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女社長、転生したら貧乏令嬢!?貧乏領地を立て直します 〜現代知識で異世界経営戦略〜  作者: 冬馬


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14/17

はじめての外販

昼時前、私とマリーはアシュが操る荷馬車に乗って、

他領の隣町でヴェルデンイモを売りに行く道中だ。


「緊張しますね」

「大丈夫よ、昨日いっぱい練習したじゃない」

「売れると良いですけど⋯⋯」

「そこは任せて、ちゃんと調べてあるから」


領地から馬車で30分ほどの範囲に3つの町がある。

その中で、流通の要になっている街をチョイスした。


「ほら見えてきた」


私が指さした先には、立派な壁と門があった。


「すごいですね、石であんな高い壁を作れるなんて」


目を輝かせるマリーを横目に、

自領との差を突きつけられた気がして胸が痛んだ。


門の前には長蛇の列。


「街に入るだけど時間が掛かりそうですね」

「この規模の街だと、誰彼入れられないからね、気長に待とう」


40分ほどで私たちの順番になり、

目的と荷物を確認するだけで、すんなり通れた。


「これが人と物が集まるわけね」

「どういうことですか?」

「このくらいの街だと、普通は入るだけでお金を取られるの」

「えっ!?なんでですか?」

「人と物が集まる場所ってそれだけで商品なのよ」

「それなのにタダなのは?」

「たぶん、人が多く来ることで店が繁盛して税で稼いでいる」


街に入って、人の多さは想像以上だった。



「お嬢様、あちらです」


アシュが伸ばした手の先に『自由市場』と書かれた看板があった。


「ここが今日の私たちの戦場よ」


アシュとマリーを急かして市場に向かった。



運よく、商品を売り切ったことで、

店じまいをする人に場所を譲ってもらい、

市場の真ん中に店を構えられた。


3人で台に茹でイモとヴェルデンイモを並べている最中に、


「今日は運が良かったけど、やっぱ場所取りが重要ね」

「奥の方はほとんど人が行っていないですからね」


とはいっても、現状だとこの時間に来るほかない。


「まぁ、今日は売って売って売りまくりましょう」


アシュとマリーの前に拳を突き出して意気込む。


「マリーは試食の準備して、アシュは店の前で呼び込みね」


茹でイモ100個にヴェルデンイモ150個、

売り切れば、5000イェンの利益が出る見込みだ。


準備が完了して、いざ開店!


はじめは、アシュを見て足を止める人はいたけど、

買ってくれるところまではいかない。


見慣れないものはダメかと、

次の手を考えていると、


「これはなんだい?」

「ヴェルデン領でしか取れないイモで作ったものです」

「へぇ~⋯⋯」


うーんと悩む客。


「よかったら試食しますか?」

「出来るのかい?」

「はい!」


そう言って、マリーは一切れずつ手渡す。


「結構甘いんだな」

「甘みもありますし、腹持ちもいいですよ」


来るときには緊張するって言っていたのに、

普通に接客出来ているじゃない。


「じゃ、茹でイモ1つ」

「はい、50イェンになります」


買った客を見送ったあと、


「「いぇーい」」


3人でハイタッチをした。


「マリー普通に接客出来ていたわよ」

「でも見て下さい」


マリーが自分の足に視線を落とすと、

しっかりと震えていた。


「はじめはそんなもんよ、慣れればなくなるわ」


はいと言って、両手を握るマリー。


「待っていてもしょうがないから、

積極的に試食をさせるわ」


私は、茹でイモを大きめにアシュに切ってもらい、

店の前で試食させまくった。



「リズ様のおかげで、一気に売れだしましたね」

「そりゃ、買いそうな人を選んだから」

「わかるのですか?」

「考えなさい」

「何をですか?」


客の対応をしながらマリーに説明する。


「今まで20人くらい買っていったけど気づかない?」

「ごめんなさい⋯⋯」

「今は昼時を過ぎてしまった。だから、今これを欲しい人は?」

「うーん⋯⋯街を出る人ですね!」

「そういうこと、私が声かけたのは旅人といった人よ」

「年が変わらないのに、リズ様って本当に頭がいいのですね」


マリーに驚嘆されるけど、

中身は3◯歳なんです。


「そうやって、時間帯とか売るもので客を選ぶのが大切」

「精進します」

「じゃ、これ持っていってらっしゃい」


マリーに試食がのった皿を手渡し店の外に出す。


「あたふたしてるのかわいい」


なんて、マリーを観察しているだけど、

横からのすっごい視線を感じている。


「はぁ⋯⋯」


本当は関わったらだめなんだろう。

それでも、ほっとけない性格が声を掛けてしまう。


「あなた達はなにかしら?」


そこには10歳ほどの子供が3人立っていた。

身なりを見るに、物乞いかその類だろう。


「これたべてもいいのか?」


見込み客に対して試食をさせるのであって、

見るからに買えなさそうな客に試食させてもな⋯⋯


理屈ではわかってはいるけど、


「一切れずつよ」


そう言って、切った茹でイモを渡す。


子供たちは、なにも言わず受け取って、

すぐに食べ終えてしまった。


食べ終えた3人の目は、まだくれと語っている。


どうあしらうか考えていると、


「坊主どもさっさと離れな!」


隣で雑貨を売っていたおばさんが、棒を振って子供達を追い払った。


「あんた達はじめてかい?」

「そうです」

「ならしょうがないけど、あいつらを相手にしたらいけないよ」

「孤児かなんかですか?」

「そうよ、ここのすぐ近くに住み着いててね」

「ありがとうございます」


軽く会釈をして、客の対応に戻る。


孤児に物乞い、どの世界でもやっぱりいるのね。

あんまり暗い部分は見たくなかった。



荷馬車の元へ戻る道中。


「ぶっちゃけ、全部売れるとは思っていなかったわ」

「そうだったんですか!?」

「売れても半分かなって、だからマリーのおかげよ」

「リズ様!」


叫びながら抱きついてくるマリー。


「アシュもありがとうね」

「お嬢様のためですから」


試食を多く出したため、利益は少し減ったけど、

このペースで売れれば樽を買うのも夢じゃない。


「明日もあるから早く戻りましょう」


2人に声を掛けたとき、路地裏から叫び声が聞こえた。


「またお前らか!」


路地裏の方を見ると、子供達が逃げ、

ほうきを持った男性が追っていた。


「さっきの子供だ」


私は小さく呟いた。

マリーが何かを思い口を開く。


「今は、領主様のおかげで住む場所も食事もあるけど⋯⋯」


私の手を取りギュッと握る。


「心配しなくても、大丈夫よ」


ほんと、私ってお節介が好きみたいね。


「アシュ!子供達を捕まえて」

「かしこまりました」


アシュは、こちらに走ってくる子供達を難なく捕まえる。


「ハァハァ、ありがとうよ。そいつら売り物を盗みやがって」

「おいくらかしら?」

「あ?」

「盗んだ代金はおいくらかと聞いています」

「300イェンだが」


私は小袋から硬貨を3枚出して男性に手渡した。


「じゃ、これで問題ありませんね」


奪うように硬貨を取って路地裏に戻っていく男性。


「で、あなた達はさっきの子供ね」


アシュの腕の中で暴れる子供達に私は告げる。


「あなた達は私に300イェンの貸しが出来たの」

「誰も助けてくれなんて言ってない」

「それはそうね!」


わざと驚いた様に見せる。


「じゃ、取引をしましょう」

「取引?」


帰りに食べるつもりだったパンを取り出し、

3人の見せて話を聞かせる。


「明日から市場の一番いい場所を取りなさい、

そしたら、300イェンはチャラでこのパンもあげるわ」


3人は暴れるのをやめて顔を見合わせる。


「本当か?」

「それに、毎日パンとさっき食べたイモも付けてあげる」

「「「やる!!!」」」

「放していいわ」


アシュから解放されると、

飛びつく勢いでパンにかぶりついた。


「帰りのパン、ごめんね」


マリーに謝ったけど、大きく首を振ってくれた。


「いい!一番いい場所よ!それ以外は認めないわよ」

「任せて」


子供達はパンを咥えて走っていった。


「リズ様はリズ様ですね」

「どういうこと?」

「ただ施すだけじゃなくて、場所取りさせるなんて」

「対価は必要だからね」


300イェンは痛い出費だけど、

必要経費だと思えば目をつぶれる。


「早く帰りましょう!」


2人の手を取って、帰路についた。



読んでいただき、ありがとうございました!

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