表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

第4話 レベル が あがった/ちゅるちゅるすする

ステータス値はこまめに調整してるせいかバランス悪くなってるかもしれません

(*_*;

 さて、侵入したゴブリンを撃退し、あの死体どうしよう……と、不安にかられつつアルブを伴い死体のある部屋へと向かう。


 すると、中にあったはずの死体はキレイさっぱり消えており、俺はそのことに心から安堵するとともに幾分か拍子抜けしてしまった。


 まぁ、ファンタジーだし細かいことは良いか……と、奥の部屋に戻ろうとすると、当然のようにアルブもついてくる。この部屋に配置しようかとも思ったが、ひとまず様子を見よう。


 奥の部屋へと戻って来ると、ゲーム機からファンファーレが鳴り響く。どこかで聴いたような……というか、いかにもレベルアップ時のBGMに聞こえるし、実際そうなのだろう。


 ゲームのステータス画面を見てみると、アルブのレベルが上がり、ステータス値が上昇している。


◇アルブ(Lv.2 )

HP26 MP0 敏捷22 器用6

筋力28 知力7 幸運9

振り分けポイント3


 この振り分けポイントというのは、どこに振り分けても良いのだろう。なら、やっぱり敏捷かな。さっきの戦い方を見たところコイツは素早さを活かした近接戦闘に向いているのだろう。


 と、思ったのだが……ふとステータス値を見直してみる。もう少し知力上げたりしたら、コイツとのコミュニケーション取りやすくなったりしねーかな?


 などと、柄にもないことを考える。激しく人見知りを拗らせている身としては会話などしなくても良い分、今のほうがやりやすい……という気のする反面、自分に懐いているであろうこの特殊なコボルトの少女と話してみたいという気もする。


 と、いうことで、それ程期待はしてないケドね。一応ね? と、自らの心の内で保険をかけながら振り分けポイントのうち2ポイントを知力に、もう1ポイントを敏捷力へと割り振る。


【知力値が一定値を越えたため、言語取得が可能となりました】


 よっしゃ、キターッ!! ンッ、ゲフンゲフン!いやいや、……予想通り、というか予想外というべきか、知力を上げたことによりこのようなメッセージと共に取得可能な言語が表示される。


◆現世界語【日本語】


◆異世界共通語


◆ドワーフ語


 フッ、こんなものは選択肢とは言わんよ……異世界共通語とやらは、おそらくこちらの世界の人間達の共通言語だろうが、現時点で俺が話せないのでまず無理。


 次に、酒と腕っぷしの強さだけがコミュニケーションと言わんばかりの種族であるドワーフ(偏見)。俺は彼等とはたとえ言葉が通じてもコミュニケーション取れる気がしない。そんなものをこの娘に持たせてもしょうがないし……と、なると当然ながら現世界語を選択! 


 さて、これで会話が可能な状態になった訳だが……一体何を話せばよいのやら。


 せっかくなら自分に懐いているであろう(多分)獣人にしか見えない巨乳コボルトと話せるようになったほうが楽しいのではないか……と、わざわざ知力に貴重なポイントを振っておきながら、いざコミュニケーションを取れる状態になると、人付き合いの苦手な素の自分が顔を覗かせてしまう。


「あ、あの……さ……」


 どうしたら良いのか分からないまま、とりあえず声をかけようとしたその瞬間、グギュルルルゥ……と低い音が鳴り響く。一瞬の間を開けて、それがアルブの鳴らした腹の音であると理解したその時、それに合わせるようにアルブが口を開く。


「はらへった」


 やっぱりコイツの第一声はそれだったか。と思いつつ、はて、何を食わせれば良いのだろうかと考えていた僅かの間にアルブが急かすようにこちらへと覆い被さって来る。


「ごしゅじん、ごはん!」


「ん? ご主人って俺のことか?」


 そうアルブに声をかけると、こちらに顔をよせながら首を縦に振る。


「おまえごはんくれる。なまえもくれた……だからごしゅじん!」


 突然のご主人呼びに、多少気になるところもあったが……キラキラした瞳で嬉しそうにそう言われてしまうと何も言い返す事が出来ない。それどころか、この腹ペコ魔獣に早く何か食わせてやらねばならない! と、考えるあたり俺もチョロいなぁなどと軽くため息を吐く。


「ん~! とりあえず水とガスコンロは使えるようになったみたいだし……あとは鍋かな?」


 DP(ダンジョンポイント)を利用してガスコンロや流し台も設置可能なのであれば鍋くらいならばあるのではないかと思ったが、予想通りラーメン作りには欠かせない小型の片手鍋を発見! すぐさまポイントで購入する。これで準備完了だ。


 流し台の蛇口をひねり片手鍋に水を入れ、コンロに火を点ける。水もガスもどこから出ているのか分からないが、考えて答えが出る類のものではないだろうと、深く考えないことにした。


 お湯の沸く間の僅かな時間にゲーム機でDPと交換可能な食料がないか物色してみる。


 すると、安い! とまでは言えないポイント……むしろ若干割高ではあるが、今までスーパーやコンビニで買っていたような商品とも交換可能なようだ。とりあえずラーメンに入れるために玉子を購入。一つをのぞいてお湯の中に投入。ゆで卵を作り保存しておくことにする。


 続いて沸いたお湯で麺を二人前分茹で、お湯の量を調整してから直接鍋へと粉末スープ(みそ味)と溶き卵を流し入れ完成。辺りには良い匂いが漂い、程良く食欲をそそられる。


 さて、早速食べようかと鍋を持ち上げたところで腹ペコ魔獣様の期待に満ち溢れた視線がぶつけられる。


 いやいや、忘れていた訳じゃないんだが、こういうのは一度食べ方を見せなければ分からないのではないかと思っただけで……決して先に自分の分だけ食べてしまおうか。とか、忘れていた。とかいうことではない。


 とりあえず割り箸で麺をつまみ上げ、アルブの目の前ですすってみせる。次に鍋を持ったままアルブの口元まで麺を近づけてやると案の定箸ごと食らいついてくるのでそのまま麺をすするよう説明する。


 食に関する事だからか、理解力そのものが高いのかは分からないが、箸を口元へ持っていくとアルブはそれを咥え器用にちゅるちゅると麺をすする。すると、どうしたことか、彼女は随分と驚いた顔をして固まってしまった。


「……う」


 おや、お気に召さなかったかな? と、首をかしげていると何やらプルプルと小刻みに震えている。


「? どうした?」


「うまい!!」


 アルブは満面の笑みでそう答えると、興奮した様子で両手の拳を上下にブンブンと振っている。


「もっと!」


 嬉しそうにそう言いながら顔を近づけて唇を軽く突き出すような仕草をするアルブ。正直、まだ少ししかラーメンは食べれていないが、最近まで女の子との接触はもっぱら暖かみの感じられない二次元限定だっただけに、ある意味お腹いっぱいな状態となってしまい、促されるまま、鍋から麺が無くなるまで麺を口元へと運んでやることになってしまった。


 二袋分のラーメンを平げ

、キレイに汁まで飲み干しすっかりご満悦の食欲魔神様はホクホク顔でこちらへと擦り寄って来る。


「おまえ、よいごしゅじん!」


「そりゃ、どうも」


 と、返しつつ頭を撫でてやる。彼女も目を細めながら気持ち良さそうにしているので、けっこう良いカンジにコミュニケーションが取れている気がする……単純に食い物で釣っただけとも言えるが。


「あるぶ、ごしゅじんにちゅうせいをちかう!」


 と、いいつつ抱きついてくるアルブを見ながら、ホントに意味分かってて言ってんのかなぁ、と言う思いと……背中に手を回しても良いのかなぁと邪な事を考えているうちに、突然始まった異世界生活(?)初日の夜は更けていくのであった。


◎ステータス値

◇ゴブリン(Lv.1 平均値)

HP22 MP2 敏捷7 器用4 筋力13 知力4 幸運1


◇人間(Lv.1 平均値)

HP20 MP5 敏捷10 器用10 筋力10 知力8 幸運5


◇コボルト(平均値)

HP20 MP2 敏捷12 器用7 筋力12 知力6 幸運3

スキル:《腐銀》

種別:パッシヴ

効果:銀に対して短期間に腐食を及ぼすことが出来る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ