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競馬狂騒曲  作者: 真北哲也
大日本ダービー
12/12

その強さに心酔。 ダービーにようこそ。


「ダービーだ!ダービー! ダービー!ダービー!! 」



子供が駄々をこねるように騒いでいるのは、いつもの先輩であった。そんなにダービーと言うものは重要なのか?と、疑問に思った。



「先輩。 ダービーってそんなに凄いことなんですか?」



「凄いのなんのって、ダービーは競馬関係者 …… ホースマンに取っては重大なんだよ! 年に一回の開催で三歳の馬しか出れないんだ、一年間に競走馬は約七千頭近くが誕生するけど、条件戦とかオープン戦を勝ち抜いたりした馬しか出れない…… まさに競馬の祭典ッッッ! 勝った馬はその年の三歳馬の頂点に立つッッッ! 」




「そうなんですか…… 勿論、見に行くんですよ? 」




「いくよ! お前も行くよな! な!な!」



興奮した先輩は、僕の両肩をぐいぐい引っ張った。 こんな状態にしてしまうダービーとは凄いのだろうか?



♪♪~



先輩のスマホが鳴った。



「もしもし、…… ああ、真面目に仕事してるって…… 」



さきほどの興奮した状態とは真逆の先輩が表れた。そりゃそうか、あんなハイテションで電話に出たら、狂ってる人間だと思われてしまうな。 こちらの気持ちなどを考えずに先輩は電話に集中をしていた。




「うん……え……わかった……また、連絡する」



先輩の電話は五分ほど終わった。ゆっくりと、ポケットにしまうと僕に話しかけた。



「とんでもないことになった…… 」



「どうしたんですか? とんでもないことって?」



早苗(さなえ)がダービーを見たいと言ってきた。 あいつ、何を考えてるんだ」



「別に良いんじゃないですか? 何かあるんですか?」



「あいつはギャンブルとかに興味は無いって言ってたんだよ。 俺も何度も競馬辞めろ競馬辞めろって言われていたのに…… どうゆう風の吹き回しだ…… 何か企んでるな」



「?」



深刻な顔になった先輩は少し震えているようにも見えた。 僕はあまり心配とか不安とかは感じてはいなかったが、先輩の考えすぎでは? と、思った程度である。



「考えすぎですよ。 早苗さんは競馬に興味が出てきたんじゃないでかね? 先輩が楽しそうに話したから……」



「それはないっ! あいつは前に行った通りにギャンブルが嫌いなんだ! 競馬とかの話をすると、直ぐに機嫌が悪くなって、怒る。 じゃんけんでさえも博打だ! 博打だ! って、嫌がるんだ…… 」



「そうなんですか……そ、そう言えば、ダービーはいつ開催されるんですか? 」



「今週の日曜日。 開催地は東京競馬場だ」



そこで、会話は途切れた。 休憩終了を告げるベルが鳴ったので、急いで職場に戻った。



それからも仕事は何事もなくスムーズに進んでいったが、バイト終了まで先輩の顔色は悪いままだった。





ーーーー。





そこから、ダービー開催までの日付はあっという間に過ぎ去っていき、とうとう、ダービーの日になった。



その日、先輩とギャンブル嫌いの早苗(さなえ)さんとの出来事は僕にドラマチックな展開を目撃させるとは、夢にも思っていなかった。




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