。
最初に聞いた時は、耳を疑った。
しかし、現実にアロンが身に纏う見た目装備も、その裏で纏っている神話級の正装備も、この方法で持ち込んだというのだ。
極めつけが、“転職の書”
“イシュバーンでは、転職が出来ない”
“基本職” しか居ないイシュバーンの民にとって、“基本職” を超える職業を宿す超越者だからこそ、“超越者” なのだ。
そして超越者自身も、転生する前のアバターの職業がそのまま転生先の職業として反映される。
ファントム・イシュバーンで得たスキルはそのまま使え、さらにモンスターや敵対者を倒す事で得られるJPを振り分けることで、スキルを強化したり、未習得のスキルを得ることも出来る。
だが、どうしても転職だけは出来ない。
何故なら、このイシュバーンには “転職の書” が存在しないからだ。
しかし、アロンはそれを持ち込んだ。
そして、同郷のファナやリーズル達を鍛え、転職させた。
これが、どれほどの脅威であるか。
この話を最初に聞いた時にセイルが感じた脅威は、2つ。
一つは、超越者抜きでラープス村の戦力を絶大にしようというアロンの考えだ。
元々アロンはイシュバーンの人間であり、御使いと呼ばれる神の手でイシュバーンからファントム・イシュバーンの世界へと転移し、5年の歳月で “最強” と呼ばれるキャラクターを作り上げ、再びイシュバーンへと転生した、ということだ。
“今度こそ、守る”
アロンが転移した理由。
それは、超越者の手によってラープス村が滅ぼされたから、ということだ。
そして、その事実がもう一つの理由に直結している。
二つ目の理由。
――アロンは、超越者を信用していない。
いや、超越者を、心の奥底から憎悪している。
(ここまで連れてきてくれたということ。ギルドに入れてくれたということは、ある程度は信頼されていると思うけど……。)
目の前で繰り広げられた暴力に、背筋が寒くなるセイル。
元々、この世界の超越者の横暴には嫌気が差していた。
何故なら、セイルがイシュバーンの民を一生懸命に治癒しても、同じ超越者から “偽善者” と陰で罵られていたからだ。
だからこそ、ギルドマスターであったカイエンが仕出かした事が許せなかった。
逆に絶望に心が塗り潰されたセイルを、アロンとファナが救ってくれた。
その恩に報いるため。
これ以上、超越者の手によって不幸となるイシュバーンの人を見たくないため。
セイルは、まるで贖罪のようにアロン達に従う事を決意した。
だが、この強さを前に震えあがってしまう。
いくら超越者がデスワープで不死であろうと、ダメージを受ければ痛みはあるし、死ねば苦しいと聞く。
まだ一度も死んだことの無いセイルは、死を恐れる。
“死なない” とは分かっていても、嫌なものは嫌なのだ。
この戦力。
下手したら、並みの超越者では手も足も出ないだろう。
ここまで強くする理由を、セイルは知らない。
(まだ、私は全てを語られていないということね。)
ある程度は、予想が出来る。
だが、聞かないし、言わない。
アロンが、教えてくれるその日まで、口を閉じる。
それが、セイルにとってアロンを “信頼している” 証であるからだ。
いつか、アロンが心の底からセイルを “仲間” だと認めてくれ、信頼してくれるその日まで、待つことにした。
――それだけのことを、同じ超越者が彼に仕出かしたのだ。
だが、それでも聞きたいことがある。
「アロンさん、ここから先は……。」
「うん。冒険者連合体でも把握されていない、未踏地だね。」
アロン達の眼前には、さらに地下へと向かう階段。
プルソンの迷宮、地下8階以下。
イシュバーンで、未だ踏み入れられたことの無い階層だ。
イシュバーンに転生した超越者にとって、何ともし難い制限の一つが “装備を持ち込めない” ことだ。
つまり、強い武具やアイテムは自ら手に入れるしかない。
だが、強い武具やアイテムは、より深く難易度の高いダンジョンに眠っているものだ。
そこへ踏み込もうとするには、当然ながら強い武具が必要となってくる。
“ゲームの世界だからこそ、出来ること”
だがここは、現実のイシュバーン。
いくら超越者が不死とは言え、死ねばデスワープでやり直しなのだ。
それも、自宅から。
そしてレベル上げもゲームの世界とは違い、思うように進まない。
何故なら、強い武具が無いから。
だからこそ、イシュバーンでは “ダンジョン攻略” が意外と進んでいないのだった。
「セイルさん、先に言っておく。」
階段を見つめるセイルに、アロンは告げる。
「はい。」
「ボクは。いや、ボク等はいずれ、最下層を目指す。」
頷くセイル。
武具が揃い、アロン、そして仲間になったセイルには “次元倉庫” がある。
即ち、ダンジョン内で野宿込みで踏破しようと思えば、全員のレベルが及第点であることを含め可能なのだ。
だが、それをあえて今、告げる理由。
セイルは、その意味を理解した。
「無い、のが常識ですが。……有ると。」
頷く、アロン。
セイルは全身を粟立たせた。
「本当なら、無理してでも踏破しようと思うのが人の考えだと思うのですが……。武器や防具が満足に揃わず、しかも、持ち帰ってくるのが前提になりますからね。」
「そういう事です。だからこそ、このダンジョンも未踏破なのです。」
「……何の話?」
少し頬を膨らませながらアロンの腕に絡むファナ。
アロンとセイルは、よくこうして2人でファントム・イシュバーン談義を行うのだ。
意味が分からず、どうしても拗ねてしまうファナであった。
そんなファナに、優しく語り掛けるようにアロンは答えを言う。
「ファナ。実はね……。」
その言葉に、ファナも目を丸くさせた。
「えっ、じゃ、じゃあ! 補充が出来るんだ!」
「それだけじゃない。他の連中の手に渡ることを防ぐんだ。」
アロンは真っ直ぐ、暗闇の階段を睨む。
「今日は15階までを目指す。だけど近いうちに、皆で最下層まで辿り着こう。」
それが、条件。
イシュバーンのダンジョンも、ファントム・イシュバーンと同じ状況であるなら、その現象は必ず起こりえる。
このプルソンの迷宮に眠る、あるアイテムを得るための、条件。
“6人1組パーティーで、最下層のボスを攻略すること”
所謂、“おまけ条件” だ。
本来は、最下層のボスを倒せば目的終了。
そこで得られる “最上級” の武器が手に入ればそこまでのはずだ。
だが、アロンが狙うのは別だ。
武器も欲しいが、一番欲しいのはその、おまけ。
それは、イシュバーンの世界には “無い” と言われたアイテム。
「ボク等の手で、独占するぞ。」
72のダンジョンの内、6つのダンジョンに設定されている、踏破時におけるサブボーナスのおまけアイテム。
“転職の書”
超越者に力を付けさせないために。
アロンの仲間たちがより高みを目指すために。
いよいよ、アロンは本格的に “選別” と “殲滅” に向けて行動を開始するのであった。
次回、10月7日(月)更新予定
少し間が空いてしまいますが、御容赦ください。