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シャンゴリラガールズ~三姉妹巨女伝~  作者: 犬宰要
土の加護、白銀の剣山が噴刃する時
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21-飛空艇と空賊

 飛空艇、ギルドから一定の信頼やランクが上がると使用許可が降りる。ギルドに属していない場合の「旅行」「観光」目的での使用目的は禁止されている。貴族といった位が高い場合は専用の飛空艇を所持しているため、「旅行」「観光」目的で使用は可能であったりする。

 飛空艇の個人の所持は制限されてはいないが航空利用権が必要になっており、持っていない場合の飛空は「空賊」行為として罰せられる。場合によってはその場で処刑されることもある。



 海洋国家メイルブラドォがある六角形に近いシアントア大陸、火山大陸でもあり地震は年に数十回と多く、津波被害も過去にも多く存在したが堤防やそれに備えた技術によってこの大陸に住まう者にとって地震に対して慣れている。

 地震とは違うが揺れというのは爆発による揺れや大魔法の揺れ、大群が押し寄せてくる揺れ、などといった揺れもある。


 ツェリスカとタヴォールは飛空艇の乗客室にいた。3等室と呼ばれる狭く寝るだけで6人用の部屋で窓が一つしかない。巨人種でも寝れるように備え付けのベッドは三種類あり、上の段から小人種、人種、巨人種と順になっているのが左右についていた。巨人種用はサイズがほぼほぼぴったりになっている為、タヴォールは窮屈そうに押し込められていたといっても過言ではなかった。


 二人は一番下で横になり、飛空艇の揺れに反応し寝床から出ようとしたが、立て続けにくる揺れにより二人とも頭をうち気絶してしまった。


 彼女たちがいた時代の飛空艇と違い、防御フィールドといったものは一部の飛空艇にやっと実装されたものであった。そのため、移動用でもあるこの現在に建造された飛空艇はひどく脆い。以前の常識と今の常識がわからない彼女たちは飛空艇が不時着するまで気がつかないまま気絶していた。


 それが幸か不幸か、どちらかというと幸せだったと思う。


ルーガン族の都市セーテ・ルーガからメハルジア王国に戻り、ザクロ・リリウムと合流しようとしたが彼女は一足お先にと海洋国家メイルブラドォに戻っているとのことだった。そのため、ツェリスカとタヴォールも一旦は彼女に何が起きたのか報告するためにメイルブラドォに向かう為、飛空艇を使って行くことになった。


 彼女たちはルーガルー・ルール・ルーガンからそこでしか取れない物を多く感謝の気持ちとして貰い受け、それを商業ギルド通じて売り、飛空艇の旅券を買い海洋国家メイルブラドォへと向かったのだ。


 だが、彼女たちが乗った飛空艇はメハルジアとメイルブラドォを繋ぐ、飛空航路の途中での不時着してしまう。海洋国家メイルブラドォがある六角形に近いシアントア大陸のどこかに不時着したのだ。



 空賊に襲われ不時着したという情報が海洋国家メイルブラドォの飛空艇を管轄下に連絡が入り、ギルドが緊急で有能冒険者に声をかけていた。そこで白羽の矢が立ったのはザクロ・リリウムにだった。

 メイルブラドォから不時着場所までどんなに急いでも数時間はかかってしまうが救助しにいかないわけがいかない。生存者の確認も含めて先遣隊として彼女が選ばれていた。


「救助任務ねぇ…個人の飛空艇使用許可を頂けますか?」

「飛空艇を持ってるのか?!」

 術士ギルドマスターであるヴォルディンはとんでもく驚いていた。巨人種は身体も大きいがリアクションも大きい、そのため思いっきり後ずさりしながら大きく手を広げる目が思いっきり見開いていた。

 その動きにザクロ・リリウムは驚かされ、一瞬たじろぎながら不機嫌になる。

「私のじゃないわよ、仲間がたまたま遊びに来ててそいつが持ってるのよ」

「そいつは誰だ?」


 国家間の移動はギルドカードがあれば身分を証明できるので入国などもあまり厳しくなはない。しかし、敵対している国や皇帝国といった侵略行為を行っている国に対してはかなり厳しく取り締まっている。


「俺だにゃ」

 二人が話している後方から気配なく近寄り、片手を腰に手を当てながら優雅に足音ひとつ立てずに歩いてきた。彼女は獣人族であり、綺麗な金髪で毛先が少しくせっ毛になっており、ゆるりとふわりとしていた。

 強調されてはいないがしなやかな筋肉が引き締まってるのが体つきから感じ取れる程の力強さが全身から発せられていた。いくら気配がなくしているとはいえ、確認できるようになってしまえばその圧倒的な存在感を無視できない。


 しかも、語尾は「にゃ」である。


「紹介するわ、私と一緒古代遺跡を踏破したメンバーの一人のン・パワゴよ」


 ン・パワゴ、獣人族の金獅子種でン族の女性である。両腕に銀色の籠手を装備しており、胴は軽装で肩口から胸にかけて刺青が掘られていた。

「任せるにゃ」

 しっぽを左右にふりふりさせながらニンマリとしていた。


 ギルドマスターは固まっていた。ン・パワゴは有名であり、金獅子族の中でも異端の強さを持ち、数々の「ジャイアント・キリング」と呼ばれる手出ししたら生きて帰ってこれない程の相手を討伐してきてる者なのだ。

 赤く燃えるようなルビーの目を持っていた。赤眼は「アルビノ」と呼ばれる突然変異種であり、金獅子族特有の琥珀色ではなかった。


「ザクロ、行くにゃよ。さっさと行くにゃ!」

 ザクロ・リリウムはしかめっ面をしていた。

(その語尾に「にゃ」をわざとらしくつけて、遊んでる…)


 そして二人は不時着があった場所に向かったのだが―


 不時着した飛空艇に身を隠しながら銃撃から見を守っていた…。

「はぁー対空射撃くらって私達も不時着とかバカでしょ?バカなんでしょ?」

「おい、ザコロ。召喚であいつらどうにかしろよ、俺の拳が届かないから倒せないんだが…」

「はぁぁん?」

「ああん?」

 助けに来たはずが、どうにもならない状態になっていたのだった。


「イデルマージで応戦しても、すぐに消されたし…あれ魔法銃だわ…」

 ザクロ・リリウムは舌打ちしながら、相性が悪いのに苛立っていた。火薬式の銃であれば物理なので術式で構築されたイデルマージにはほぼ意味は無い。しかし、魔法銃は違った…魔法弾(エナジーボール)をそのまま撃ちだしているのだ。


 飛空艇の乗客は重傷から軽傷まで様々、まだ内部でも気を失った者がいた。不時着した飛空艇は三方からジリジリと距離を詰められていた。四方ではないのは、乗客が対象ではなく飛空艇とその荷物だからだ。

 一応、空賊相手やモンスター用に武器はあり、応戦はしているが魔法銃ではなく火薬式の銃であるため弾切れは時間の問題だった。


「弓さえあればなぁ…」

 ン・パワゴは愚痴る。

「あんた弓も使えるのになんで持ってきてないのよ…」

「最近使ってなくてな」

「使えねっ」

「ああん?」

「はぁぁん?」

 二人は飛空艇の影に隠れながら口喧嘩をしていた。

 ザクロ・リリウムは影に隠れながらスピリットオブファイアと呼ばれるピンポンサイズの炎の珠を発生させながら、空賊がいる三方にむけて浮遊させこれ以上近寄らせないようにしていた。対象に触ると爆発するが、魔法銃の弾が当たると消滅していった。


「クソッ!!!いい加減観念しやがれ!!!!」


 苛立った声が響き渡る。

 空賊が苛立っていた、本来なら簡単に終わるようなものだったがザクロ・リリウムが来たことで近寄れなかったからだ。

 魔法銃から放たれる銃弾が飛空艇にあたるが、対魔法コーディングされているため弾は四散するが、徐々に焦げ跡のようなものが広がっていった。空賊が空から飛空艇に乗り移らず不時着した地上から理由があった。

 飛空艇には対空砲が充実しており、対地砲も設置はされているが銃口の向きを把握された上で死角から包囲してきたのだった。


 そんな飛空艇の中でうめき声を上げ、目を覚ます二人の巨人種がいた。ツェリスカとタヴォールだ。


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