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エピローグ

 都市の空に、久しぶりの陽光が差す。


 焦げついた瓦礫、無人の通り、崩れた橋。そこに風が吹き、かすかな生命の匂いが戻ってきていた。


 ファントムは廃工場に戻り、埃を払った床に無言で座り込む。今はもう稼働しない機械の残骸の中、テンペストの残したリボルバーを取り出し、静かに分解し、丁寧に手入れを始める。


 火薬の匂いが消えた空間に、油の香りと金属の擦れる音だけが響く。彼は何も言わず、ただ銃と向き合っていた。


 一方、スコールはギルドの一室にいた。新たに訓練に加わった若者たちに武器の使い方を教えながら、時折、片目を閉じて何かを思い出すように黙り込む。


 その視線の先には、飾られたリボルバーが一丁。黒く重いそれは、若者たちに語られることのない伝説を秘めていた。


 レイナは療養所の白いベッドに横たわっていた。記憶の断片を縫い合わせるように、静かにノートにペンを走らせる。E.C.H.Oの中で聞いたあの声。彼女はそれを忘れていない。


 「また、世界が止まる時が来るかもしれない」


 そう呟いた声が、確かに心の奥に残っていた。


 その時、誰が再びその引き金を引くのか。


 テンペストのリボルバー──


 その一本だけが、ギルドの祭壇に静かに置かれていた。


 「……次に止まる世界を、誰が撃ち抜くのか」

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