第九話「博麗神社付近の森 メリーさんって知ってる? VS古明地こいし」
あれから二日が過ぎ、ようやく私達は博麗神社付近の森に辿り着いた。
「あともう少しだ。もう少しで、帰れるぜ。
初、江代」
「ああ・・・・・・」
しかし妙だ。
博麗神社から、かなり邪悪な気を感じる。
遠くの気を感じるなどという某少年漫画のキャラじみたことが出来るのは、姉さんと江代だけだが、普通の人間の私でも悪寒がする程の気だ。
「もしかしたら、霊夢が・・・・・・」
魔理沙が青ざめた顔で言い、そのまま入口まで駆けだそうとしたが。
桃色の触手が、魔理沙を捕らえた。
「アレはまさか・・・・・・」
「もしも~し。
今貴女の後ろにいまーす」
木からそう言って現れたのは。
黒い帽子に、緑がかった灰色のセミロングに、紅い瞳の少女。
古明地こいしだ。
「こいしッ!」
二本の触手が、私目掛けて一直線に襲い掛る。
「危ないッ!」
木刀でそれを弾く江代。
そのままこいしに向かって、突撃を開始した。
「うおおおおおおおッ!!」
だがこいしは笑っていた。
こいしは次の瞬間、空中で顔と耳を押さえた。
アレは・・・・・・。
「江代ッ!」
その時には遅かった。
江代は何らかの力で怯み、その場で固まった。
その隙を狙い、こいしは二本の触手を江代に向かって繰り出す。
触手は江代を、木に向かって吹き飛ばした。
「ぬおあッ!」
「うおおおおおおおおおおッ!」
次の瞬間には、私は駆け出していた。
二丁のエアガンの銃口をこいしに向け、スペルカード技を連発する。
触手で弾く事が出来ず、こいしは星の弾丸に吹き飛ばされるが。
またしても、こいしは驚くべき技を使った。
ま、まさか。
これ作者のトラウマ技の・・・・・・。
赤い波動に触れると同時に、視界が暗転し。
眼前に赤い文字が出現し、こいしの声が脳に直接聞こえるように響いた。
「わたし、メリーさん。
今、あなたの」
「後ろにいるの」
赤い文字が眩い光を放って消滅した瞬間、私の腕にナイフが刺さっているのが見えた。
そう、多分東方神秘禄で多くの人がトラウマになった技。
怪ラストワード技・『*今から電話をするから出てね*』だ。
私は痛みを堪えながら後退し、刺さったナイフをこいしの触手目掛けて投げる。
一直線に進むナイフ。
狙い通り、こいしの触手一本に命中した。
「な、何するのよッ!」
再び一本の触手が襲い掛かる。
「銃弾之星ッ!」
星の弾丸を、何発かこいしに狙いを定めて飛ばす。
こいしに激突すると同時に、破裂し、こいしを遠くまで吹き飛ばす。
だが。
再び赤い波動に飲み込まれた。
「わたし、メリーさん。
今、あなたの」
「後ろにいるの」
こいしのナイフは、次に私の肩を穿った。
「ぐッ・・・・・・。まだ戦える。
あともう少しで帰れるんだッ!
魔理沙、頼むッ!」
囚われていた魔理沙は、箒で空を飛び。
スペルカード技を放つ。
彗星『ブレイジングスター』。
蒼き流星が、こいしに向かって降り注ぐ。
「ぬぉぉぉぉァァァァッ!」
こいしは彗星に吹き飛ばされ、頭を木にぶつけ。
意識を失った。
「よし。これであとは博麗神社に行くだけだ」
◇◇◇
そして私達は、博麗神社に着いた。
だがそこで待っていたのは。
刀を握ったまま倒れる妖夢と。
邪悪な気を纏った、紅い瞳の霊夢だった。