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シャンゴリラガールズ~三姉妹巨女伝~  作者: 犬宰要
火の加護、砂漠に咲く戦火
13/62

12-旅路の途中で

格闘ギルド、メハルジア王国において主な仕事はバウンサーと呼ばれる酒場や娼館、カジノなど用心棒としての生業をしている。未成年のチェック、入店拒否者のブロック、指名手配犯を軍への報告、激しく酔っている人の対応、店内で暴れた者の対処、ケンカの仲裁まで行う。メハルジア王国内に出店許可が降りている店舗の多くが非合法な事をしていないかも含め、監視という意味合いも含まれている。


 格闘ギルドでは主に徒手空拳だが、拳を傷めないのと相手により有効な打撃を与えるグラブ、メリケン、トンファー、ヌンチャクなども使う。場合によっては刃物がついたものも扱う時がある。




 ギルドカードを正式に付与されたタヴォールはツェリスカと共に南東へ向かうことになった。ザクロ・リリウムとはメハルジア王国でいったん別れることになる。

「いい?終わったらここに戻ってくるのよ?それまでに私もあんたの妹さんの事調べておいてあげるから、絶対戻ってくるのよ?」

 金にならないのに彼女は助けてくれるという、ツェリスカは彼女の前に跪き礼を言う。跪くこと彼女と目線が一緒になり、自然と互いに笑顔になった。

「ああ、必ず戻ってくる」


 南東への経路はメハルジア王国統治下の都市を定期馬車で経由し、そこから徒歩になった。まず彼女たちは定期馬車に乗り、デューンニョレスと言われる都市へ目指し出発した。


「ツェリ姉さん、旅をして思ったのだけど平和だよな」

 タヴォールはでかい身体を馬車の中で出来る限りスペースをとらないように縮こまっていた。

「ああ、編隊を組まずに移動するなんて単独任務や潜入任務の時くらいだったがこう気軽に移動できると考えると平和なんだろうな」

 他にも馬車に乗ってる人がいるが彼女たちの会話はさして気を引くものでもないため、気に留めているものはいなかった。


 メハルジア王国は冒険者や傭兵が多い。巨人族を含め獣人なども多くいるため、そんなに珍しいことではなかった。


ピィ~


 遠くで笛から発せられるような鳥の鳴き声がした。

「ツェリ姉さん」

「人為的な音だ、それに何か来る…」


 前方に何かいるのか、馬車はゆっくりと停車する。

「おい、荷物を確認させてもらうぞ」

「これはいつもお世話になっております」

「御託はいい、検査だ」

 どうやらメハルジア王国の警備隊だったようだ。馬車の荷物を点検されていた、荷物の運搬も含まれているため、取引禁止物が紛れ込んでいないかのチェックだった。


「ん〜なんだ〜これは〜?」

 1人の警備兵がわざとらしく奇妙な袋を取り出していた。

 馬車の主が警備兵に尋問されていた。ツェリスカは警備兵が取り出した袋が馬車からではなく、彼らから取り出されるのを見ていた。


 馬車の主は知らないと言ってはいるが、警備兵たちは黙ってて欲しくば誠意を見せろという話をしているのが耳に入った。


「ツェリ姉さん…」

 タヴォールはツェリスカの方を見て何か言いたそうにしていた。


 ヒュン、と音がした後にトンと音と共に屋が馬車に突き刺さった。


「くそッ!蛮族どもめ!こんなところまで来やがって、おい、さっさと行け運が良かったな」

 警備兵たちが襲ってきた亜人族に応戦しはじめ、馬車は逃げるようにその場から動き出した。


 馬車の中から警備兵たちと亜人族が戦っているのが豆粒くらいになるまで離れると他に乗っていた人たちも安堵し、口々に野蛮な蛮族だなど罵倒していた。


「ツェリ姉さん…」

「ん?なんだタヴォール?どうした、さっきの奴らに何か思うところでもあったのか?」

「う、ううん…トイレ行きたい」


 馬車を襲った亜人族は薄い茶色がマダラなった体毛に包まれ頭から角が後ろにかけて大きく生えていた。顔つきは亜人族らしい虎型のモンスターに似た顔をしていた。

 体の大きさは巨人族と同等くらいかそれ以上、筋肉のつき方も巨人族よりもはるかにあった。

 服装は文明がある程度発達しているのが見受けられる武具、肩当、胸当て、など装備していた。


「ねぇ、ツェリ姉さん…」


 ツェリスカはこれから亜人族のテリトリーに行く際に彼らの戦い方や生活様式など観察し、自分が知ってることに何か引っかかることは無いか考えていた。

 過去とは違うとはいえ、自分が持っていた兵装は発掘されていたとなると可能性として当時の発展型があってもおかしくないと思ったからだ。


「ツ、ツェリ姉さんっ」


 ツェリスカは兵装をザクロ・リリウムに預けていることを思い出した。今着ている服や冒険に必要なものなど彼女が買ってくれたことも思い出す。そこでタヴォールの服も買ってもらった事も思い出し、タヴォールを見る。


「どうした?タヴォール?」

「いやだからトイレ行きたいィ…」

「はぁ…我慢しろ、それでも私の妹か」

 タヴォールは目を見開き、プルプルと震えながら「そ、そんなぁ」とつぶやきながら我慢することになった。

 ツェリスカは外の景色を見ながら、自分たちがいた戦場とは違い破壊されつくされた大地ではなく、長い年月が創りだす景色にうっとりしていた。


 メハルジア王国の領地内のほとんどは砂漠地帯である。砂漠地帯といっても緑がない捌くではなく、オアシスなどがかなり点在しており、大小様々なオアシスが点在としているが大きいオアシスは湖サイズになっている。

 谷や台地などの起伏がある地域からは多くの鉱石がとれることから金属加工なども盛んに行われている。雨季はあるが長くはない、その為、大地もみずみずしい土地が多くはなく、作物も限定されたものでないと育ちにくい。

 年中カラッとした気候であるため、過ごしやすい気候ではあるが食料問題を常にかかえているため、他国から食料を買い、代わりに鉱石や調度品などでやりくりをしている。


 彼女はそんな事情を知らず、ただ外の景色を見ていた。そして、夕暮れ時になり野営することになり、一目散でタヴォールは我慢していた尿意を発散させるため人目がないところへと消えていった。


「あんたら、見たところ冒険者のようだが…ここらへんは初めてかい?」

 馬車の主がツェリスカに聞く、同じく乗っていた他の人も気になっているようだった。

「ああ、ちょっとした探しものをな…それより初めてだとどうしてわかった?」


 ツェリスカとタヴォール以外にも馬車に乗っている男、身なりは商人に近いが顔つきは死線をいくつかくぐってきたようなオーラが出ていた。そんな男が自己紹介をしながらその理由を話す。

「はじめまして、わいはタマキ・シラタキ…このへんじゃ珍しい格好してるし、亜人族を見ても蛮族と言わなかったのを見て、他の連中がお前さんたちを見る目が違ったのもあるんだろうさ」

 小人種特有の可愛さはあったが、彼からにじみ出る雰囲気はザクロ・リリウムとは違う裏があるような感じがツェリスカには感じていた。でも見た目は可愛いとツェリスカはキュンと来ていた。


「それに、彼女を一人で用足しに行かせたのも己の力量をわきまえていないと出来ない行動だしな、それでどうなんだ?」

 ツェリスカはひざまずいて、タマキ・シラタキの目線を合わせる。

「まだ駆け出しの冒険者だが、正解だ」

 タマキ・シラタキはニヤリと笑い、頭を下げる。

「これはご丁寧に、しゃがんでくれてありがとう。巨人族にしては珍しいね」

「ああ、よく言われるさ」

 そうよく言われる、巨人族は現在において、奴隷や召使、炭鉱夫といった地位の低く使役されている側である。巨人族は他種族から言いように使われることが多いため、そのせいか性格が歪んでいる事が多い。

 しかし、前向きさや陽気な性格を持つ巨人族はそれに負けずに道化を演じながら世渡りをし、自らの身体の大きさや胆力の差などから恐れられないようにしてきたのだ。


 メハルジア王国での巨人族の扱いは酷い方であるが、ツェリスカは気にしていなかった。小人種が可愛かったからだ。


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