3-9 神の名
「ファナ殿のアップルパイは最高ね。」
淡々と語るが、目元を緩めて満足そうにファナのアップルパイを頬張る邪龍マガロ・デステーア。
上品に齧り優雅にお茶を啜る姿は、貴族のようだ。
「お気に召して何よりです……。」
照れながらも、少し微妙な気分のファナ。
相手は伝説の邪龍であり、思惑はあったとは言え先ほどまで生死を賭けた絶体絶命の状況を生み出した張本人だ。
アロンや自分のためであったとは言え、心の底からは納得できていない。
……また何か、罠が潜んでいるのでは。
警戒するファナ、だが。
「ふふ。良い傾向ね。」
食べかけのパイを片手に、笑みを浮かべるマガロ。
ファナが警戒していることを見抜いているのだ。
もちろん、ファナの隣のアロンも同じだ。
「さすがに警戒するなという方が無理ですよ。」
不満げに答えながらもお茶を啜る。
そんなアロンを眺め、さらに満足そうに頷くマガロ。
「そう、それが貴方たちに必要となる事よ?」
笑顔だが、どこか儚げに語る。
わずかな表情の変化に気付く、ファナ。
「……マガロ様も、そういう事があったのですか?」
“疑え”
マガロがアロン達に施したことを端的に表せば、それだ。
仮に、そのことでかつてマガロの身に何かあったとすると。
――それは、伝説にある “神々と人類へ熾烈な争いを仕掛けた” ことだと二人は想像した。
一口、お茶を飲みマガロは目を閉じる。
『ズリュリュッ』
悍ましい音と共に巻かれたマガロの髪が解け、長く伸びたと同時にアロンとファナごと、包んだ。
「なんだこれは!?」
「キャアッ!?」
一瞬のことだった。
思わずアロンは背の剣に手を掛けるが。
「安心して? これは貴方たちに危害を加えるものではない。」
髪で包まれた空間。
青白い、星空のような輝きが満ちて幻想的に映る。
ぼんやりと、アロンとファナ、そしてマガロの姿が浮かび上がった。
「ここから先の話は、私達以外に聞かれると不味いかもしれない。だから、少し空間を閉じさせていただいたわ。この中なら、例え神だろうと入ってこられない。」
マガロは茶器をテーブルに置き、アロンとファナを見据えた。
思わず立ち上がったアロンとファナも、椅子に座り直した。
「空間を閉じた?」
アロンは思わずディメンション・ムーブによる視覚効果で、自宅の部屋を脳裏に映し出してみた。
……なんの問題もなく、映せたため、移動は可能だ。
「アロン殿。その力は私達の理を超えるモノ。それが働いている以上、私でも防ぎようが無い。」
「それとは、ファントム・イシュバーンのことか?」
頷く、マガロ。
え、と声を上げるファナ。
「ファントム・イシュバーン?」
「別世界にある、この広大なイシュバーンの地を投影させた別世界の人々の遊戯場よ。」
アロンの代わりに答えるマガロ。
“別世界”
それは、超越者が元々住んでいた世界だと、聞いた。
超越者はそこから、御使いの力か何かで、このイシュバーンに転生してきた者だと。
だが、その世界に存在する、イシュバーンを投影させた遊戯場とは?
ますます混乱するファナ。
だが、
「やはり、ご存知でしたか。」
「ええ。伊達に長く生きていないし……それに、どうしてそんなモノが存在しているかというのも、ある程度知っているからね。」
ファナの問いには答えず、目を見開きアロンは身を乗り出す。
「あ、貴女はファントム・イシュバーンがどうして存在しているか、知っているのですか!?」
イシュバーンを模した、別世界のゲーム。
VRMMO【ファントム・イシュバーン】
若干の差異はあるものの、イシュバーンの世界そのものを投影させた世界で繰り広げる、三大国の戦争をベースにした冒険者たちの戦い。
その世界のプレイヤーが、“女の御使い” によってなのか、選ばれてこのイシュバーンに転生してくる。
ファントム・イシュバーンで培ったスキルと職業、そして死に戻りことデスワープを代表とするシステム上スキルまでも得た状態であるため、基本職しか存在しないイシュバーンにおいて “超越者” と呼ばれる存在となる。
そして、超越者の存在はイシュバーンに認知されている。
それどころか、各国が戦争を有利に進めるための貴重な人材として、獲得に躍起になっているのだ。
――2年前、儀式の直後に帝都へ移り住んだ、“魔聖” メルティが良い例だ。
だが、誰も “超越者” が何故存在しているのかまでは、知らない。
一部の者は “別世界からの転生者” という事は知っているのだろうが、問題は “何故、転生しているか” だ。
それは、転生者本人すら知らないことだ。
“自分は選ばれし者” 程度の認識が関の山、中には “何故、自分が選ばれたのか” と考え、その法則性を探る者もいるかもしれないが、こればかりはアロンが転生時においても女の御使いからは語られなかったのだ。
何故、ファントム・イシュバーンが存在するのか。
何故、その世界から転生者がイシュバーンにやってくるのか。
男の御使い曰く、イシュバーンの救済のため。
果たして、それは本当なのか?
“疑う” ことを覚えたアロンは、超越者そのものの存在や、ファントム・イシュバーンの存在すら、疑問視する思考が芽生え始めたのだった。
即ちそれは、男の御使いの言葉すらも、だ。
「……ええ、知っているわ。」
青白い光に包まれる薄暗いマガロの空間。
一口お茶を含み、マガロは肯定したのだ。
しかし。
「それは今語る話では無いわ。あの場所が存在していることと、貴方たち超越者がイシュバーンに存在していることとは、理由が異なるから。」
「理由が異なる? 語る話ではない? それは何故!?」
アロンの問いに、はぁ、と溜息を吐き出す。
ジロリ、と睨むマガロの瞳からは、様々な感情が映る。
諦め。
悲しみ。
呆れ。
そして、怒り。
「そもそも、あの世界が存在している理由を知ったところで貴方には何も出来ないし、何の意味も無い。今、貴方にとって有用なのは、超越者がこの世界に存在する理由じゃなくて?」
顔を顰めるアロンは、それでも、と食い下がろうとするが、マガロから有無を言わせぬプレッシャーを受けて渋々席に座り直した。
そんな両者の顔をオロオロと見渡すファナに気付き、マガロは口元を柔らかく緩めた。
「まず、貴方の話が聞きたいわ。その上で、私も貴方に有益な情報を提供しましょう。」
ファナも、“ファントム・イシュバーン” なる謎の言葉も興味があるが、何よりも隣に座る最愛のアロンの秘密が知りたい。
“超越者” 即ち、別世界からの転生者。
だが、アロンは “違う” と言った。
“元よりイシュバーンの住人”
それが、アロンの言葉だ。
それ以上の事は教えてくれなかった、が、ついにアロンの口から語られる。
「マガロ……。貴女の想像通り、ボクは御使い様--、“神の代行者” を名乗られた白い男の方の手によって、向こうの世界へ転移したイシュバーンの住人。それも、今から3年後に “死んだ” 人間です。」
その言葉は、マガロにとっても、ファナにとっても、衝撃であった。
「アロン、は。えっと、今から、3年後に、死んだ??」
時間軸は未来を指すのに、まるで過去のように語る。
意味が全く分からないファナを、悲しそうに目を細めてアロンは抱き寄せた。
「そうだよ、ファナ。今から3年後、村にやってきた3人組の超越者によって村は滅ぼされ、ボクは殺されたんだ。そして……。」
目の前で、愛する婚約者と妹が犯された。
歯を食いしばり、目に怒りと憎しみを宿すアロン。
抱き寄せられるファナにはその表情は見えないが、震える身体から、どうしようも無い程の絶望と憎悪を感じ取った。
「そして、御使い様の世界に誘われて、天命と共に、力を付けるため別世界へと転移したんだ。その転移先が、このイシュバーンを模した遊戯場、ファントム・イシュバーンというところだった。超越者は……そこで力を付けた、別世界の住人だ。」
ファナの脳裏には、恋敵が浮かんだ。
彼女がアロンに固執したのは、その世界での絡みがあったからと、ようやく理解した。
「5年……。ボクはファントム・イシュバーンで力を付けて、再びこのイシュバーンに転生し直したんだ。同じアロンとして。」
「そう、そこよ。」
抱き合う二人の会話に割り込むように、マガロが告げた。
「貴方は今から3年後に一度命を失い、向こうの世界へ渡り、そして戻ってきた。そこまでは理解出来る。でも……。貴方の言葉が正しければ、時間軸を過去に遡って転生した事になるわ? あり得ない。」
空間を形作っていないサイドの髪をクルクルと指で捩じるマガロ。
その表情は、苦虫を嚙み潰したように歪んでいた。
「あり得ない?」
「ええ。向こうの住人をどのタイミングで、どの国に転生させるかすら、神ですらままならないはずよ? 加えて、転生のタイミングが未来に向かう事はあっても、過去に遡る事なんて不可能よ。それに……本当に転移したとしたら、時間軸はこっちも向こうも同じはず。いずれにせよ、過去に戻る何て芸当、あり得ないわ。」
「しかし……。」
現に、アロンはこの場にいる。
17歳で殺され、別世界に転移して、5年後にイシュバーンへ再び “アロン” として転生--、復活したのだ。
同じ帝国の、同じラープス村で、同じ両親の許に。
それに妹も、幼馴染も、学友たちも同じ。
“過去に遡る事は不可能” と言われても、現に、アロンはここにいるのだ。
「……まぁ良い。答えの出ないことを議論しても仕方がない。貴方の話では、超越者に殺されて、転移と転生をした、と。つまり、復讐?」
アロンの憎悪の正体。
それが判明した今、何を目的にして彼は動いているのか。
それに高い関心を寄せるマガロであった。
「……復讐が目的ではありません。ただ。」
アロンは今まで抱き寄せていたファナの身体を優しく放し、優しく見つめる。
抱きしめられたこと、そして見つめられていることで、ファナの顔は湯立つ程真っ赤だ。
「ファナを。そして家族や村の皆を守るため、3年後に来るだろうあいつ等をこの手で必ず葬り去ります。」
すでにいくつか未来が変わってきているため、同じように3年後にレントール達がやって来るとは限らない。
だが、他の超越者、それこそレントール達以上の力量を持つ者が襲撃してきても、必ず撃退するという自信と信念がある。
そのために、ファントム・イシュバーンでの5年間で、【暴虐のアロン】という通り名がつく程の高みに辿り着いたのだ。
ふむ、と頷くマガロ。
「これも先日聞いたけど、超越者はどうあっても殺せない。例え粉々に、塵芥にまで滅しても次の日には五体満足で生き返る。即ち、アロン殿は超越者を殺す方法を知っている、もしくはすでにその方法を身に着けているのね?」
質問でなく、確認であった。
頷くアロン。
「ええ。方法は伝えられませんが、ボクは、超越者を殺す手段があります。」
「何故、伝えられない?」
「……まだ、試したことがないからです。」
書物スキル、“永劫の死”
当初は、3年前に暴走したメルティを殺すことで試そうともした。
アロンはそれよりも、帝都に移り住むメルティに “情報収集” させることを優先したのだ。
――尤も、彼女は改心した振りを続けているだけで、定期的に送られてくる手紙からは、ファナを引きずり降ろしてアロンの恋人の座を狙う気でいる事が読み取れる。
また、メルティはファナに対して “NPC” と呼び、蔑んだ。
つまり、メルティにとってこのイシュバーンの世界は、ファントム・イシュバーン同様の遊戯の世界であると誤認している節があるのだ。
それを改めない限り、彼女は、“殲滅” 対象者だ。
いずれにせよ、今世のアロンはまだ “永劫の死” を試していない。
ただ、ファントム・イシュバーンの膨大な情報を熟知したうえで、超越者の不死システムを突き崩せる可能性のあるスキルが、この “永劫の死” 以外は見当たらなかった。
十中八九、問題は無い。
だが、試していない。
だからこそ、伏せたのだ。
「なるほど。まぁ、良いわ。アロン殿が超越者を殺す何かしらの手段を有しているという事は、この上ない吉報ね。あいつ等が蔓延ることは百害あって一利なし。間引くことが出来るなら、それに越したことは無いわ。」
空になった茶器に再度お茶を注ぐマガロ。
心なしか満足そうだが、反対に、ファナは不安そうだ。
「超越者を殺せる……そんな事が出来るなんて知られたら、アロンが危ないんじゃ……?」
帝国だけでなく、敵対する聖国も覇国も、超越者獲得に躍起になっている。
それだけ、戦力としても知識としても、超越者の存在は重要なのだ。
特に不死の存在である事が、彼らの価値を高めている。
その価値を根底から覆す存在が、アロンだ。
下手すると、全ての超越者を敵に回すこととなる。
「大丈夫だよ、ファナ。」
もちろん、それも織り込み済みだ。
御使いから与えられた天命、“選別” と “殲滅” を全うするためには、避けて通れない修羅の道だからだ。
ファントム・イシュバーンでも同じだった。
“【暴虐のアロン】を前にしたら、全て諦めろ”
“ギルド戦で帝国陣営にアロンが姿を現したら、負け確定”
“下手に抵抗するだけ無駄”
“リアルチート”、“運営の差し金”、“仙人”
様々な異名を持つ、【暴虐のアロン】
全ては、イシュバーンに蔓延る超越者を駆逐するため。
遊戯に興じていたプレイヤーとは根本が違う。
アロンは、最初から修羅の道を歩む覚悟で、その身に宿した憎悪と絶望を延々と燃やしながら、たった独りで突き進んだのだ。
「マガロから見ても、超越者は邪魔な存在なのですか?」
アロンが超越者を殺せる手段がある、と分かってから心なしか気分の良さそうなマガロ。
鼻歌交じりにファナのアップルパイを齧り、頷く。
「ええ。文字通り、この世界を食い物にする害虫よ。」
マガロから見ても、超越者は害虫。
アロンは、思い切って尋ねてみた。
「御使い様がおっしゃっていたのですが……超越者は、元々、イシュバーンの救済のために転生してくる存在では無いのですか?」
アップルパイを食べる手を止めて、ジッとアロンを見つめる。
「そういう期待もあったわ。だけど、実際は違うの。」
イシュバーンの救済。
その役割の、否定。
ゴクリと喉を鳴らすアロン。
「じゃあ、超越者の役割とは?」
言い淀む、マガロ。
ふぅ、と一息吐き出して、
「これから私が言う言葉は、ここだけの話にしてね? 他の誰かには話さないでね?」
アロンとファナに、釘を刺した。
頷く二人。
尤も、“邪龍から聞いた話” など、誰が信じるものか。
マガロは、目を細めて告げる。
「超越者を用意しているのは、この世界の神よ。」
首を傾げる、アロン。
「超越者をイシュバーンに送っているのは、向こうの御使い様では?」
あの白い女だ。
だが、首を横に振るマガロ。
「違うわ。彼女は……エンジェドラス様はただ、送るだけ。」
目を見開き、思わず立ち上がるアロンとファナ。
「「エンジェドラス様!?」」
特にアロンの驚きは大きい。
まるで、あの女の御使いが、この世界で唯一共通して信仰されている善神だと言うのだから。
「そうよ、アロン殿。貴方が出会った女の代行者。あの人が、梯世神エンジェドラス様よ?」
ファナも目を見開いて、アロンを見る。
自分の婚約者が、転生前に善神エンジェドラスに会っているとは。
「まさか、アロンが受けた天命って……エンジェドラス様から!?」
それこそ、世界を揺るがす大ニュースだ。
三大国の王族や上位貴族は、時々、信仰する神から “神託” を授かると聞いたことがある。
だが、それはあくまで各国内で信仰されている神であるから、争う他国には全く関係の無い話だ。
だが、エンジェドラスとなると話が変わってくる。
世界中の人々に、適正職業を与える神。
即ち、人々にとって最もメジャーな存在なのだ。
事実であれば、世界中の人々がアロンを “神の使い” と崇めるだろうし、それが面白くない王族や貴族から糾弾される可能性もある。
だが、アロンは首を横に振る。
「いや、ボクが天命を受けたのは、別の御使い様だ。」
白い男。
マガロは苦々しく、口を開いた。
「それは、狡智神アモシュラッテ様よ。」
「アモシュラッテ様……。」
初めて聞く、神の名。
しかし、“狡智神” とは……。
「世界のあちこちに顔を出して、引っ掻き回す道化よ。何を企んでいるか知らないけど、妙な神に目を付けられてしまったね、アロン殿は。」
はぁ、と溜息を吐き出しマガロは続ける。
「この際、アモシュラッテ様がどうとかは置いておく。超越者を用意しているのは、この世界の神……帝国が信仰する<国母神>も、その一つね。」
「「国母神様!?」」
アロンとファナの住む、イースタリ帝国。
帝国章にも描かれる、美しい女神。
“邪神” を信仰する聖国。
“悪神” を信仰する覇国。
この二国の打ち倒し、世界に平和と安寧の福音を響き渡らせる存在。
それが、国母神だ。
「その名も、暁陽大神ミーアレティーアファッシュ。かつて、私が牙を剥いた相手でもあり、彼女の手で改心して、こうして森の奥底で祈りを捧げているの。」
胸に手を置いて、穏やかに伝える。
だが、マガロの瞳を見て、アロンもファナも震えあがる。
“改心もしていないし、祈りも捧げていない”
それが、邪龍マガロ・デステーアから伝わる。
恐る恐る、尋ねるアロン。
「く、口ではそう言うが……まさか、貴女はまた国母神様に反旗を翻そうとしていません、よね?」
ニヤリ、と口元を緩める。
穏やかだが、禍々しい気配を放つマガロであった。
「冗談? 私はもはや牙も爪も削がれた、ただの蜥蜴よ。どう足掻いてもミーアレティーアファッシュの首を取る事は叶わないわ。今は。」
自虐も交え、冗談と言う割には再戦する気が満々のようだ。
「邪龍は、やはり邪龍ってことですか。」
「ちょっと、アロン!?」
思わず呟いてしまったアロンの失言。
慌ててアロンの口を押えるファナだが。
「ふふふ。アロン殿言うとおりね。」
笑顔で躱された。
少しホッとするファナだったが。
「私なんかよりも、ミーアレティーアファッシュの方がずっと邪悪よ?」
帝国が崇める国母神に対する暴言。
いくらこの空間がマガロによって作られているからと言って、神を蔑む物言いはさすがに看過できなかった。
「いくら戦争に負けたからって、帝国の女神様を侮蔑するのはどうかと思うぞ。」
「もし国母神様に聞かれたら大変な事になるのでは!?」
相手は邪龍マガロ・デステーアであるため強くは言えないが、それでも諫めるアロンとファナであった。
クスクスと嗤うマガロ。
次の言葉が、アロンとファナを絶望させるに十分なものであった。
「だから。超越者を用意して、人間たちの終わりない戦争を続けさせている元凶の一人が、その女神様なのよ?」
絶句するアロンとファナ。
遥か太古から続く三大国の戦争の元凶こそ、女神。
「教えてあげるね? 奴等の狙いと、超越者の役割。」