DD-01-ダネルダネル
ロクアディ皇帝国、魔科学技術による合成生物、魔導生物に秀でている。世界を統一するために侵略戦争を行っている。国内の事情は合成生物による食料問題解決をし、魔導生物による労働問題の解決などに取り組んでいた。
近隣諸国同士の争い、部族同士の絶え間ない争いの中で飢餓や差別が日常的にあった。そんな中で建国されたロクアディ皇帝国は瞬く間に周りの争いや飢餓を無くしていった。差別だけはどうしてもなくならなかったが、飢餓や争いによって命を落とすということはなくなった。
しかし、現在では従わなかった、抵抗した国や勢力、反乱を起こした民に対しては皆殺しをしている。血みどろな権力争いもあるとの噂もある、また皇帝国は信仰と思想の自由は認めていない。
◇
長女ツェリスカ、次女のタヴォール、そして三女である彼女ダネルダネル。そんな彼女はDDと呼ばれていたり、ダネルダネルとそのまま呼ばれていたりもする。身長はツェリスカよりも高く、タヴォールよりも低い、丁度真ん中くらいである。
肌の色は小麦色、髪の色は金色、髪の長さは…今は短髪気味になってる。服装は半裸に近い状態だった。未来に飛ばされた時の反動で彼女だけが運悪くも嵐に巻き込まれたのだ。
彼女が放り出された場所は、ツェリスカやタヴォールとは違い目下戦争している区域だった。だが、彼女は姉妹の中でも一番頑丈だった。
直前まで彼女は両手に盾を装備したままだったのもあり、彼女は身につけていた装備がボロボロの中でロクアディ皇帝国の兵士に助けられる事になる。彼女は戦場があったとされた場所で保護された。
ダネルダネルが目覚めた時、そこは知らない場所だった。簡素ではあるが服は着替えさせられていた。両手には変わらず盾が装備された状態だった、双盾ヴァル・フレェイアは本人は知らないが本人でしか外せない装備だ。
「ここはどこダネ?」
奇妙な部屋の中、計測器と思われるものが身体につけられていた。部屋には誰もいなかったが、ダネルダネルが目が覚めたことでドアから兵士と医師が入ってくる。
「あ、助けてくれてありがとうダネ!」
彼女は微塵にも自分が研究対象として運ばれたとは思わない。彼女自身、蛮神クラスと言われていた化物どもと戦っていて、空に不気味な顔が現れた時に危ないと感じた彼女は武器をスナイパーライフルモードから双盾モードへと切り替えていた。
その結果、彼女は攻撃用の武器を手にしていない状態で発見された。この事がロクアディ皇帝国の兵士たちにとって、彼女の第一印象は変わったのだった。
そして、彼女が自分を助けてくれた事に対する感謝の言葉から彼女への対応が変わった。
何よりもダネルダネルは目覚めた後に奇妙ではあるが同じ人種で背丈が様々な種族が入り乱れており、同じ連合軍だと思ったのだ。そして彼らからの質問に答えたのだった、これは尋問であったら別だったが、事情聴取だったため、敵意を感じなかったのだ。
「それで戦っていたダネ、巨大な化け物だったダネ」
なぜボロボロなのか、何と戦っていたのか、誰と一緒だったのか…聞かれた事に彼女なり答えていくうちに事情を聞いていた兵士たちや医師たちは涙を流していた。
「貴方を見つけた時には…その周りには他に生存者が見当たりませんでした」
兵士の一人が言いにくそうに告げた。
「えっ…嘘でしょ…」
彼女はそのまま気を失った。
彼女の装備は他の二人に比べて更に頑丈に造られている。敵の攻撃から味方を守る事に特化してるためだ、自分がやられていては意味が無い。
ダネルダネルが次に目覚めた時、現実を受け入れ、前に進むことにした。
ロクアディ皇帝国に対して、戦場に蛮神を召喚し、そこに住んでいたとされる彼女は姉妹たちと共に蛮神と戦い、彼女だけが生き残った。英雄として称えられ、ロクアディ皇帝国へ迎え入れられた。
ダネルダネルは入隊し、前線で人と人の争いの中に身を投じていく事になる。彼女が持つ双盾ヴァル・フレェイアのみで戦い、自軍を守る盾として戦場に赴いていった。
◇
双盾ヴァル・フレェイア、両腕に装備された二対で一体となる盾。ピーカブースタイルと呼ばれる両腕を顔の前で揃えることで盾が合体し一対ともなる。身体全体が隠れる程に盾が拡張展開も可能になる。術などの攻撃に対しても防御フィールドを展開が可能、自分よりも後ろにいるパーティに対して「壁」となる。
◇
ダネルダネルが持つ双盾ヴァル・フレェイアは侵攻してくるモンスターやロクアディ皇帝国に敵対してくる敵の攻撃を無力化していた。
「ヌルいダネ…」
彼女がいた戦場と比べると圧倒的に肩透かしを食らっていた。とはいえ、彼女は手を抜くということはせず、ただ味方を守っていた。高い生還率と生存率を叩き出す部隊として、噂となり、彼女はその成果からより最前線へと送られた。
言うまでもなく、ダネルダネルは世界が今どうなっているかわかっていなかった。
だけど、戦っているうちは姉たちのことを思い出さずに済んでいた。もういない姉たちに嘆くよりも今できることを生き、戦場を駆けていた。
そして、徐々に彼女のいる部隊が赴いていく戦場はより過酷なものへとなっていった。巨大モンスターが生息する区域への危険な任務で少数精鋭で送られたが、彼女にとってはヌルいものだった。
「この肉、結構イケるダネ」
討伐した巨大な4足歩行型の生物の肉を焼いて噛り付いていた。彼女たちの任務はモンスター及び、巨大生物の討伐と生態系の調査だった。
討伐されたものは本国へ送られ、研究されていったが、彼女はそんなことはどうでもよかった。ただ討伐したものや珍しい食べ物などを食す事が出来たのだった。
そして、彼女は様々な苦難もとくになく、今まで食べたことがない物を食べるのが目的となっていた。
「次はどこダネ?もっとおいしいもの食べたいダネ…」




